ヘッドライトのLED化
LEDヘッドライトのムラ(明るさムラ)は、配光性能の進化で消せることが判明
LEDヘッドライトの明るさムラ問題。LEDバルブ特有の現象で、気にしていない人にとっては「何のこと?」という話だが、気にし出すと気になり出す。そんな光ムラが配光性能の進化で解消。勝利の壁ドンは、ムラなく白い。
気にし出すと気になり出す、LEDヘッドライトのムラ(明るさムラ)問題
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「H4のLEDヘッドライトバルブに大本命登場か!?」の続き。最新鋭のH4・LEDヘッドライトバルブは、なにが進化したのでしょうか?
●レポーター:イルミちゃん
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「色」や「明るさ」でも進化していますが、DIYラボにおいてはやはりまず、「配光」の話から入りましょう。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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従来モデルのときから、マルチリフレクター車でもビシっとカットラインが出るのが自慢でしたよね。
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しかし、配光はカットラインの問題だけではありません。新型H4バルブでは、明るさムラ(配光ムラ)の解消まで実現できています。
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……なんのことですか?
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これは、汎用チップを並べて作るLEDバルブ特有の問題になります。
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ふむふむ。IPFのLEDヘッドライトバルブも、従来モデルでは、汎用チップを4連で並べていました。
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この構造だと、どうしてもチップとチップの間に、光らない部分が出てきます。
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まあ、厳密に言えば、限界まで寄せても隙間ゼロにはできませんね。
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これがどうしても、光ムラ(明るさムラ)の原因になるんですよ。
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え~っと、何のことか分からないので、壁ドン(※)照射で分かりやすくチェックしてみましょう。
※「壁ドン」とは、壁にライトの光を当てて配光を見ることを指す。
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十分キレイなカットラインが出ていますが、何か?
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見てほしいのはこのへん。スジ状にカゲが出てくるのが分かりますよね。
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これは、純正電球の光源(フィラメント)では起こらない現象なのです。
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本当だ……。純正ハロゲンは暗いし黄色っぽいけど、シマシマはない。
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そうなんです。純正のフィラメントは、「光らない隙間」なんてないので。
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なるほど。複数チップで明るさを稼ぐ、LEDバルブ特有の問題なんだ。
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そうなんです。
従来のH4・LEDヘッドライトバルブ
純正ハロゲンバルブ
※上の3枚の画像は、全て同条件で撮影したもの。(シマシマが分かりやすい露出で撮影)
LEDヘッドライトのムラは、H4タイプで特に起こりがち
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この問題、ヘッドライトがプロジェクタータイプであればそんなに気にはならないんですよ。
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ヘッドライトの構造にもよると?
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そうです。プロジェクターの場合はいったん光を集光させるので、問題ないことが多いです。
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ふむふむ。
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しかしH4バルブの場合、現在ではたいていの車がマルチリフレクタータイプを採用しています。
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マルチリフレクターは反射光がそのまま路面を照らすので、バルブ光源から「光が出ている部分」と「出ていない部分」の差が、そのまま出やすいのです。
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つまりH4は、ムラがモロに出やすい。
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そういうことになります。ただ、この問題は灯体側の作りにもよるので、車種によって傾向が違いますが、気になる車種では気になりやすい。
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しかし、壁ドンするならともかく、普通に路面のアスファルトを照らしている状況で分かるもんですかねぇ?
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中には「気になる」というお客さんの声もありました。
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……皆さん、よく気づくなァ。IPFフリークはマニアが多いからかな。
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普通に走っている分には気づかなくても、段差などをまたいだ瞬間に光が上下に動く場面で、気になったりする。
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あ~。ムラがあるせいで動きが目に見える、みたいな。
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そうなんですよ。で、一回気になり出すと、どんどん気になってくる……という。
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う~ん。
日本人は神経質だから。
✔ 光源の光をプロジェクターで集光して路面を照らす、プロジェクターヘッドライト(※写真のように、ロービームはプロジェクター車も多い)。
✔ 光源の光を、リフレクターで反射させて路面を照らす、マルチリフレクターヘッドライト。
LEDチップをゼロから開発した恩恵が、「配光」に出る
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前回説明した通り、新型のLEDヘッドライトバルブでは、H4専用設計のLEDチップを使っているので、筐体としてはワンチップで隙間がありません。
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ということは、カゲの出る原因はなくなった?
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そうなんです。純正LEDヘッドライトのように、均一に照らします。
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では改めて、従来モデルと「壁ドン比較」してみます。
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本当だ!
キレイに白で塗りつぶしたみたいになってる。 -
光が均一なら、段差をまたいでも、その動きが感じ取れなくなります。
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なるほど。
これも配向性能の進化のひとつなんだ~。 -
ほぉ~。
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比べないと分かりませんが、従来モデルは少しにじんで見えます。
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マルチリフレクター車で、光源を社外品に交換した上で、ここまでカットラインをキレイに出すのは驚異的です。
純正ハロゲンバルブ
従来モデルのH4・LEDヘッドライト
新型のH4・LEDヘッドライト
※上の3枚の画像は、全て同条件で撮影したもの。
カットラインも従来モデルより鮮明(シャープ)に出ているんですよ
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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