車検に通るフォグランプの条件
車検に通るフォグランプの条件(保安基準)をまとめてみた。まずはドレスアップ的に気にする人が多い「ケルビン数」。これは明確な定めはないが、白色範囲の目安としては7000ケルビンを超えない程度。なおヘッドライトと違って黄色もOKだ。またバルブ交換ではなく、フォグ自体を後付けする場合は車検に通すための条件が増えるので注意が必要。
フォグランプは白または黄色ならOK
-
まず、色は白または黄色(淡黄色)というのが保安基準上の条件です。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
-
フォグは黄色でもいいんですね。
●レポーター:イルミちゃん
-
「今の年式の車は黄色が車検に通らない」と勘違いしている人も多いのですが、それはヘッドライトだけです。
-
ヘッドライトは18年1月1日以降の車は、黄色NGでしたよね。
※「車検に通るヘッドライトの条件」参照。
-
そうですね。
ただ、フォグランプは現行車でも黄色OKなんです。 -
あと、フォグの色が同一であること、という条件があるので、白と黄色を混在させるのはNGです。
-
そんなことする人、いない気もしますが。……あ、だけど4灯ならありえる?
-
4灯フォグはどのみち車検NGです。同時に3灯以上、点灯してはいけない(2個まで)ルールがあるので。
-
ええ〜!!
4灯フォグってダメなんだ! -
片側1灯ずつしか点灯しないようになっていれば別ですが。
-
なるほど。「4個とも同時点灯してしまったらダメ」ということですね。
年式問わず黄色フォグはOK!
ケルビン数の上限目安は?
-
白がOKなら、青白フォグでもいいんでしょうか?
-
そこはヘッドライトと同じで、白色範囲に収まっていればOKですが、ケルビン数が高すぎると青と判断される可能性はありますね。
-
ケルビン数の上限目安でいうと?
-
ひとつの目安としては、7000ケルビンを超えない程度が白色範囲ですが、同じケルビンでも製品ごとに色味が違うし、保安基準でもケルビン数で明確に定めているわけではありませんので……
-
最終的には検査員の判断ってことですね。
-
そうです。ヘッドライトやポジションの白色範囲の上限と、同じことが言えます。
ケルビン数が上がるほど白から青に近づく
フォグランプの明るさに規定はあるの?
-
明るさの規定は、平成17年12月31日までの車については1万カンデラ以下、という基準があります。
-
では平成18年以降の車は?
-
とくに基準はないです。
-
つまり明るさに上限はない?
-
数値には、上限はなくなりました。ただし「他の交通の妨げにならないこと」が条件。細かく言えば「主光軸が下向きであること」や「主光軸は自動車の右外側線より右方の地上を照射しないこと」などがありますが……
-
ようするに、上に光が飛んでいて対向車に眩しいフォグはダメってことですね。
-
そういうことです。ただ数値規定ではないので、測定ではなく、検査官にその判断が委ねられます。
-
IPFが、フォグランプにHIDを入れることを推奨しない理由がこれですね。
-
すでに眩しいフォグはどうすれば?
-
せめて光軸調整をすることで、光軸を下向きにして対向車への光を抑えることはできますね。
※「フォグランプの光軸調整」参照。
-
でもカットラインより上に上方散乱光が出ているなら、純正と同じカットラインの高さに光軸調整してもダメですよね?
-
全体的に、今よりカットラインの位置を下げ気味にするしかないでしょうね。そもそもカットラインも出ていないような場合は、どうにもなりませんが。
-
けっきょく眩しい光を抑えるために、フォグランプとしての配光(カットライン)が必要ということですね。
-
ハイ。もともとのフォグランプ自体の規格の中に、カットライン(カットオフライン)が出ていることが規定されているので当然と言えます。
純正フォグランプの配光こそお手本
上に眩しい光が飛んでいたら注意!!
カットラインより上にも光が飛んでいる場合、光軸全体をもっと下げるしかない
カットラインが存在しない場合はそもそもNG
取り付け位置のルールもある
-
取り付け位置の規定は「フォグランプ本体の問題」。バルブ交換のみの人には、関係ない話ですね。
-
バルブ交換は、純正フォグランプの位置を変えるわけじゃないですもんね。
-
例えばフォグランプ自体を後付けする、または移植する。あるいは自分が買ったエアロパーツのフォグ位置が、この車高でも大丈夫かどうかなど、そういう時の話です。
フォグランプの取り付け位置の規定
H17年12月31日以前の車●フォグランプ照明部の中心が、ロービーム照明部の中心以下(フィラメント位置以下)であること
H18年1月1日以降の車
●フォグランプ照明部の上フチ(上端)が800ミリ以下の高さで、なおかつロービームの上フチを超えないこと
●下フチ(下端)の高さが250ミリ以上
●最も外側のフチが、車体の最外側から400ミリ以内
-
フォグランプの位置が低すぎたり、内側により過ぎたりするとダメなんですね〜。
-
よく聞く例だと、エアロパーツに付いていたフォグランプが、ローダウンによって下限を割り込んで車検に通らなくなるケースなどがあります。
-
そっか。
ローダウンの影響も出てくるのか。 -
あとはオーバーフェンダーにしたことで、フォグランプの位置が外側から400ミリ以内に収まらない、というケースもあり得ます。
-
フォグ自体の位置は変わっていなくても、NGに変わる可能性があるんだ。
-
四駆系で、よくある話です。
フォグ自体の後付けは点灯タイミングに注意
-
バルブ交換ではなく、元はフォグランプが付いていない車に後付けする場合、他にもいろいろと注意が必要です。
-
位置の話だけではないんだ。
-
まず、必ず室内側のスイッチが必要です。スイッチがないフォグランプはNGです。常時点灯するのは違法なので。
-
あくまでも霧灯ですからね。霧のとき用です。
-
それと、フォグランプが点灯するタイミングでは、必ずポジション(スモール)が点灯していないといけません。
-
え?
そんなルールあった? -
ありますよ。ポジション消灯でフォグだけ点灯、という状態を作るのはNGです。
-
そうだったのか〜。
-
だから保安基準の規定では「フォグランプを後付けする場合は、ポジションと並列に配線すること」と定められているんです。
-
そんな付け方の規定まであるとは。そのうえでスイッチも必要なんだ。
-
細かいことを言えば、スイッチ自体にフォグランプのマークも表記しないとダメですし、パイロットランプを付けて、フォグランプの点灯/非点灯が車内から分かるようにしないといけない、という決まりもあります。
-
なんかゼロから後付けするのは大変そうだなぁ。思った以上にやり甲斐がある、とも言える……かな?
-
もともとフォグランプが付いていない車に、灯体ごと後付け、という場合はいろいろと注意が必要ですね。
フォグ点灯時はスモールも点灯していないとダメ
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
関連記事
- 黄色フォグランプは車検に通らない、という誤解
- HIDフォグランプは車検に通るの?
- フォグランプを黄色にする意外なメリット
- 白と黄色、2色切り替えが可能なLEDフォグランプが登場
- フォグランプの「LED化」「HID化」を比較
- LEDフォグランプ化する方法(前編)
- LEDフォグバルブのDIY取り付け方法
- フォグランプバルブの種類
- フォグランプの光軸調整を正確に行う方法
- フォグランプの光軸調整を、簡単に行う良い方法
- フォグランプの使い方・点灯ルールをおさらい
- 対向車に迷惑をかけないフォグランプの作り方
- フォグランプの配光特性を知っておくと、フォグを上手に使いこなせる
- 雪道を走るなら、フォグランプは黄色ハロゲンが正解!?
- フォグランプの「ハロゲン」VS「LED」比較
- 純正LEDフォグランプが暗い!? 明るくする方法とは?
- フォグランプに水(レンズ内側の水滴)が入る原因と、その解決策
- 車検に通るヘッドライトの条件╱ケルビン数の目安
- 車検に通るデイライトの条件╱新保安基準対応
- その他灯火類の「色」ルール。保安基準をひも解くと…
- ウインカーポジションは車検に通る? 保安基準を分かりやすく解説