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フォグランプの「ハロゲン」VS「LED」比較
フォグランプの「ハロゲン」と「LED」を、実際に光らせて比較する。なお検証サンプルは黄色。白はLEDが多くの面で勝っているが、黄色は両者それぞれにメリットがあり、選択に悩むのだ。フォグランプバルブの交換を検討中の人に、かなり参考になる話。
白はLEDが圧倒的に有利だが、黄色は?
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前回の記事では、雪道でのハロゲンフォグバルブの有効性を解説しましたが……、
※「雪道を走るなら、フォグランプは黄色ハロゲンが正解」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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今日はフォグランプの「LED化」と「高効率ハロゲン化」を、実際に比較したいと思います。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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ハロゲンといっても、純正バルブのことではありませんよ〜。
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そうですね。後付けのいわゆる「高効率ハロゲンバルブ」と、最新の「LEDフォグバルブ」での比較です。
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あえてどっちも「黄色」ですね。
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ハイ。と言うのも、白ハロゲンバルブは、白LEDバルブに対して価格以外のメリットがほぼないので……、
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白にするならLED化がオススメ、という話でしたね。
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そうなんです。対して「黄色ハロゲン」には前回お話したような雪道でのアドバンテージがあって、LEDかハロゲンかで迷う余地がある。
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そこで!
「ハロゲン」VS「LED」の比較です。
高効率ハロゲンバルブ
IPFの「スーパーJビーム ディープイエロー 2400K」。バルブタイプも豊富に揃う。
LEDフォグバルブ
IPFの「LEDフォグバルブ2400K」。H8/11/16共用タイプ、HB4、PSX26Wがある。
明るさはLEDフォグバルブが勝る
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ハロゲンとLED。まずは一番気になる「明るさ」に、どの程度の差があるか!
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LEDフォグのほうが、やっぱり明るいんですね〜。けれどハロゲンも思ったほどは暗くない?
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高効率ハロゲンバルブですからね。なおモデル車のハスラーはH8のフォグランプなので、ハロゲンバルブの消費電力は35Wです。
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フムフム。電球の消費電力は、純正でも社外品でも同じですね。
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対して、LEDフォグバルブの消費電力は12W(※IPF製の場合)
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つまり、消費電力がほぼ1/3になっているにもかかわらずフォグのほうが明るい!
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そうなんです。この効率の良さがLEDのメリットのひとつですね。
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省電力で明るい。
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それと、今回はH8での比較。これはまだ、最近のフォグランプとしては明るいほうです。
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そっか。ハロゲンの明るさは、バルブタイプによって変わりますよね。
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対して、最近主流になりつつある樹脂製フォグランプH16(↓)。これはもっと消費電力が小さいです。
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……てことはH16フォグの場合は、ハロゲンとLEDの差は、もっと大きくなるんだ。
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ですね。H16のハロゲンは、明確にLEDより暗いです。
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ハロゲンバルブは、消費電力次第で明るさが変わりますもんね。
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それに対してLEDフォグバルブは、H8に入れてもH16に入れた場合でも、同じ明るさなわけです。
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なるほど。
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傾向として、新しい車ほどフォグランプが暗くなっているので、ハロゲンとLEDの差が大きくなります。
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新しい車ほど、LED化するメリットは大きくなるってことですね〜つまり。
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そういうことですね。反対に昔のH11フォグランプなどは55Wと明るいので、ハロゲンバルブでもLEDバルブと同レベル位の明るさが出ます。
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ただし、こういう明るいフォグランプは、最近の車では採用されませんが。
高効率ハロゲン(左)とLED(右)の明るさ比較
※どちらもIPF製。
H8フォグランプのバルブは35W
H16フォグランプの電球は19W
H11フォグランプの電球は55W
H11やHB4フォグランプなら、消費電力が高いからハロゲンでもけっこう明るい。
ハロゲンとLEDの、色味の違いは?
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次はハロゲンとLEDの、色味の違いについてです。
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今回はどっちも黄色での話です。
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IPFは「黄色の濃さ」というものに、ハロゲンバルブの時からこだわりがありまして。
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このハロゲン(↑)では、昔ながらの黄色の濃さ、を実現しました。最近はもっとクリアっぽいレモンイエローが主流でしたが、その逆です。
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ふーん。
ということは、ハロゲンのほうが黄色が濃い? -
一般論で言えば、ハロゲンのほうが濃く作りやすいというのはあります。もともとの光源が黄色っぽいところに、黄色いフィルターをかけていますので。
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じゃあ、LEDの黄色バルブは?
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一般的なLEDフォグバルブは、光源には6500ケルビン等の白LEDを使いながら黄色フィルターをかけることが多いので、黄色が薄くなります。
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ほー。
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だから、クリア系のレモンイエローが主流なんです。
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そっか。
フィルターを通して色を変えているんだ。 -
ただ、IPFの場合は、ハロゲン時代から黄色の濃さが特徴だったので、「LEDでもハロゲン同等の黄色」を出せるようにこだわりました。
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フィルターを濃くするとか?
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いや、その手法だとどんどん暗くなってします。
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ムムム。
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かといって、明るさを落とさない薄いフィルターだと、厳密に言うと「淡黄色の範囲」(※JIS規格で定めている)から外れてしまう。
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黄色ってけっこう奥深いんですね。
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そうなんです。で、明るさを落とさず濃くするために、光源の色から電球色のチップLEDを使っているんです。
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なるほど。ハロゲン(電球)の条件に近づくんですね。
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光源の色を変えるのはコスト増につながるので、一般的にはやりません。LEDフォグバルブは、白も黄色も同じ光源を使ったほうがコストが下げられますので。
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ましてや、LEDは白が主流ですもんね〜。黄色はオマケ扱いされてるというか。
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IPFは黄色は黄色で、こだわってます。光源の電球色チップLEDとフィルターの組み合わせも、膨大な数をテストしました。
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その結果、濃い黄色LEDフォグバルブができたんですよ。
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……とはいえ、黄色の濃さにこだわる人なら、ハロゲンのほうがいい?
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一般的には。しかしIPFのLEDフォグバルブの黄色なら、ハロゲンの極黄と同等の濃さが出せていますよ。
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……ということは、「LEDは黄色が薄いかも」という問題も解消されているんだ〜。
LEDが出る前からハロゲンの極黄は人気だった
2400ケルビンのディープイエロー。一般的な黄色は2800ケルビン付近。
✔ ひとくちメモ
●フォグランプの色は「白または淡黄色」というのが法規上のルール。そして「白」や「淡黄色」の具体的な範囲は、JIS規格によって定められている。●厳密なことを言えば、薄い黄色は「淡黄色の範囲」から外れている可能性が高い。 IPFの黄色は、JIS規格と照合して見ても、ほぼど真ん中を突いている。
電球色LED×黄色フィルター
数十色の電球色チップとフィルターを組み合わせて、黄色を研究。
点灯時間が経過するとフォグランプの色が変化
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ただ、ハロゲンにしてもLEDにしても、点灯しているうちに少し色味が変化します。
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ほー。
そうなんだ。 -
ようは温度が色味に影響を与えるんですが、我々はこれを温度ドリフトと呼んでいます。
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温度ドリフト……。
どう変わるんだろう? なんか面白そう。 -
IPFのハロゲンの場合は、という話ですが、熱せられるとコーティングの色が濃くなる。だから連続点灯で濃くなります。
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もともと極黄なのに、超黄になるんですね。悪くない。
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LEDのほうは……これは色問わずの話ですが、光源はだんだん青味を出してくる。
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え〜っと、青味が混ざってくると何色になるんだ?
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……黄色が薄くなる、ということです。だから両者の色合わせも、点灯直後ではなく、点灯1分後くらいで評価しています。
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それ以上経過すると?
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黄色の濃さとしてはハロゲンのほうが少し濃くなります。ただ、どちらもある程度のラインで飽和する。差がどんどん開くわけではないです。
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そこで、あえて数分間点灯させて比較してみると……
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あ。黄色ハロゲン(↑)のほうが、少し濃いかも!
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これは使っているコーティングの種類などの問題でもあるので、あくまでもIPF製品同士での比較例ですね。
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……このように、いろいろな側面からハロゲンフォグとLEDフォグを比較してきましたが……、
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あ、あともう一つ。ハロゲンがLEDに勝るのはなんといっても価格ですね。
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価格差は重要ですね〜。こうなると、トータルでの判断は……人それぞれかなぁ? 少なくとも黄色の場合は、全ての面でLEDが勝るわけではないことは覚えておいて損はない。
ハロゲンの黄色フォグ
LEDの黄色フォグ
一般的な黄色LEDなら、もっと色が薄くなる。
✔ ひとくちメモ
定価では、IPFの黄色ハロゲンは4410円、LEDフォグバルブは1万8900円(※あくまでも定価なので、実勢価格とは異なることがあります)フォグランプをLED化するときの注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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