クルマを便利にする電装DIY
配線を分岐する方法はいろいろあるけれど、どれが良い?
車の配線の分岐を、まとめておさらい。配線分岐の方法はいろいろあって、それぞれに一長一短があるもの。つい「いつもの」やり方になりがちだが、それぞれの違いを知って、作業に応じて使い分けた方がメリットが大きい。
エレクトロタップだけが配線分岐方法ではない
-
車の電装DIYでよく登場する、配線の分岐方法について、整理したいと思います。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
-
広く知られているのは、エレクトロタップを使った分岐方法と思われますが……
●レポーター:イルミちゃん
-
配線を分岐させる方法は、エレクトロタップだけではなくて、実はいろいろあるんですよ。
-
ほう。
-
ざっと紹介するだけでも、こんなにあります。
-
この他に、ハンダが扱える人は、もちろんこの手(↓)がありますね。
-
こうして並べると、確かに分岐方法っていろいろあるんだなぁ。どれがいいんだろう?
-
そこが重要なんですが……
-
どれが一番良い配線分岐方法なんですか?
-
それぞれに一長一短あるんですよねぇ。
-
フム。
-
好みの問題もあるかとは思いますが、それぞれの違いを知っておくと、DIYの作業場面に応じて適切な分岐方法を選べるようになりますよ。
-
そりゃそうだ。好き嫌いの前に、全部知っておくのが一番ですね。
圧着接続端子
スプライス端子
ギボシ端子ダブル
電源分岐ハーネス(Y型接続端子)
カンタン接続分岐コネクター
プラス・マイナス分岐ターミナル
ハンダ付け
配線分岐ポイントがコンパクトに仕上がる方法
-
エレクトロタップ(配線コネクター)はDIYの定番ですが、大量に使うとどうしても見栄えが悪くなります。
-
カニだらけ(↑)。
今日も大漁です♪ -
もっと分岐点をスッキリ、コンパクトに仕上げるなら、スプライス端子がオススメです。
-
2本の線をいっぺんに圧着して分岐に使える、という点では圧着接続端子もよく似た手法。しかし、スプライス端子のほうがより小さくできます。
-
なるほどね〜。
-
そのかわり、スプライス端子も圧着接続端子も、上から収縮チューブをかぶせて絶縁する作業が必須となります。
-
エレクトロタップのように閉じたら終了、とはいかない。
-
端子がムキ出しですので、そのままではショートしてしまいますね。
Amazonでも販売されているエーモン スプライス端子(3327)は、収縮チューブも付属していて便利。
抜き差しができる分岐方法
-
スプライス端子や圧着接続端子を分岐に使った場合、最もコンパクトにはなりますが、一度付けたら抜き差しはできません。
-
エレクトロタップも、できませんよね。
-
ハイ。外してしまうことはできますが、普段から抜き差しはできない。
-
ギボシ端子なら抜き差しできるけれど、これは1本ずつしか入れられないので、分岐にはならない……。
-
そこで登場するのが「ギボシ端子ダブル」や「電源分岐ハーネス ギボシ端子タイプ」なんですね。
-
これはメス端子が二股形状になっているので、2本のギボシ端子オスを接続できます。
-
電源分岐ハーネスは、もともとギボシ端子が付いている分岐コードです。
-
オス端子で受け取って、メス端子側の2つで2分配するんですね。
-
そうです。電源線の分岐用として人気があります。ギボシタイプのほかに平型端子タイプもあります。
ギボシ端子への2本差しはNG
ギボシ端子ダブル(二股メス端子)
エーモンのギボシ端子セット(ダブル)を選ぶと、二股メス端子が付属している(オスは普通のギボシ端子と同じ)。
詳細はAmazonのエーモン ギボシ端子セット ダブル(3307)参照。
電源分岐ハーネス
エーモンの電源分岐ハーネス ギボシ端子タイプ(3350)。※旧モデル名称はY型接続端子。
詳細はAmazonのエーモン 電源分岐ハーネス ギボシ端子タイプ(3350)参照。
作業がカンタンな分岐方法
-
今まで紹介した分岐方法は、電工ペンチを使って端子をかしめる作業が前提にあります。
-
電源分岐ハーネス(Y型接続端子)だけは、最初から端子がかしめてありましたが……
-
でも接続相手の配線に、ギボシ端子を付ける必要はありますから。
-
当然そうなりますね。
-
しかし、ここから先は、端子カシメなどは必要ない分岐方法です。
-
初心者の人は、特に必見。
-
カンタンに分岐したい、という人にオススメなのは「カンタン接続分岐コネクター」を使った方法です。
-
配線コードの被覆を剥く、という作業だけやれば、あとは差し込んでロックするだけなので。
-
うーん。このラクさを考えると、別に初心者に限らず便利そうです。
-
差し込むだけでいい、という点ではプラス・マイナス分岐ターミナルも、同じです。
-
こちらは、その名の通り、プラス線とマイナス線をセットで分岐させる作りなんです。
-
そういえば、今までの分岐方法は全て1本単位だった。
-
ですね。でも例えば、フットライトなどのLEDを増設するようなDIYだとすれば、どのみちプラス線とマイナス線を両方分岐させることになりますよね。
-
ふむ。
分岐するのは、結局2本ですね。 -
プラス・マイナス分岐ターミナルはいっぺんに両方分岐させて、しかも4分配できるターミナルなんです。
-
この方法だと、カンタンに4席フットライトが作れるわけですね。
-
それでいて、抜き差しもできるので、配線取り回しのやり直しも手軽です。
-
初心者に優しい、いかにもエーモン的な分岐方法と言えそうです。
詳細はAmazonのエーモン プラス・マイナス分岐ターミナル(2831)参照。
アクセサリープラグ付きのプラス・マイナス分岐ターミナル(2832)を使うと、シガーソケットから取った電源をそのまま分配できる。詳細はAmazonのエーモン プラス・マイナス分岐ターミナル シガータイプ(2832)
配線分岐にエレクトロタップを使うときは「選び方」に注意! これを間違うと「接触不良」が起こる。DIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
関連記事
- 防水で配線を分岐(防水電源取り出し)するには?
- エレクトロタップ(配線コネクター)の正しい使い方
- エレクトロタップ VS 異線径配線コネクター
- カンタン接続分岐コネクターの使い方
- エレクトロタップによる断線に注意!
- エレクトロタップによる「タコ足分岐配線」は何が問題か?
- 純正配線を傷つけずに、カーナビ裏から電源取り出しできる技
- 防水エレクトロタップの正しい付け方・使い方
- 配線コードの太さ(スケア)の選び方
- 配線の分岐方法╱プロ流はスプライス端子
- スプライス端子で電源を取り出す方法
- ハンダ付けで配線同士をつなぐ方法
- ハンダ付けの代用になる「ハンダスリーブ」で配線をつなぐ方法
- 車内の配線コードのゴチャゴチャを解消する整理術
- LEDフットライト取り付けに有効な知識