電装DIYの便利アイテム
エーモンのターミナルセットがモデルチェンジ。何が変わったのか?
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エーモンのターミナルセットは、電装DIYでよく使う端子やコネクターをセットにした初心者におすすめのアイテム。昔からの定番商品だが、このたび最近の車の電装の傾向に合わせてモデルチェンジ。端子の基礎をおさらいしつつ、新たなセット内容を解説する。
エーモンのターミナルセットは、電装初心者向けの超定番アイテム
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皆さん、エーモンのターミナルセットってご存じでしょうか?
●レポーター:イルミちゃん
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ターミナルセットは、電装DIYでよく使う端子類やコネクター類をセットにしたものです。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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端子やコネクターは、当然ながら単品でも買える。でも単品だと選択肢も多くて、選ぶのにそれなりの知識が必要。
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そうですね。それで電装初心者の人は「どれを買ったらいいのか分からない」という状態に陥りがちなので、よく使うアイテムをまとめたのがターミナルセットなんです。
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エーモンのターミナルセットは定番アイテムなので、このパッケージを見たことがある人も多いと思います。
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ちなみにエーモンのターミナルセットは1993年から発売開始しているので、27年も経っているんですよ。
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そんなに前からあったのか!
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細かい仕様変更は重ねながらも、基本的にはずっと、ターミナルセットとして販売継続しております。
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それだけ需要があるってことなんですねぇ。
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電装DIYを始めようとされる初心者の方には、ずっと人気のあるロングセラー商品と言えますね。
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で! そのターミナルセットが、このたびモデルチェンジした、というのが今日のニュースです。
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はい。2月22日から新型ターミナルセットを販売開始いたしました。
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電装DIY初心者向けとしては超定番アイテムですので、何がどう変わったのか、細かくチェックしていきたいと思います。
従来のターミナルセット
セット内容の違いで3ラインラップあり、従来と同じく電工ペンチ付きモデルも用意されている。
ターミナルセットに入っている端子やコネクターを初心者向き解説
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新しいターミナルセットでは内容物を見直しています。
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フムフム。
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というのも最近の車では、純正配線がどんどん細線になっている傾向がありますので、それに合わせて、中身を見直しました。
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あー、モデルチェンジってそういうことなんだ。
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従来品には入っていなかった「接続コネクター」などを加えたのもそういう理由です。
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なるほど。しかし、初心者の人だと「接続コネクターってなに?」となると思われます。
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そうですね。それでは改めて、中身の端子やコネクター類についてイチから解説していきたいと思います。
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ここでは「端子やコネクター類だけのセット」の、ターミナルセット(3361)を例に説明します。
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まず、ケースの一番左側に入っているのがギボシ端子のオスとメス。それからそれぞれの端子に使うスリーブです。
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ギボシ端子は、配線の接続に使う端子としては最もポピュラーな存在です。
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しかしギボシ端子は、適合する配線コードの太さが「0.5スケア以上(~2スケアまで)」となりますので、0.2スケアなどの細線には使えません。
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そこが問題ですよねぇ~。
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細線用として使えるのが、「接続コネクター」と「圧着接続端子」です。
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接続コネクターは0.2~0.5スケアの範囲で使え、ギボシ端子同様に脱着もできるので、使い勝手が良いです。
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配線コードへの付け方も、パチンと閉じるだけなのでカンタン。
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いっぽう圧着接続端子のほうは、0.25~1.25スケアに適合します。
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こちらは一度つなげたら脱着はできないけど、太線側の守備範囲がけっこう広い。
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それから丸型端子と、クワ型端子が入っています。
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これらは、電源線に使う端子として超定番ですね。
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丸型端子は抜ける心配がないので、バッテリーのプラス端子に直接つなぐ場面での使用を推奨しています。
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単品で買おうとすると、サイズ違いがいろいろあって迷いやすいですが……
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丸型端子の定番は8Φなので、ターミナルセットには8Φを入れています。
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なるほど。分かりやすい一択。
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そして先端が開いたクワ型端子は、ボディアース用に使う定番の端子です。
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クワ型端子もサイズがいろいろありますが、ボディアース用途だと6Φを使うことが多いので、ターミナルセットには6Φを入れています。
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ターミナルセットなら、このあたりのサイズ選びで迷うことはありません。
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次は平型端子。
オス・メスで入っています。 -
平型端子も、ギボシ端子同様、配線をつなぐときに使う端子ですが……
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平型端子は、トグルスイッチやロッカスイッチ、それからホーンやスピーカーにつなぐときに、必要になることが多い端子ですね。
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ターミナルセットには、よく使う250型の平型端子を入れてあります。
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なるほど。
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そして、ギボシ端子ダブルが入っています。
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ギボシ端子ダブルってなに? という人も多いと思いますが……
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二股になったメス端子を使うことで、配線が分岐できるギボシ端子ですね。
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普通のギボシ端子に、配線コードを2本突っ込んで分岐する人もいますが……その使い方はNGでしたね。
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そうなんです。
分岐目的ならギボシ端子ダブルを使いましょう。 -
そして、純正配線からの分岐で電源を取り出す……という場面で使うのが、配線コネクター(※エレクトロタップ)類です。
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配線コネクターだけで、4種類も入っている。
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従来のターミナルセットでは2種類でしたが、4種類に増えました。
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え~っと、赤・白・青の違いについては、以前に詳しく勉強したので分かるんですけども……
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赤い配線コネクターで形状が違うのが、もう1種類ありますね。これは何?
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0.35~1.25スケアまでと、適合する範囲が広い配線コネクター(※単品での品番は3348)も入っています。
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へぇ~。
そんなタイプもあるのか。 -
定番モデルの白~赤~青の適合範囲に少しずつ重なっているので、守備範囲が広いです。
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ここまで、ざっとターミナルセット(3361)の中身について解説してきましたが、意外と知らない端子などもあったのではないでしょうか。
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ターミナルセットは、特に使用頻度の高い端子やコネクターをセットにしたものですが、あとは実際に電装DIYを始められてみてから……
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あああーーッ!
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どうかしましたか?
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私のターミナルセット、一番右のポケットには何も端子が入ってませんよ?
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これは不良品では!?
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いいえ、不良品ではありません。そこは最初から空きスペースになっております。
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ホントに?
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実際に電装DIYを始められますと、人それぞれで使用する端子も変わってきますから、空きポケットを用意したのです! これホントですから!
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そっか、フリースペースね。
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ターミナルセットのケースは、自分の好きな端子を足したりしながら、端子類の収納ケースとして末永く使って頂ければと思います。
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端子がキレイに整理されているか否かで、電装DIYの効率は大きく変わってきますからね~。
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そういうことですね。
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次回はひき続き「電工ペンチ付きのターミナルセット」について解説していきます。
詳細はAmazonのエーモン ターミナルセット(3361)
✔ 配線への取り付け方は、「ギボシ端子の正しいかしめ方(付け方)」参照。
✔ 付け方は、「ギボシ端子の立場を脅かす!? 接続コネクター」参照。
✔ 付け方は、「圧着端子の正しい付け方と、使い方のルール」参照。
✔ より詳しくは、「丸型端子の種類と、正しい使い方」参照。
✔ より詳しくは、「クワ型端子でボディアースするための知識」参照。
✔ スイッチなどでは相手側が平型端子オスになっているので、配線側に平型端子メスをつけてつなぐ……というパターンがよくある。
※より詳しくは「平型端子が必要な場面と、サイズの選び方。250型、110型、187型の違い」参照。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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