>>> バネ交換ガイド(第6回)
車高調が硬い! バネレートを下げることで、乗り心地は良くなるの?
車高調にしたら硬くて、乗り心地が悪い……という悩みは多い。高いバネレートで攻め過ぎてしまった場合、バネレートを下げたら、乗り心地は良くなると言えるのだろうか。
車高調が硬い、乗り心地が悪い原因は、本当にバネレートか?
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「車高調の乗り心地が硬い!乗り心地が悪い!」……というときに、バネを交換する手はアリなのでしょうか?
●レポーター:イルミちゃん
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乗り心地が悪い原因が底付きやバンプタッチ等ではなくて、今付けている車高調のバネレートがすごく高いのであれば、アリでしょうね。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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ふむ。底付きやバンプタッチは別記事で触れているので、ここでは除外します。
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上のような問題は、起こっていないとすれば?
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乗り心地が硬いと感じる原因がバネの硬さ(バネレートが高い)にある、というケースももちろんあります。
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やっぱり。
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例えば、ガチガチに硬い車高調だと、10Kどころか20K(※kgf/mmの略)など、かなり高いバネレートが入っていることもありますから。
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なぜ、そんなに硬いバネを入れているんだろう?
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ドレスアップカー用の車高調に関して言えば、スタイルとからんでくることが多いですよね。
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スタイルというと……
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「ビチビチのツライチにして、低車高にして、なおかつ当たらないようにしたい」みたいなセッティングが好きな人向けに、そういう車高調があるわけです。
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確かにツライチにするなら、足回りが柔らかいと干渉してしまう問題がありますね。
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まあ、だからこそ「乗り心地を重視するなら、ツラウチにするしかない」……と言ってきた通りですけども。
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う〜む。スタイルは好みの問題だし、ツライチ優先だとすれば、仕方ないか。
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そうなんですが、バネレートが20Kとかになってくると、街乗りでの乗り心地は、しんどいと感じるはずです。段差をまたいだときも、衝撃を吸収してくれませんから。
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お尻が痛そうですね。
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それで「もっと普通の、当たり前のバネレートに落としたいんです」……と相談してくる人はけっこういます。
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そういう人は、バネ交換で問題解決できる?
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条件によりますが、基本的には、「快適になりました!」「こんなに変わるんだ!」っていうパターンが多いです。
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おお。
やはり試してみる価値はありそう。 -
しかし、車高調が硬いのは、バネのせいだけとは限りませんが。
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……ん?
例:16Kの硬いバネ
例:バネレート8K・自由長170ミリのバネ
ショックの減衰力調整はどういう状態なのか?
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バネレートが高めの車高調なら、当然、ショックもそれに合わせたセッティングになっていることが多い。つまり、ショックも硬かったりします。
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あ、そっか。まずは、現状の減衰力のチェックはしておきましょう。
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ただ、減衰力の調整機能は付いていたとして、それを全開まで軽くしていても、それでも硬いと感じるショックもあります。
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ナルホド。
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そういう場合は、バネの交換だけで、乗り心地が満足できるレベルまで柔らかくなるとは限らないです。
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だからといって、バネもショックも交換となれば……それって車高調買い直しと同じだし。
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まあ、だいたいのケースでは、バネを換えるだけでも乗り味の硬さはだいぶ変わってくるものではありますけどね。
単純にバネレートを下げるだけでいいのか?
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ところで、今回のバネ交換の目的は、「車高をもっと下げたい」ということではありませんよね。
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そうですね。
車高はそのままで、乗り心地の改善が目的です。 -
だとすると、単純にバネレートを柔らかくするだけでは車高が落ちてしまう、という点は考えないといけません。
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……そういえば、「車高を下げたい」ときに「バネレートを上げる」と、効果が相殺するという実験をやりましたが……
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今回の話はこれと逆で、「バネレートを下げる」。同じ自由長なら、車高も落ちるのですよ。
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……そういう展開になりますね。
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だからバネレートを下げつつ、車高の下がらないようなバネを選択する必要があります。
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なるほど。
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例えばバネレート20Kのバネを、ごく普通のバネレートである、6Kとか8Kに換えるわけですから……
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なんだか、車高が劇的に下がってしまうような気が……。
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とはいえ、20Kとかの高いバネレートのバネが付いた車高調って、たいていバネもすごく短いんですよ。
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ほお。
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普通のバネが縮んだときの長さに近いようなレベル……例えば10センチしかないよ、みたいなノリのバネだったりする。
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硬くて長かったら、それこそ車高が落ちないでしょうから、短いのも頷ける。
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そうなんです。だから硬い車高調=短いバネ……という傾向です。
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フムフム。
それで? -
いっぽう、交換しようとしている6キロとかのバネに、そんなに極端に短いバネなんて、そもそも設定がないことが多いんですね。
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あ~、そういうことね。
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つまり、どのみち今より長いバネを選択することにはなるはずです。
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そういう意味では、一方的に車高が落ちるということにはならない。
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「で、何センチのバネにしたらいいの?」という質問に対しては、軸重(※車重ではない)にもよるし、ケースバイケース。やってみないと、分からない面がありますが…。
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ここは机上の論より、実践的に試すほうが分かりやすい。そこで! 実験その2「バネレートを下げたら、車高はどうなるの?」に続きます。
例:バネレート6K・自由長150ミリのバネ
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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