ヘッドライトのLED化
最新のH4・LEDヘッドライトの明るさを、純正ハロゲンや従来モデルと比較
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LEDヘッドライトに求めるのは、真っ暗な道を走る時に本当に助けになる「明るさ」という人は必見。ここでは最新のH4・LEDヘッドライトバルブの明るさを、純正ハロゲン&従来モデルと比較。壁ドン照射実験で、進化のほどを確認する。
最新LEDヘッドライトのルーメンは上がっているが、ルーメン比較だけでは分からない
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「ケルビン数だけでLEDヘッドライトの色は判断できない!?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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「配光」や「色」の話が先になりましたが、今日のテーマは新型LEDヘッドライトバルブ(H4タイプ)の明るさについてです。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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最新LEDヘッドライトバルブ、明るさはいかほどか?
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そこが気になる人は多いですよね。
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純正ハロゲンより明るくなるのは、当然として……
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ハイ。
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例えば、2015~2016年あたりにIPFの従来型LEDヘッドライトを付けた人が、最新モデルに乗り換えて差が分かるほど明るくなっているのか?
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もちろん明るくなっていますよ。
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それってどのくらい?
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まず数値上のことを言えば、ルーメン値も上がっていますよ。
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ルーメンは路面の明るさではないけれど、LEDヘッドライトバルブ自体の明るさの比較としてはよく用いられます。
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従来モデルのH4・LEDヘッドライトはロービームが2800ルーメン、ハイビームが4200ルーメンでした(※いずれも左右合計)
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新型のH4・LEDヘッドライトバルブだと、ロービームが3800ルーメン、ハイビームが5400ルーメンですね。
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でも!
ルーメン値なんかにダマされませんよ?
ルーメンはバルブが発する光の総量
✔ ルーメンの概念は、「ルーメンとは? LEDバルブを買う前に知っておこう」でおさらい。
IPFの従来型LEDヘッドライトバルブ「341HLB」。登場は2015年。
LEDヘッドライトの実用性に差が出る「ホットゾーンの分布」に目を向けてみる
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新型と従来型の差は、実際の路面の明るさにおいて、十分に体感できます。それはルーメンの差だけではなく、配光性能からも言えます。
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……いや、あの、今日のテーマは「明るさ」なのに、また「配光」の話に戻そうとしてる?
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配光と「路面の明るさ」は、おおいに関係がありますよ。ホットゾーンの光度が、新型LEDヘッドライトのほうが高くなっていますので。
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ホットゾーンの光度?
またなんか、マニアックなことを言い出したぞ……。 -
ホットゾーンとは、一番明るいところ(ゾーン)のことです。
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フムフム。
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明るさの分布で見ると、従来モデルのH4・LEDヘッドライトバルブはこうでした。
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それが、新型のH4・LEDヘッドライトバルブはこうなりました。
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「明るいゾーンをカットライン直下に持ってくる」のは、前モデルからやっていますが、さらに寄せています。
※詳しくは、「ヘッドライトのカットオフラインとは?」も参照。
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それでは上の図を踏まえて、実際に壁ドン(※)で比較してみましょう。
※「壁ドン」とは、壁にライトの光を当てて配光を見ることを指す。
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純正ハロゲン→従来モデル→最新モデルの順にいきます。
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純正ハロゲンでも、一番明るいポイントはカットライン直下に位置しているのが分かります。……狭いけど。
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カットライン直下のホットゾーンが、どんどん拡大しているのが分かります。
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いっぽうで、カットラインより上の部分は、従来モデルよりむしろ暗くなっている点にも注目してほしいです。
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カットラインより上?
それ、グレアじゃん。 -
いやいや、前にゾーンIII(ゾーンスリー)について勉強したじゃないですか~。グレア光とは全然違うから!
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新型モデルではパワーが上がっているので、単純に明るくするだけだと、ゾーンIIIが明るくなりすぎてしまう問題が出てきます。
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ゾーンIIIが明るくなったら本末転倒っていうか、対向車にも迷惑?
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そうですよね。ゾーンIIIは、明るさの上限も下限も決められているのでゼロにするわけにはいきませんが……
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へぇ~、ゾーンIIIにもルールがあるんだ。
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新型モデルではゾーンIIIの下限はクリアしつつも、明るさを抑え、カットライン下と上で、よりメリハリを効かせています。
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ほお~!!
そういうことかぁ~。 -
マルチリフレクターヘッドライトで、ここまでシャープにカットラインを出すのは大変なんですよ。
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IPFは、本当にヘンタイですね。
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……。
(褒められているんだろうか) -
新型のLEDヘッドライトは、ゾーンIIIもパワーアップしているようです!!
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いや、その言い方はちょっと語弊があるっていうか、むしろ逆……。私の話、聞いてました?
従来モデル・ロービーム
✔ ヘッドライトの明るさの分布が分かる「等照度曲線」
新型モデル・ロービーム
✔ LEDヘッドライトの明るさを語る上では、カットライン直下の明るさこそ重要。
✔ 理由は「一番遠くを照らす光が、カットライン直下の光」だからだが、この性能はルーメン値では判断できない。
ここでは「ホットゾーンの分布の違い」が分かるよう、あえてやや暗めに露出補正して撮影してみる。
そもそも壁や路面の明るさは、カメラの露出でどうとでも明るく見せられるので「全体に明るく見せることを目的とした写真」には意味がない。(どうせ写真では本当の明るさは分からない、とも言える)
だから、ここで注目するべきは、壁の明るさではなく「三者の差」である。
純正ハロゲン・ロービーム
従来モデル・ロービーム
新型モデル・ロービーム
✔「ゾーンIII」とは?
標識を照らしたり、対向車や歩行者からこちら(車)を視認してもらうための光が「ゾーンIII」。カットラインより上に、意図的に飛ばしている。対向車を幻惑する「上方散乱光(グレア光)」とは、全然別モノである。
その結果、カットラインがシャープになっているんですよ
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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