車検に通るヘッドライトの条件╱ケルビン数の目安

車検場でのヘッドライトの明るさ測定がハイビームからロービームに変わったことで、「ヘッドライトの車検」について関心を持つ人が増えている。「ヘッドライトが車検に通るための条件」をあらためて整理した。

車検時の測定方法がロービーム測定に切り替わったことが話題ですけど、ヘッドライトの規定は明るさだけではありませんよね?
「明るさ」と「色」ですね。そしてロービームでの明るさ測定のために「配光」が問われるようになった、ということです

アドバイザー:IPF・市川研究員
色は「白色」であること。ただし平成17年12月31日以前の車は「黄色」もOK

車検場では色のチェックは、検査官の目視で行う。
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色は白色でなければいけませんが、平成17年12月31日以前の車は「白色または黄色」です。
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昔のクルマは黄色もアリだったんですねー。
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その年代の車種では、今でも黄色にする人はいますよ。昔の車が好きで、こだわりがあったりします。雪道は圧倒的に見やすいですしね。
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でも、現行世代の車は「白のみ」だと。……ここで問題になるのは「青白い白」がどこまで許されるのか!
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ドレスアップで人気があるのは、ケルビン数の高い青白光ですからね〜。
車検に通る限界のケルビン数はどの位か?
4300K ⇒黄色みあり

6000K ⇒白

6850K ⇒青白

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ケルビン数(色温度)は高くなるほど白から青に近づき、低くなるほど白から黄色へと近づきます。
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何ケルビンまで車検に通るんでしたっけ?
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ええっとですね、明確にケルビン数で決まっているわけではないんですよ。これが。
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え、なんですかソレ?
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まず下限。約2500ケルビン付近から大丈夫なものもありますが……実際の色の範囲は、1方向の線ではなくX軸Y軸があって、同じ2500ケルビンでも白ではなく黄色に該当してしまうものもあるんです。
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ええ〜!!
まぎらわしい! -
同ケルビン=同じ色ではないのです。極端な例を挙げると、ムラサキっぽい6000ケルビンもあれば緑っぽい6000ケルビンもある。
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そういえば同じ6000ケルビンでも、メーカーによって色合いは微妙に違いますね〜。アレのことか。
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そうなんですよ。しかも車検の場合は、最終的な判断をくだすのは検査員。つまり人間の目です。
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2500ケルビンは、見た目にはどう見ても黄色ですよねぇ。
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そうです。つまり落とされる可能性も高い。でも規定でいうと、白の範囲に入っている2500ケルビンも存在しています。
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なんだかなぁ。そのへんのルールは、もう少しハッキリしてほしい気がしますねぇ。
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ですから現実問題としては、「安全マージンを取ったケルビン数」が無難ではあります。
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では、人間の目で見て常識的に白だな〜って言えるのは何ケルビンぐらいからなんでしょう?
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「下限」は電球色まで、という風に考えるのが無難でしょうね。ようは純正ハロゲンの色温度。これがだいたい3000ケルビンぐらいです。
青白は何ケルビン位までが車検に通る範囲?
ケルビン数が上がると白⇒青に近づく

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ドレスアップ的には、車検に通る「上限」のケルビン数が知りたいですよね。
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条件は、7000ケルビンを越えない程度がひとつの目安ですが……
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さっきのリクツで、7000ケルビンで通らないものも出てくると?
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そうなんです。ギリギリまで攻めると白の範囲から外れるものも出てくるので、無難なのは6500ケルビン前後と考えたほうがいいです。
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IPFのLEDヘッドライトバルブも、6500ケルビンですもんね。
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H11のLEDバルブは、7000ケルビンの設定もあります。でも同じ7000ケルビンでも、LEDはHIDより白く感じる。IPFの6850ケルビンのHIDと、7000ケルビンのLEDを並べると、HIDのほうが青白に見えますからね。
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へぇ〜。
LEDとHIDでも違うんですね! -
光の波長が違うためですね。そういう意味ではLEDヘッドライトバルブなら、7000ケルビンでも白色範囲に収まっているものが多いと思いますよ。
明るさは測光ポイントが6400カンデラ以上
ロービーム(すれ違い灯)の明るさは6400カンデラ以上です。測定場所も決まってます


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HIDや最新LEDバルブなら、明るさ的には心配ないと思いますが……心配なのは配光です。
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9月1日からロービーム測定に切り替わり、従来のハイビーム測定のように「明るささえ出ていれば事実上OK」という状況ではなくなったわけですね。
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そうです。ロービームはカットラインがしっかり出ていないとテスターが正しく明るさを測定できないため、車検に落ちてしまう可能性があるのです。
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この問題は「H4ヘッドライトのLED化は配光性能が問われる時代へ」で詳しく触れています。気になる人はそちらもチェック!
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。

DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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