その他灯火類の「色」ルール。保安基準をひも解くと…
その他灯火類の保安基準を、分かりやすくひも解くシリーズ。まずは、その他灯火類の「色のルール」を解説する。外装の光モノでよく使われるLEDは、今どきは色も豊富で人気だが、車検でNGになる色もある。NG色がダメな理由にも触れているので、理解しやすい。
その他灯火類の色のルール。まず赤は絶対的にNG!
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「その他灯火類」の「色のルール」(保安基準)を、解説していきましょう。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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「その他灯火類って、何だっけ?」という人は、「その他灯火類とは?」から読むのがオススメです。
●レポーター:イルミちゃん
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色は、基本的に「赤はNG」です。車のフロントもサイドもリアも、同様です。
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赤はダメ。
……その理由は? -
パトカーなどの緊急車両の赤色灯との誤認の問題がありますし、リアに関してはブレーキランプやテールランプなどの信号灯と誤認する危険もあるからです。
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なるほど。
赤い光に対して厳しいのは、当たり前と言えます。 -
そうなんです。だから赤いLEDを外装に使う技は、なんであれNGです。
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では赤以外なら、何色でもいい?
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ここから先は、場所によって条件が変わります。
赤は重要なランプが使用するもの
リア周りは赤・橙(アンバー)・白の3色がNG
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リアは橙色(アンバー)や白もNGです。後方に備える、灯具としての条件ですね。
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つまり赤・橙・白の3色がNG。
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理由は似ています。橙はウインカー、白はバックランプが使う色だからです。
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つまりこれらの色も、重要な信号灯と誤認する危険があるからダメ、なんですね。
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あの〜、そういう意味で黄色はどうなんですか? 厳密に言えば、アンバーと黄色は別ですよね? ウインカーっぽくも見えるけど。
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そこね。保安基準上は黄色について明確にNGという表現はないのですが、検査員にウインカーと紛らわしいと判断されれば車検には通らないので、避けたほうが無難。
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いわゆるグレーゾーンってこと?
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そうですね。ただIPFのアドバイスとしまして、安全性の観点から、ウインカーと紛らわしい色のLEDを付けるのはやめておきましょう。
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そりゃそうですね。
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ただ、橙色(アンバー)に関しては「地上2.5メーター以内の高さがNG」となっているので、取り付ける高さが2.5メーターを超える場合は使用可能です。
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2.5メーターを超える高さって……。
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乗用車には、ほぼ関係ない話ですね。バンのハイルーフの一番上の部分で超えるかも、位の話なんで。
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実質的には、リアのアンバーLEDはNGと考えておきましょう。
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よくある技で、保安基準に抵触しそうなものは、光るエンブレムの白。これはリアに関しては車検NGとなります。
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あ〜!
そういうことになるのか。 -
フロントなら、白も問題ないんですけどね。
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リアは青いのにしておくか。
黄色はアンバーとは別モノではあるが…
フロントは、条件付きで黄緑と青紫もNG
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次はフロント。フロントにデイライト風に、テープLEDを貼る技が人気ですが。
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フロントについては、全面的にNGなのは赤だけなんですが……
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フロントは、ほぼフリーダム?
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ただし、赤以外でも「黄緑(きみどり)、青紫(あおむらさき)は、車のフロントガラス上部には付けてはいけない」というルールがあります。
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黄緑と青紫って、また限定的な話ですね。
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トラックがフロントガラス上部に備える速度表示灯や、特殊車両が使っている青紫との誤認を防ぐためですね。
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なるほど、なるほど。
そういう意味のある色なんですね。
整理すると「その他灯火類の、色のルール」はこうなります
フロント・サイド | 赤はNG |
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※フロントガラス上部は、黄緑と青紫もNG。
リア | 赤・橙・白はNG |
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※橙は2.5メーター以下はNG。
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ダメな条件って、これだけ?
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色に関して言えば、そうです。
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これだけなら、ずいぶんと自由度があるような気がしますけど?
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そうなんですよね。例えば正規のデイライトは白以外は認められていませんが……
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しかし、300カンデラ以下のLEDで、デイライト風に取り付けるモノについては青はもちろん、他の色でもいいことになります。
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テープLEDなら、いろいろな色がありますからね〜。
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ただし、点滅したり明るさに変化があるようなものは明確にNGです。
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ということは、色が変化するRGBテープLEDを貼るのもダメってことか。
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それは車の外装で使うのはNGですね。例え赤が出てこなくてもダメです。
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というわけで、まずは「その他灯火類の色ルール」(保安基準)を教わりました! これだけなら意外とゆるい気もしますが……
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色だけがルールではありませんよ。残る条件は「取付位置」と「明るさ」です。
正式なデイライトは白のみ
✔ 2016年10月にできたデイライト専用の新基準は、「車検に通るデイライトの条件」参照。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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