足まわりコラム
乗り心地を改善するためにタイヤの扁平率を上げるのはアリか?
普通はタイヤの扁平率を下げてホイールをインチアップするが、タイヤが薄くなれば乗り心地は悪くなる。逆にタイヤの扁平率を上げて、車の乗り心地を良くするという発想はアリなのか?
タイヤの扁平率を上げると乗り心地は良くなりそうだが……
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ドレスアップの場合は、ホイールをインチアップするからタイヤの扁平率を下げて、外径を純正と揃えるっていうのがセオリーですが……
●レポーター:イルミちゃん
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実際には車高を落としたときに当たりにくくするために、少し外径を小さく抑える人も多いですが。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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どちらにしても、純正タイヤより扁平率は下がる。
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そうなりますね。
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でも、扁平率が下がるほど、乗り心地は悪くなる。
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まあ、そうですね。
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そこで質問なんですが、あまり車高を落とさない前提で、あえて高めの扁平率を選ぶ、というのはアリなのでしょうか?
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ふーむ。
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例えば20インチを履くにあたって、通常なら35扁平を使うような場面で、40扁平とか45扁平をチョイスするっていうのは……?
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それで入る(履ける)ならいいと思いますが、その場合でも「もともとの純正外径からそれほど誤差がない」のが前提にはなってきますね。
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純正外径より大きくなるのはやっぱりマズイ?
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外径が純正より大きくなるのは、よりデメリットが大きいかと。
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どういうデメリットでしょうか?
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タイヤ外径が変わることによる、スピードメーターの誤差の話は前にもしましたが……
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純正外径より大きいほうに転ぶと、メーター読みの速度より、実際の速度のほうが出ていることになります。
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えーっと、つまり高速道路の120キロ区間を120キロで走行しておりましたところ……
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実際には130キロ以上出てました、みたいな状況になるわけです。
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捕まる方向性。
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それから純正より極端に外径が大きかったら、ハンドルも切れなくなったりします。タイヤがインナーに当たって。
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シャコタンでもないのにシャコタン状態になる。
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そうですね。外径を変えるのは基本的にリスキーですが、特に純正より大きくなる方向については問題が多いかと。
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やっぱり乗り心地目的でタイヤの扁平率を高めにするっていうのは、無理があるか。
純正タイヤよりも扁平率を上げるコダワリ派もいる
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でも中には、「あえて純正タイヤより扁平率を上げたい」という人だっています。
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え?
純正よりも……? -
もともと純正で18インチあたりを履いていて、「タイヤの扁平率が低めで乗り心地が悪いから、もう一段扁平率の高いタイヤに交換したい」と。
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でも、そうするとさきほどの問題が……。
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そうですよね。ノーマルタイヤが45扁平だから、50扁平にしよう、というのは難しい話です。
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できないじゃん。
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だから、そういう人はタイヤの扁平率を上げるためにホイールをインチダウンするんですよ。
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ほえー。
そんなのアリか。 -
ドレスアップではなくて、乗り心地にこだわる人ですね。純正の乗り心地でもゴツゴツしていてイヤだ、というレベルの話ですので。
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同じコダワリ派でもドレスアップとは真逆だ。
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たま~に、スパイスにもそういうお客さんもやってきますよ。
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それなら確かに、タイヤサイズの選択肢は広がるなー。
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ただし、この手法が通用するのは、純正でビッグキャリパーなどが入っていないのが前提です。
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純正ビッグキャリパーの車だと、うかつにホイールを小さくすることはできません。
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キャリパーに当たるからか。
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キャリパーが大きくない車でなら、ホイールをインチダウンしつつタイヤの扁平率を上げて、純正外径に揃えるという履き方は可能ですね。
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なるほどね~。
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ホイールサイズを変えずにタイヤサイズだけを変えるっていうのは、無理があるケースが多いですね。そんな人はあんまりいないです。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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