電装DIYのQ&A
ギボシ端子に複数の配線を入れて、分岐に使ってもよいのか?
読者の方から頂いた、ギボシ端子の疑問に答えていきたいと思います
■ 質問
ギボシ端子(エーモン製)は、最大2スケアまでの配線に対応ということになっていますよね。……ということは、0.5スケアの線なら余裕があるから、2本まとめてかしめて、分岐に使ってもよいでしょうか?
質問╱パウモナンさん
-
なるほど。言われてみれば、2スケアの太線までOKのギボシ端子なんだから、理論上は0.5スケアを4本突っ込んでもいいはず!
●レポーター:イルミちゃん
-
確かにスケアは銅線部分の断面積なので、そこだけで考えるとかしめることはできるんですが……
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
-
0.5スケア2本分なら、合計で1スケア分。余裕でかしめられました〜。
-
……という風に見えるかも知れませんが、この方法はエーモンの見解としましてはNGなのです。残念ながら。
-
ウソォ!!
出来ているのに! -
いや、私も、もしかしてコレなら!? と思ったので、開発担当者に聞いてみたところ、「NG」という回答で……。
-
……つまり、話を握りつぶされた。
-
ハイ?
-
エーモン的には、エレクトロタップ(※配線コネクター)が売れたほうが利益率がいいからだ、きっと!!
-
違います!!
ヘンなデマはやめてください。 -
じゃあ、どうしてダメ?
-
理由は、芯線(銅線)部分ではなくて、被覆のほうです。
-
こっちは太すぎて、ツメがかしめられないとか?
-
いや、やってみると分かりますが、ツメは届きます。
-
あれ?
できてるじゃあないですか!! -
しかし、よーく見ると、ハート形に折り込まれたツメの左右に、配線コードが分かれてしまっています。
-
はて?
コレのなにがダメなの? -
通常の1本でかしめを行った場合は、下のようになるんですね(↓)
-
ギボシ端子のツメを電工ペンチでかしめる理由は、ツメの断面がハート形になるように折り込んで、ツメを食い込ませることにあります。
-
あ!
そういえば、そうでした。 -
ツメを食い込ませることができるのは、相手が1本の時だけです。
-
2本だと、間に入ってしまっている……。
-
これは、一見すると掴んでいるように見えますが、食い込んでいるわけではないので、引っ張ればアッサリと、抜けます。
-
……そういうことか。
2本まとめてかしめてみた
配線分岐といえばコレ
使い方は、「エレクトロタップの正しい使い方」参照。
ココに注目
拡大図
※正しいやり方は、「ギボシ端子の正しいかしめ方」参照。
ギボシ端子付きの配線を分岐させる方法
-
ちなみに、ギボシ端子を分岐させたいときは、無理矢理ではない方法がちゃんとあるんですよ。
-
と言うと?
-
まずは、ギボシ端子ダブルを使う方法です。
-
これは、ギボシ端子メスが2個分合体したような端子で、ギボシ端子オスを2本つなぐことができるんです。
-
電源とつながる線に、このギボシ端子ダブルを付けると……2本のオスに電源を分配できるんですね。
-
もうひとつは、電源分岐ハーネス(※旧名称は、Y型接続端子)を使う方法。
-
これをギボシ端子メスに差せば、2分配できます。ヒューズ電源などに併用すると、電源が増やせますよ。
-
……これって。配線2本を、ひとつのギボシ端子にかしめているように見えますけど?
-
そうなんです。
そういう製品です。 -
つまり、さっきNGと言った2本カシメを、思いっきりやってますね!! どーゆーことだこれは。
-
これは専用の機械を用いて、圧着しているから出来ているんです。引っ張っても抜けませんよ。当然ですが。
-
(グイグイグイ)
あ……。本当だ。 -
人間の手作業で、電工ペンチを使ってかしめるやり方ではNGでも、機械ならできるんですよ。
-
……ふぅぅーん。
(¬_¬) -
いや、これ本当の話ですから!
Amazonでも販売されているエーモン ギボシ端子セット ダブル(3307)
詳細はAmazonのエーモン 電源分岐ハーネス ギボシ端子タイプ(3350) 平型端子タイプもあるので間違えないように注意。
配線コードを選ぶときは「太さ」を間違えるとリスクが生じる、という話については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。配線コードの選び方のおさらいにも最適。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
関連記事
- 配線を分岐する方法はいろいろあるけれど、どれが良い?
- 電工ペンチの正しい使い方
- ギボシ端子の正しいかしめ方(付け方)
- ギボシ端子の正しい使い方ルール
- ギボシ端子の立場を脅かす!? 接続コネクター
- エーモンのギボシ端子ラインナップ11種類の違いと選び方
- 接続コネクターの正しい使い方と、付け方
- 防水ギボシ端子や防水リレーがエーモンから新登場…!
- 防水ギボシ端子の正しい使い方と、間違った使い方
- エレクトロタップ(配線コネクター)の正しい使い方
- エレクトロタップによる「タコ足分岐配線」は何が問題か?
- 配線コードの太さ(スケア)の選び方
- 車内の配線コードのゴチャゴチャを解消する整理術
- 純正配線を傷つけずに、カーナビ裏から電源取り出しできる技