フォグランプの知識
フォグランプの使い方・点灯ルールをおさらい
フォグランプの使い方・点灯のルールを、あえて改めて考えてみる。そもそも「悪天候時に点灯する補助灯」という位置づけが、実体と合っていないのが現状だ。晴天時の夜間にフォグランプ点灯したら、違反なのか。どうなのか。
フォグランプの常時点灯は違反か!?
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フォグランプは、「悪天候時に点灯する補助灯」ということになっていますよね。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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では、晴天時に点灯させたら道路交通法違反となるのでしょうか? ネット上ではそんな意見もちらほら散見しますけど。
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いいえ。
法規上のことで言えば、そういう規定はありません。 -
そうなんだ。
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ただし、自治体の条例で、「霧、雨、雪、砂ボコリ、等の状況がない場合にはフォグランプを点灯してはいけない」といった規定を設けているところはあるようです。
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自治体の条例かぁ。
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でも、おおもとの国のルールである道路交通法ではそういう定めはないので、基本的には、フォグランプを晴天時に点灯したから違反・違法ということではないです。
イルミネーション化するフォグランプの現状
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実際、晴天時の夜間にフォグランプ点灯している車は、多いですよね。
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最近の車は、そもそも車の作りとして、フォグランプがイルミ化している側面もありますからね。常時点灯している人が多いのは、車の仕様上の問題もあると思います。
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と言いますと?
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一度フォグランプをオンにすると、その後は、スモール(ポジション)ランプ連動で自動点灯する制御になっている車が増えているからです。
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輸入車だと、いったんヘッドライトを消すと、フォグランプは完全オフになり、改めて独自にフォグランプをオンにしない限りは点灯しない制御が多いです。日本車は傾向が違いますね。
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意識的にフォグランプをオフにしない限り、スモールランプ連動でのオンオフ……つまりイルミ化してしまうんですね。
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そうなんです。だから、普段からフォグランプを点灯している意識がないまま点灯している、という人はけっこう多いと思います。
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その制御方式が採用されている現状で、晴天時に点灯するのは良くないとか言われても……という気はします。
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並行して、純正フォグランプはかなり明るさを押さえてきているので、その意味でもイルミネーション化していますね。
一度オンにしておけば……
その後はスモールオンに連動点灯
最近主流のH16フォグランプなどは、消費電力が小さくて暗い。「バルブの種類│フォグランプ編」参照。
機能面から見た場合の、合理的なフォグランプ使用方法
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法規で禁止しているわけでもないのに、フォグランプは悪天候時以外使うな、という意見があるのはナゼ?
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それはもともとフォグランプが、「前部霧灯」だからです。ようは、霧が発生したときに、点灯させる補助ランプ……というのが根底にあるからですね。
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フムフム。
あくまでも補助ランプね。 -
実際に補助灯としての役割は、配光の面からも明らかですね。
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ヘッドライトと、どう違う?
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ヘッドライトの配光は、路面の先のほうを照らすもの。以前に、LEDヘッドライトバルブなどを開発する上では、「カットライン直下の部分が一番明るくなるのが重要」という話をしましたよね。
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カットライン直下が、一番遠い路面を照らす光だからですね。
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そうです。けれど、そうやって理想の配光を突き詰めると、どうしても車のすぐ手前は暗くなってしまいます。
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なるほど。
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まあ、走行上は手前の路面に何か見えてからブレーキを踏んでも間に合わないので、手前の明るさはそれほど重要ではないのですが……
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でも、できれば手前も明るくしたい、とは思いますね。
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それをフォグランプが補助灯として補っています。
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壁の下のほう(近い路面を照らす光)まで、明るくなりました!
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フォグランプの配光は、車のすぐ前の路面を照らすことや、ヘッドライトよりワイドに照らす、という特長があります。
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上の比較で見ると、両方点灯しているほうが走りやすそうなのは明らかですねぇ。
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街頭が少ない、暗い道路を走っている状況であれば、(晴天時でも)フォグランプを点灯させることで、走りやすくなるのは事実です。
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……ならば、ヘッドライト、フォグランプ共に正しい配光になっていれば、晴天時に点灯させることにも機能面からは意味がある、と言えますよね。
※配光の詳しい話は、「ヘッドライトの配光とは何か」参照。
ヘッドライトとフォグランプの同時点灯
対向車がいる状況でフォグランプを点灯させるのは迷惑か?
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さきほどのフォグランプの配光の話を聞くと、晴天時でも積極的に使いたくなってくるのが人情だと思われますが……
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まあ、フォグランプの配光がほしい、という状況であれば点灯しても問題ないと思いますよ。
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でも、世の中には、「対向車のフォグランプが点灯していると眩しくて迷惑だ」という意見もあります。それはそれで、言いたいことが分からなくもない。
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うーん、しかしそれは、問題が別のところにある議論ですよね。
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と言いますと?
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対向車に迷惑な光……すなわち、幻惑光(グレアとも言う)が出ているフォグランプは、晴天時・悪天候時にかかわらず、保安基準を満たせないのです。
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そういえば、「幻惑光を出してはいけない」はフォグランプの法規上のルールですね。
※「車検に通るフォグランプの条件」参照。
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そうなんです。それを満たしていないのは、天候うんぬんに関係なくNGということになります。
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晴天時に違法なフォグランプは、悪天候時でも違法。
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正しい配光のフォグランプは、カットラインが低い位置にあります。
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次に、すれ違い灯であるロービームのカットラインを見てみましょう。
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すれ違い灯より、はるか下で光をカットしているのがわかります。ということは、正しい配光のフォグランプが、対向車のドライバーを幻惑するとは考えにくい。
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でも、街中ですれ違う車のフォグランプが眩しい、と感じることは確かにありますけれど?
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それは、光軸が狂っているか、上方散乱光が出ている可能性が高いですね。
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配光が狂っていると、手前の路面を照らすべき光が、空に向かって飛んでしまっていて、霧や雪に乱反射することになります。
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ということは、悪天候時にも走りづらい……。
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そういうことになります。
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フォグランプの使い方を、改めて考えてみました。この記事は「対向車に迷惑をかけないフォグランプの作り方」に続きます。
フォグランプのカットライン
IPF製のLEDフォグバルブを使用。
ロービームのカットライン
対向車に迷惑なフォグランプ
✔ フォグランプの配光が出ていない(社外バルブの設計の問題)
✔ HIDバルブを入れている(そもそも上方散乱光が飛びやすい)
フォグランプをLED化するときの注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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