車とアウトドア
ポータブル電源ではなく、ディープサイクルバッテリーをキャンプで活用するメリットとデメリット
ディープサイクルバッテリーとポータブル電源。どちらもキャンプなどのアウトドアや防災時の電源として使えるが、エーモン発のアウトドアブランド〈OGC〉はディープサイクルバッテリー推し。その理由を聞いた。
リチウムイオン電池を搭載したポータブル電源との違い
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「ディープサイクルバッテリーをキャンプで活用できる、OGCコントロールボックス」の続きです。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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リチウムイオン電池を内蔵したポータブル電源ではなく、「ディープサイクルバッテリーをキャンプで活用しよう」というOGCの狙いはよく分かりました。電源の選択は、キャンプでは大きな問題ですからねぇ。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。
今日はそのメリットについて解説しましょう。 -
当然、気になるデメリットにも言及しておきたいところですが、まずはメリットから。
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DC12Vディープサイクルバッテリーを含めた12V鉛蓄電池は、車の中で使うことも前提の電源なので、車内に置いておいても火災事故にはつながりません。
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……確かにリチウムイオン電池は、ときどきに耳にする発火事故に対する不安は拭いきれない面がある。
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リチウムイオン電池は軽量で高エネルギーですが、衝撃や高温には弱く、夏場の車内などに置いておくと発熱、発火のリスクが存在しますので。
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リチウムイオン電池を車内に置きっぱなしにするのは止めましょう。
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DC12V鉛蓄電池であるディープサイクルバッテリーの場合は、そういう心配がないのがメリットです。
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その点は大きいメリットと言えますね。
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ちなみにディープサイクルバッテリーは、マリン用途ではよく使われているバッテリーなんです。
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マリン用途?
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釣りでアルミボートなどに載せて、電気でモーターを動かして船の推進力にするエレキの電源だったり、魚群探知機の電源としても使われます。
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なるほど、なるほど。
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だからマリンショップでも、ディープサイクルバッテリーが売られていたりするのです。
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今どきのリチウムイオン電池に比べるとニッチな存在だと思ったけど、そのメリットが理解されている世界もあるわけですね。
サブのDC12Vディープサイクルバッテリー+車載バッテリーを併用できる強味
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OGCコントロールボックスは、12V鉛蓄電池からキャンプ用の電源を取り出すためのもの……なので、実は普通の車載バッテリーにもつなげます。
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普通のバッテリーとつなぐと、放電で劣化するからNGなんじゃないの?
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充放電を繰り返すような使い方はNGです。だから、普通の車載バッテリーにつなぐときは、エンジンをかけた状態にしておく必要があります。
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その使い方はアリなんだ。
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通常はしないでしょうけど、サブバッテリー用に持ってきたディープサイクルバッテリーの電気を使い切ってしまった場面。エンジンをかけられる状況なら、ガソリンがなくなるまで電気を確保することが可能になります。
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おお、そういうことか~。
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この点は意外と重要でして、キャンプなどに限らず、災害時などにも役立つ使い方と言えます。
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むむ。
そう言えば。 -
車があれば、停電が続く状況でも、スマホの充電ができたり、その他のAC100V家電が使えたりしますから。
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1家に1台、OGCコントロールボックスを!
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同じDC12Vだから、サブのディープサイクルバッテリーにも車載バッテリーにも、両方に使える。これもメリットです。
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なるほどね~。
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そしてOGCコントロールボックスは電源自体を内蔵していませんが、それゆえのメリットもあります。
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ふむ。
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ポータブル電源は電池を内蔵しているので、何年か使っていると劣化して、フル充電はできなくなってきます。
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スマホと同じですね、そこは。
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しかし、OGCコントロールボックスを使ったシステムだと、バッテリーさえ買い替えればいいのです。
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ポータブル電源を買い直せば同じことでしょ、と突っ込む人もいるかもだけど……?
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しかしポータブル電源は、良いモノはそんなに安い買い物ではないですからね~。
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そういう意味では確かに、電源本体を分離するメリットもあるわけか。
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それの応用で少し極端な例を挙げると、ロングキャンプなどで特に多くの電源を必要とするなら、ディープサイクルバッテリーを複数用意するという手もアリです。
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電気が無くなったら新しいバッテリーにコントロールボックスを付け替えればいいんだ。
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そういうことですね。最後の最後の手段では、車のエンジンをオンにして、車載バッテリーまで使えますので、電力にかなりゆとりを持てるかと。
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でも、調子に乗りすぎてガソリンまでなくなれば、逆に帰ってこれなくなりますね? これはデメリットじゃない?
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それは……程度問題ですよね。
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あと、明確にデメリットを言えば、バッテリーは持ち運ぶのが重い!
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そうですね。コントロールボックスとディープサイクルバッテリーを組み合わせるシステムのデメリットは、そこですね。
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家から車の駐車場まで離れている場合は特に大変。台車で運ぼうかな?
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ちなみにこのデメリットを軽減させる狙いもあって、バッテリーを持ち運ぶバッグなども、OGCブランドで用意してあります。
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……ほほう。
こんなのまで作ったのか! -
コントロールボックスが主役ではありますが、運用するシステム全体を考えまして、それを補完する脇役にも力を入れました。
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なるほどね。だんだんエーモンOGCの世界観が見えてきた気がする。
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次回は脇役の紹介の前にまず、主役であるコントロールボックスの使い方について説明しておきましょう。
OGCコントロールボックスは、ディープサイクルバッテリーだけでなく、車の始動用バッテリーにつないでも使える。
OGCコントロールボックスと車があれば、キャンプでの使用シーンをそのまま災害時にも再現できることになる。
別売りのOGCバッテリーバッグ(8624)を使用。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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