ドレスアップの気になる話題
フォグランプの「LED化」「HID化」を比較
- 1
- 2
最近の車のフォグが暗くなっている。「エコ」と言えば聞こえはいいが、納得がいかない話である。しかしココをポジティブにとらえると、後付けする効果は大。純正よりも明確に明るくできるからだ。そこで気になるのが、LEDかHIDか。フォグに向いているのはどちらなのか、理論的にじっくり検証します。
今どきのフォグランプにHIDを入れると溶ける理由
-
フォグランプにはHIDを入れるべきかLEDを入れるべきか? 悩ましい問題ですよね。
●レポーター:イルミちゃん
-
う〜ん、でもフォグランプの場合はLEDのほうがいいですね。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
-
あれ、もう結論ですか? でもヘッドライトの場合は、明るさではHIDが勝るという話でしたよね?
-
そうですね。単純な明るさ比較では、最新のLEDバルブでもHIDの明るさには達していません。
-
それならフォグランプに入れる場合も「明るさ重視ならHID」ということになりませんか? 一長一短あるとしても。
-
フォグランプの場合は、HID化するとどうしても「熱」の問題が出てくるからですよ。
-
そういえば最近、「フォグにHIDを入れると溶ける」っていうフレーズをよく聞きますね。
-
そうなんです。例えばコレは、最近の車で多く採用されるようになったH16のハロゲンバルブなんですが……、
-
H16というのは従来のフォグランプに比べて消費電力が大きく下がっていて、19Wしかないんです。
-
以前のフォグは、もっと大きかったんですか?
-
ハイ。例えばH8なら35W、H11なら55Wの電球が使われていました。
-
へぇ〜! 消費電力はフォグのバルブタイプによって違うんだ。
-
そうですね。で、H11とかH8といった従来型に比べると、H16、PSX24W、PSX26Wといった新しい世代のフォグランプはどれも消費電力が低い。
-
これはつまり、新型は消費電力が低くても明るいってことですか?
-
いいえ。電球同士での話ですので、消費電力が下がったぶんやっぱり暗くなっています。
-
あり?
-
PSX系についてはH16よりはW数が高めではありますが、これらはハロゲンではなく白熱球。ワット数あたりでは、ハロゲンより暗いのです。けっきょくH16もPSX24Wも、だいたい同じくらいの暗さですね。
-
進化して明るくなるどころか、ナゼか純正フォグは、どんどん暗くなっている? どういうこと?
-
理由はシンプル。
そのほうが灯体を軽く作れるからです。
H16型の純正ハロゲンバルブ
純正のH8フォグバルブ(35W)
純正のH11フォグバルブ(55W)
純正のPSX24Wフォグバルブ(24W白熱球)
純正のPSX26Wフォグバルブ(26W白熱球)
最近のフォグランプは樹脂なので熱に弱い
-
以前のH11フォグなどはリフレクター(反射面)は金属、レンズ面はガラスを使って耐熱性を高くしていました。
-
それで55Wもの電球が入れられていたんだ。
-
そうなんです。反対に「19Wの電球を入れるだけなら、そこまでの耐熱性は必要ない」ということになります。
-
ムムム。
……その発想、なんかズルイような。 -
だからH16ではリフレクターも樹脂製、レンズ面も樹脂製になっています。
-
自動車メーカーは、暗くしてまでフォグを軽くしたいの???
-
フォグ単体の軽さの問題というよりは、フォグが軽くなると、そのぶんバンパーも薄く軽量に作れるからなんです。そっちの軽量化の効果が大きい。
-
そういうことか〜!
つまり暗いフォグはエコ? -
まあ、そうですね。
-
熾烈な燃費競争の裏で、犠牲になっているのがフォグの明るさだったとは。
-
そういう側面はあるでしょうね。だから最近の車は「フォグが暗い!」っていう声が多いのです。H8あたりから言われ初めていることですが……
-
けど!
そういうことなら、後付けする意味は大きいですよね! -
ですね。
純正よりハッキリ明るくできますから。 -
35WのHIDを投入すれば、19Wの電球とは比べ物にならないほど明るくできるところですが……、
-
しかし、低消費電力の電球を前提とした薄い樹脂設計のH16フォグにHIDを入れると、リフレクターや正面のレンズが溶けてしまいます。
-
まさかいきなり燃えませんよね?
-
難燃素材を使っているのでそれはないでしょうけど、溶けて白く濁ったり、グズグズになったりします。ライターでプラスチックをあぶった痕みたいなものですね。
金属とガラスで出来たH11フォグランプ
樹脂で作られているH16フォグランプ
LEDフォグバルブなら熱の心配はない
-
これまでに聞いたような背景があるから、フォグはHIDよりLEDっていうことになるのか。
-
そうなんです。IPFのLEDフォグバルブを例にすると、消費電力は12Wです。
-
つまり19Wの熱設計になっているH16フォグでも、全然問題ない。
-
熱による灯体へのダメージはまったく心配ないですね。
-
でも19Wから12Wに下がってしまうんですね?
-
いやいやいや、電球の19Wと、LEDの12Wでは、比べモノにならないくらいLEDのほうが明るいですよ!
-
そっか。
電球 VS LEDでしたね。 -
ルーメン値でいうと、H16の電球は約370ルーメン(12V時)なのに対して、IPFのLEDフォグバルブは1000ルーメン以上出ていますから。
-
なんと3倍強! LEDってやっぱり効率いいんですねェ〜。
IPFのLEDフォグバルブ(12W)
IPF製の「LEDフォグバルブ 6500K」。ヘッドライト用LEDバルブと同様、高い配光性能がポイント。写真はH8/H11/H16共用型だが、HB4型やPSX26W型もラインナップ。
H8やH11のフォグならHIDでもよい?
-
H8フォグランプは、電球の消費電力が35Wという話でしたよね。
-
ということはこの場合、H8なら35WのHIDを入れても、熱の心配はないってことになりますよね?
-
いや、それはやめたほうがいいです。25Wクラスのフォグ用HIDならともかく。
-
なんでですか?
-
HIDは前面方向にかなり熱が出るので、消費電力が電球と同じだから大丈夫、ということではないんですよ。
-
だからフォグ用HIDって、消費電力を下げているのか。
-
25Wクラスのフォグ用HIDであれば、熱の問題はクリアできるものが多いとは思いますが。ただし車種によっても差が出るようです。
-
同じH8なら、どの車種も同じではない?
-
たとえば下のヴェゼルのフォグランプを見てください。H8なんですが、バルブからレンズやリフレクターまでの距離がすごく短いんです。
-
同じフォグでも、レンズ面への熱のかかり方は違う。だから全てのH8フォグが同じ条件とは言えません。
-
ではH11(純正は55W)だったら? さすがにHIDで問題ないですね?
-
その場合は、HIDを入れても熱問題はクリアできると思います。
-
H11フォグで、ようやく問題なくHID化が可能なのか〜。
-
いや……問題ない、とは言ってません。熱は問題ないはず、と言っただけで。
-
ずいぶんフォグLED化には慎重姿勢ですねぇ?
-
ウチの会社の公式見解では、それでもフォグにHIDを入れるのはNGなんですヨ、実は。
-
え?
なんで? -
会社がカタいんで。
-
いやいやいや! そういう話じゃなくて、理屈の上ではH8フォグに25W-HIDを入れたり、H11フォグに35W-HIDを入れるならいいはずですよねぇ???
-
そのへんの事情は、次のページの照射テストで詳しく解説しましょう。
35Wの電球が使われているH8フォグランプ
H8純正フォグ灯体。ちなみにコレはハスラーのディーラーオプションフォグ(IPF製)。
ヴェゼル純正のH8フォグランプ
フォグランプをLED化するときの注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
関連記事
- LEDフォグとHIDフォグの照射比較
- 車検に通るフォグランプの条件
- フォグランプを黄色にする意外なメリット
- 黄色フォグランプは車検に通らない、という誤解
- 白と黄色、2色切り替えが可能なLEDフォグランプが登場
- LEDフォグランプ化する方法(前編)
- LEDフォグバルブのDIY取り付け方法
- フォグランプバルブの種類
- フォグランプの光軸調整を正確に行う方法
- フォグランプの光軸調整を、簡単に行う良い方法
- フォグランプの使い方・点灯ルールをおさらい
- 対向車に迷惑をかけないフォグランプの作り方
- フォグランプの配光特性を知っておくと、フォグを上手に使いこなせる
- 雪道を走るなら、フォグランプは黄色ハロゲンが正解
- フォグランプの「ハロゲン」VS「LED」比較
- HIDフォグランプは車検に通るの?
- 純正LEDフォグランプが暗い!? 明るくする方法とは?
- フォグランプに水(レンズ内側の水滴)が入る原因と、その解決策
- LEDフォグランプが明るすぎると、ロービームのジャマをする!?