軽自動車のローダウンが、普通車のようにはいかない理由

軽自動車のローダウンは、普通車とはかなり違う。昨今、偏平タイヤやアーム類のラインナップが増えてきているが、これも普通車の話。それらの恩恵がほぼない軽自動車のカスタムは、そういう意味でハイレベル。その苦難の事情を解説しよう。

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  普通車と軽自動車では、足回りカスタムの環境はずいぶんと違います。

  ●アドバイザー：J-LINE 氏家研究員

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  何が違うんでしょう？

  ●レポーター：イルミちゃん

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  カンタンに言えば、軽自動車はタイヤハウスが狭くて余裕がない。


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  今の時代は「扁平タイヤサイズ」や「アーム類」といったパーツの選択肢が増えて、車体を加工しなくても足まわりカスタマイズはできる……という話をしましたよね。

  ※「フェンダーの爪（耳）を切る前に、知っておくべきこと」参照。

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  はい。
  しかしソレは普通車の話、ですね。

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  軽自動車は、低く車高を落とそうとすると、今でも加工しないと厳しい側面があります。と言うより、新しい車になるほど大変になっている面すらある。

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  なぜなんでしょう？

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  限られたボディサイズの中で、できるだけ室内を広くする……ということが優先された車の設計だからですね。

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  確かに、最近の軽自動車は意外なほど室内が広く感じますけど…、

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  そのシワ寄せとして、タイヤハウスにはまったく余裕がないのです。

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  ……なるほどね。

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  エンジンが進化しても、エンジンルームは狭いままだから、フロントのタイヤハウスもそんなに天井位置を上げられない。


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  要するに、前後ともタイヤのスペースがギリギリなんですね。

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  まあ、ノーマルで乗っている分には何も意識しないのですが……、

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  車高を下げるのは、構造的に非常にやりにくいんです。

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  しかし軽自動車のタイヤハウスが狭いとはいっても、その分、タイヤサイズ（ホイールサイズ）は小さいですよね？

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  いや、そうでもありません。軽自動車のローダウンがやりにくいもうひとつの要因がタイヤです。

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  フムフム。

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  軽自動車のインチアップでは、トレッド幅165のタイヤを使う以外に事実上の選択肢がありません。

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  つまり、普通車のように細身のタイヤを履かせて引っ張って肩を寝かせる、という技がやりにくい？

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  ですね。タイヤが165しかないなら、ホイールを太くして引っ張るしかないのですが、J数を太くしようにもタイヤハウスに奥行きもない。

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  すぐに奥にぶつかってしまう。

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  7Jクラスになると当たりやすくなるので、6.5Jをオススメしますが、6.5Jに165/40-16のタイヤを組み合わせても、引っ張り具合としては「ほどほど」レベル。



「165/40-16と6.5Jのマッチングが軽自動車のローダウンに一番有利」参照。

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  例えば、普通車の20インチホイールに、225/30-20や235/30-20を履いた時のような、引っ張りタイヤにはならないんです。



9.5Jに225/30-20を組んだ例。「20インチの引っ張りタイヤマッチング」参照。

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  軽自動車に乗っている読者の方から、「どうしても普通車のような引っ張りタイヤにできない」という悩みを聞いたことがありますが……。

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  それはそもそも無理な話なんですね。7Jに165を組めば引っ張り感はもっと出てきますが、7Jでも、軽自動車には太すぎるサイズです。

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  タイヤを細くすることも、ホイールを太くすることも難しい……というわけか。

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  以上のような理由で、軽自動車で、それなりに車高を低くしつつ、乗り心地も良くなるようにストロークを取ろうとすると、車体側の加工が必要になってきます。

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  新型ワゴンRでも、J-LINEが相変わらずタイヤハウスをガッツリ加工しているのはそのためですね。


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  軽自動車の場合は、車のサイズに制限があるので、ドレスアップの制限も大きいのです。で、切った貼ったの加工が必要になる。

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  そういえば同じJ-LINEでも、デモカーのアルファードのタイヤハウスはどうなっているんですか!?

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  車体側は特になにも触ってないんです。車高調とアーム類、あとはタイヤサイズの選び方で、この位の車高（↓）にできてしまうんですね。



「30アルファードの車高を落としきるJ-LINEアーム」参照。

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  同じように車高が低い車でも、普通車と軽自動車ではずいぶんと中身に差があるようですね。