>>> 車高と乗り心地（第2回）

車高を下げることで乗り心地が悪化しやすい足回りと、そうでもない足回り

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「車高と乗り心地」連載の第2回め。足回りは車種やメーカーによって異なるが、それは車高を下げたときの乗り心地に影響する。乗り心地が悪化しやすい足回りもあれば、そうでもない足回りもあるが、その違いはなんなのか。

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  「車高を下げると乗り心地が悪くなるのは当然なのか、回避できるのか？」の続き。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  車高を下げると、足回りのストローク量が減るので、純正状態より乗り心地が悪くなるのは当然だという話をしましたが……

  ●アドバイザー：J-LINE 氏家研究員

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  ふむ。
  しかし、車種によっても事情が違うとか？

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  そうですね。なぜかというと、純正状態での足回りのストローク量は車種によって違うので。

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  フムフム。

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  たとえば軽自動車は、構造上、純正の状態から足回りのストローク量が少ない車種が多い。そういう車で車高を下げると、当然、乗り心地が悪くなりやすいです。


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  もともと絶対的なストローク量が少ないだけに、どんな車高調を付けても避けられない問題です。

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  この場合は付けた車高調が悪い、とかっていう問題ではないんですね。

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  逆に純正でストローク量の多い構造の足回りならば、ちょっとくらい車高を下げても、乗り心地への悪影響は軽微だったりする。

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  ベース車の特性で、ダウンサスや車高調を付けたときの乗り心地も変わってくるのか。

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  軽自動車は……という例を挙げましたが、実際のところは軽自動車の中にもけっこう差があります。

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  ほお。
  そうなんだ。

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  昔からの傾向でいうと、スズキ車の足回りは動く範囲が少ないものが多いです。



スズキ車・ワゴンRの足回り

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  スズキ車の場合、低車高仕様だとショックのストロークが2～3センチ程度しかないような状態もざらにあります。

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  ちょっとストロークしたら、すぐ底付き？

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  まあ、そういうのは極端に車高の低い車の話だとしても……。

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  ふむ。

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  しかし、一般的な3～4センチダウンくらいのダウンサスで車高を下げても、それなりに乗り心地は悪くなってしまいます。

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  ダウンサスでも……か。

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  逆に同じ軽自動車でも、ダイハツ車はストローク量が多い傾向です。

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  ショックも、ダイハツ車は長めのものが付いているんですね。スズキ車とは構造が違う（↓）



ダイハツ車・ムーヴの足回り

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  だから、ダイハツ車の3センチダウンと、スズキ車の3センチダウンでは、結果（乗り心地）も違います。

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  ダイハツ車のほうが、車高を下げたあともストロークを残しやすいってことね。

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  だから、ダイハツ車は3センチ車高を下げてもそんなに乗り心地が悪くならないのに、スズキ車では乗り心地が悪い……なんていう事態が起こるんですね。


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  スズキ車オーナーとダイハツ車オーナーが「車高と乗り心地」について意見交換すると、ややこしいことになりそうだ。

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  そうなんですよ。スズキ車のオーナーが「3センチ下げただけなのに乗り心地悪いんだよなぁ」って言っても……

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  ダイハツ車オーナーからすると、「自分も3センチ下げたけど、そんなに乗り心地は悪くないよ!?」ってなる。

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  「似たようなローダウン量なのに、乗り心地に差がある」となると、みんなバネを疑いますが……

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  ダウンサスの場合だとしたら、そこしか疑うとこないもんね。

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  バネの善し悪しっていうのは、もちろん若干はあるかもしれないけど、体感できるほどの乗り心地の差はほとんどないはずです。

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  でもバネレートが違えば、乗り心地も変わりますよね？

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  もちろん、バネレートが高いバネ（固いバネ）と低いバネ（柔らかいバネ）の差は明確にありますよ。


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  でもダウンサスは、そもそもバネレートは低く、柔らかいんです。柔らかくしないと車高が落ちないんで。

✔ ひとくちメモ

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短いバネに交換すると、遊んでしまい（ガタができて）車検に通らなくなる。そこでバネの長さを保ったまま車高を落とすために、バネレートを低くする……というのがダウンサスの基本的な考え方。

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  それもそうか。ダウンサスのバネレートの条件はそんなに変わるもんじゃない。

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  こういう場合は、バネが悪いというより「ストローク量が少ない」のが主因だったりするので、車の構造的な問題と言えます。

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  なるほど。

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  控えめなダウンサスレベルのローダウン量でも、乗り心地が悪いケースはありえるということです。

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  車の構造によって乗り心地が悪化しやすいパターンなら、悩んでも仕方ない問題？

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  乗り心地を回復させようと思ったら、ダウン量を減らすしかないですからねぇ。

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  ……ナルホド。

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  乗り心地を決める要素はいろいろあるとはいえ、中でも影響が大きいのがストローク量です。まずはその点を知っておいてほしいです。

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  だからこそ、車高を下げる以上は、乗り心地が悪化するのは避けられないっていう前回の話にも通じる。

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  そうですね。「純正より悪くなる」のは当然といえば当然です。

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  自分が感じている乗り心地の悪さが、そういう性質のものだというなら、諦めがつく人も多いと思うんですけど……

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  ふむ。

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  しかしいっぽうで、選んだ足回りやセッティングに問題があるケースだって考えられますよね？ 特に車高調の場合は。

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  もちろん、そういうパターンも多々あります。

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  そこを見極められないと「これは構造的なストローク量の問題だから仕方ない」って、なかなか思えないんじゃないでしょうか？

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  そうですね。では、次回からは別の原因について探っていきましょう。