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フォグランプの配光特性を知っておくと、フォグを上手に使いこなせる
フォグランプを有効に使いこなしている? 改めて問われると「?」という人も多いはず。ここではフォグランプとヘッドライトの配光特性について解説。理解が深まると、フォグを上手に使いこなせるようになり、運転もしやすくなる。
フォグランプとヘッドライトの性能的な違いとは?
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今日はヘッドライトとフォグランプの違いについて解説します。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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は? 市川研究員なに言ってるんですか?
●レポーター:イルミちゃん
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なにか……?
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ヘッドライトとフォグランプが違うなんて、当たり前すぎ! ヘッドライトは普段から路面を照らす「前照灯」で、フォグランプは霧や雨の時用の「霧灯」でしょ?
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用途の違いはそうですね。しかし性能的な違いの話になると、意外ときちんとは知らなくないですか?
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性能的な違い? ヘッドライトのほうが明るくて、フォグランプのほうが暗い……とか?
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いやいや、実際のところ、H11タイプのフォグランプとかだったら、ルーメン数でいうとヘッドライトに負けない位あるのですよ。
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あれ!? ということはそういう明るいフォグランプなら、ヘッドライト代わりにもなるの?
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なりません。
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「H11だったら同じ位の明るさ」って、言ったばかりですよ。たった今!!
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フォグランプをどんなに明るくしても、ヘッドライトの代わりはできないんですよ。
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それはなぜ?
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ヘッドライトとフォグランプでは、配光特性がぜんぜん違うからです。
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ハイコウ トクセイ?
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フォグランプを有効に使うためにも、まずはきっちりフォグランプのあるべき姿(性能)を知っておきましょう。
ヘッドライトにもフォグランプにも使われるH11バルブ。消費電力は55W。
フォグランプは手前をワイドに照らしている
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フォグランプは、雨や霧などの悪天候時に点灯するランプ……というのは知っている人も多いと思いますが、実際、そういう状況に適した配光になっています。
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まずはフォグランプの配光パターンを見てみましょう。
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フォグランプの配光は、横に広くて、最高光度(一番明るいところ)は低めとなっています。
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ホントだ。上のほうには光が飛ばず、下寄りで、横に長い。
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上のほうまでいくと遠くに光が飛んでしまいます。カンタンに言えば、車の近くをワイドに照らす、という配光特性なんです。
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せっかくだから遠くにも飛ばせばいいのに。
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霧のときに上に光が飛んでいると、光の乱反射でかえって見えにくくなってしまうのです。
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あー、そういうことか。
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だから「低い位置をワイドに照らす」のが、フォグランプの特性なんです。
フォグランプのみ点灯させて壁ドン。IPF製のLEDフォグバルブ。
ヘッドライトは40メーター先までを照らす
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対してヘッドライトは、もっと遠くを照らすように設計されています。
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これがヘッドライト(ロービーム)の配光パターン。
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ヘッドライトは遠くの路面……具体的には40メーター先まできっちりと照らせるような配光特性になっています。
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上の写真では壁に当てているので、奥行きは分かりませんけれども。
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この場合は、壁の明るさは均一ではないのが望ましい姿。IPFのLEDヘッドライトでも、カットライン直下の部分が一番明るくなるように作っています。
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そういえばフォグランプは壁の明るさがもっと均一っぽい配光でしたが、ヘッドライトは明るさを集中させている感じがしますね。
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これ、なぜこのようにするかというと、カットライン下が、一番遠くの路面を照らす光だからなんです。
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実際に路面に照射している状態だと、確かにカットライン下は一番遠くの路面……ということになりますね。
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だから、カットライン下が一番明るくなるように配光を作っておくほうが、結果として路面の奥から手前までの明るさが均一になるのです。
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そうか〜。手前と奥では距離が違うから、同じ明るさではダメなんだ。
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そうなんですよ。このあたりを意識しないで、壁ドンで均一な配光を作ったとすれば、実際の路面照射では明らかに遠くが暗くなる。
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遠くが明るくないと、走りにくいですね。ヘッドライトは。
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ですね。走りやすいヘッドライトは、カットライン下が明るい配光、ということは知っておいてほしいです。
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カットラインが出ていればOK、っていうほどカンタンな話ではありませんね。
IPF製LEDヘッドライト「341HLB」のロービーム点灯で壁ドン。
配光の明るい部分を「ホットゾーン」という。
IPF製LEDヘッドライト「341HLB」の路面照射。
奥から手前まで全部を明るくするには?
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ただ、遠くを明るくするというヘッドライトの本来の性能を追求すればするほど、手前の路面は暗くなることになります。
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確かに。IPFのLEDヘッドライトの壁ドンでも、下のほうは暗いですよね。
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壁の下のほうを明るくするのはカンタンです。でもそれは、かえって走りづらいヘッドライトになります。
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この配光はわざと、ってことですね。
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当然そうなります。いっぽうで、フォグランプは遠くまで光を飛ばすランプではない。その分、手前に光を集めています。だから点灯すると手前の路面は見やすくなります。
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ヘッドライトだけだとどうしても手前が暗くなるので、手前から奥まで全部明るくしたい、というならフォグランプが必要になってきます。
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ヘッドライトの「灯台もと暗し」を補ってくれるんですね〜。
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そうなんです。フォグランプの配光はまさしく、ヘッドライトの「補助灯」という役割を持っています。
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霧の時だけの点灯では、もったいない気さえしますね。
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霧のときだけではなく雨のときも点灯すると、手前の路面が見やすくなりますよ。
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なるほど。手前が暗いな、と感じる場面ではフォグランプは効果的ですね。
フォグランプのみ点灯の配光
ヘッドライト+フォグランプを合わせた配光
✔ ひとくちメモ
●IPFのLEDヘッドライトとフォグランプは、それぞれのあるべき配光特性を追求していてメリハリがある。●配光性能が低いバルブだと、もっとあいまいなものになる。社外品に交換するときは、双方の配光特性を崩さないモノを選ぶのが望ましい。
フォグランプをLED化するときの注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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