LEDヘッドライトバルブの知識
コンパクトなLEDヘッドライトバルブの、メリットとデメリット
最近のLEDヘッドライトバルブの傾向として、純正球(ハロゲンバルブ)に近いサイズが増えているが、その特長を知りたい…という読者からの質問。DIYラボアドバイザー・IPFの市川研究員に、コンパクトなLEDヘッドライトバルブのメリットとデメリットを聞いた。
コンパクトなLEDヘッドライトバルブが増えているが…
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読者の方から頂いた、LEDヘッドライトバルブに関する鋭い質問。
●レポーター:イルミちゃん
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これまでDIYラボ上で推してきたのは、ヒートシンク大きめの(放熱性の高い)LEDヘッドライトバルブでしたが……
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最近はもっとコンパクトな純正球(ハロゲンバルブ)サイズのLEDヘッドライトもあるんですよね。
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そうですね。LEDヘッドライトバルブ市場の主流は、コンパクトなモデルになりつつあります。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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そしてTさんの指摘にもある通り、実はIPFのラインナップにもコンパクト版があるという。
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……そのわりに、コンパクトサイズのLEDヘッドライトバルブのことを、DIYラボ上では市川研究員はあまり語ってきませんでした。
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……ええ、まあ。
そうですね。 -
それゆえに、読者のTさんから今回のような質問というか「ツッコミ」を頂く格好になっているわけですよ。
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確かに……。正直に言って「理想のLEDヘッドライトバルブ」として本来オススメしたいのは、従来からあるオールインワンモデルです。この点は今も変わっていません。
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それが、DIYラボ上であまりコンパクトモデルを推してこなかった理由なんだ?
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そうですね。技術的な側面から言えば、コンパクトモデルにはデメリットも多いですから。
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おそらく質問者のTさんが気にしているのも、そのあたりかと。
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もちろんIPFとして作る以上は、コンパクトであっても問題のない設計にはしてはいますよ。
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そりゃそうですよね。
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しかしだからといって、従来モデルを超えるものが作れるわけではありません。私がDIYラボ読者の方に、あえて積極的に推してこなかったのはそういう理由です。
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そういうことなら、ここで両者の違いをきちんと説明しておく必要がありますね。今回のようなリクエストが来たからには。
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分かりました。それでは私も、ぶっちゃけて解説しましょう。
■ 質問
ここ近年、ハロゲンバルブに限りなく近いサイズのLEDヘッドライト╱フォグバルブが増えており、IPF様からも発売されていますが、こうしたバルブの特長や長所短所(着脱しやすさ、放熱性能などなど)について詳しく御教示頂けないでしょうか?
質問者╱Tさん
純正球サイズのLEDヘッドライトバルブのメリット
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コンパクトタイプのLEDヘッドライトバルブやフォグバルブには、メリットとデメリットがハッキリあります。まずはメリットから先に触れていきましょう。
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ふむ。
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一番のメリットは、純正球サイズゆえに「付く・付かない」の問題を気にしなくて済む点です。
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それは重要だ。
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IPFの上位モデルのLEDヘッドライトバルブを例にすると、後部に大型のヒートシンクが付いています。
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放熱性を重視した結果のデザインだけど……お尻が大きい、とよく言われるそうな。
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そのためヘッドライトの後ろにポンプ等があると、それを外してからでないとバルブ交換ができなかったり、そもそも装着不可になるケースもあります。
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付くと思って買って、付かなかったら大変ですね…。
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もちろんそういうトラブルが起こらないように、メーカーとしては適合表などを公開しているのですが……
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ふむ。
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適合表などを見ないで、買ってしまう方も少なくはありません。
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それは……別問題のような気もするが……なるほど。
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しかしその点、純正球サイズのLEDヘッドライトバルブならば「装着できない」事態は基本的には起こりません。
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同じサイズのハロゲンバルブが今まで付いていたんですからね。
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ハイ。切れた電球を交換するのと同じようなノリで、LED化できる、ということですね。
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「買ったけど付かないんだけど!」「え? 適合? そんなの見てなかったよ!」系のトラブルが起こらないんだ。
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そうです。メーカーや販売店の立場からすると、そのメリットは大きいですよ。
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確かにね。
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同じ理由から「対応車種が増える」点も、メリットとして挙げられますね。
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なるほど、なるほど。
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それから取り付け作業においても、バルブの後部に大きいヒートシンクが付いていると、車種によってはいったんウォッシャータンクなどを外す……といった作業上の手間が増えるケースがあります。
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純正球サイズのコンパクトなLEDヘッドライトなら、そういう手間も発生しない。
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ハロゲンバルブの交換作業でも何かを外さないといけないような車種を除けば、手軽に交換できるわけです。
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ここまでの話で、コンパクトなLEDヘッドライトにメリットが多いのは分かりましたが……
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はい。
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しかしいっぽうでIPFの上位モデルが大きなヒートシンクを搭載しているのは、理由がありましたよね。
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そうですね。私がこれまでにいろいろと、DIYラボ上で解説してきた通りです。
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それなのにコンパクトに作って、大丈夫なのか? という話です。本題はここからだ。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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