平型端子の正しいかしめ方(付け方・圧着方法)
平型端子の正しい付け方(かしめ方)。端子のツメを曲げて配線コードに付けるだけなら、ラジオペンチなどでもできそうだが、それは間違い。重要なのは、電工ペンチで圧着すること。ここでは実際に平型端子をかしめて、トグルスイッチにつなぐまでを解説。
スイッチやホーンとの接続なら、250型・平型端子が定番
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前回(※)は「平型端子とギボシ端子の使い分け」などについて学びました。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は実際に平型端子をかしめて、配線をトグルスイッチにつなげてみましょう。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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エーモンのトグルスイッチやロッカスイッチは、250型の平型端子が使われています。
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ということは、250型の平型端子を用意すればいいんですね。
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次に、平型端子の正しいかしめ方(付け方)。そのためにはまず、電工ペンチを用意する、という点が重要です。
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そこはギボシ端子と同じですね。
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電工ペンチ以外の……例えばラジオペンチなどで付けても、しっかり「かしめる」ことはできません。抜けてしまいます。
平型端子でないとつなげないトグルスイッチ
レバー式のトグルスイッチ。エーモン製は超定番。
ここで使っているのは、最もオーソドックスなタイプ。Amazonでも販売されているエーモン 平型端子セット 250型(3309)
電工ペンチ
ここで使用しているのは、【Amazon.co.jp限定】エーモン 電工ペンチ(1452)
✔ ひとくちメモ
かしめるとは、端子用の専用工具(電工ペンチ)を使って圧着することを指し、ただ単に端子をつぶして付けるのとは仕上がりが異なる。平型端子のかしめ方(圧着方法)
配線コードの被覆を剥く
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まず、配線コードの被覆を剥き取ります。(※だいたい5ミリ程度)
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今回は0.5スケアの配線コードを使ったので、電工ペンチ側もワイヤーストリッパー「0.5」の穴です。
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配線の被覆にかませて、電工ペンチをスライドさせると剥けます。
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芯線(銅線)が露出したら、よじっておきます(↑)
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平型端子を付ける前に、絶縁用のスリーブを先に通しておきます。
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端子を付けた後では通りませんからね。
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平型端子と配線コードの位置関係については、こうなる(↓)のが正解です。
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平型端子には、ギボシ端子と同じように2か所にツメがあります。ひとつは配線の被覆に、もうひとつを芯線(銅線)に食い込ませるのです。
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よくある失敗かしめは、両方とも芯線にかけてしまっているケース。
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被覆を押さえていない状態だと、軽く線を引っ張っただけで抜けてしまったり、芯線がチギれてしまいますよ〜。
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まずは芯線にかけたツメを圧着します。
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電工ペンチの、端子かしめ用の穴(※断面がハート形)を使います。
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1発目のかしめは、「1.25-2.0」と書かれた穴を使って仮かしめします。
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次に1ランク小さい「0.5-0.75」と書かれた穴に移して、ぎゅ〜っと本かしめをします。
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次は、配線の被覆にかけたツメの圧着。このツメは大きいので、まず「3.0」と書かれた穴で仮かしめをします。
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そのあとで、「1.25-2.0」と書かれた穴に移して、本番の圧着を行います。
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さっきと同じ2段階かしめですが、ひとつずつ大きめの穴を使っているんですね。
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このように正しくかしめると、ツメの断面がキレイなハート形になるんですよ。
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ハート形にたたみ込む意味は、乙女心ではなくて……
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しっかりと端子を食い込ませる、という意味合いですね。コレができるのが電工ペンチの特長です。
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最後にスリーブを引き上げておきます。メス端子の場合は完全に端子が覆われます。
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なお、オス端子の場合でも付け方は同じです。
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オスとメスを組み合わせると、ギボシ端子のように脱着できます。
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……あれ!? しかし今回の目的は、配線の接続ではないんですよ、中塚研究員?
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そう言えば、スイッチとつなぐんでしたね。うっかりオスまでかしめてしまった。
平型端子と配線の正しい位置関係
スリーブの向きにも注意する。
芯線(銅線)に対して圧着する
被覆(配線)に対して圧着する
ガッチリ食い込んで抜けない!
クイクイ
スイッチと配線の接続
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エーモンのトグルスイッチ側には、平型端子オス形状の端子が付いていますので……
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先ほどかしめた、メス端子を差し込めばOKですね〜……って、アレ? 差し込めないんですけど。
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スリーブが長いので、この使用シーンではスリーブ先端が先に当たってしまうんですよ。
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ムム。
コレはどうしたらいい? -
メス端子の先端からハミ出ている分を、ハサミでカットしてしまいます。
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これで、スイッチ側の端子根元まで差し込めるようになります。
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あのぉ〜、考えてみると、こういう用途では平型端子ってメスしか使わないんですね?
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そうですね。配線同士の接続とは違って、相手(オス端子)のいることですからね。
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余ったオス端子をどうしてくれるんだ、という気もしますが……まあ、そこは突っ込まないでおくか。
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フッフッフ。
いいところに気がつきましたね。 -
なんか得意げ?
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そこを考慮して、エーモンとしましては「平型端子メスセット」も用意しているんですよ。
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250型のメスばっかり入ってるってことですね。使えるカモ♪
チョキン
もう1本の配線にもメス端子を付けて、接続
詳細はAmazonのエーモン 平型端子 メスセット 250型(3311)参照。
配線コードを選ぶときは「太さ」を間違えるとリスクが生じる、という話については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。配線コードの選び方のおさらいにも最適。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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