車の電流の正しい測り方(テスターの使い方)
車の電流が数値でわかるテスターの使い方。電圧をテスターで測るときとは、同じところもあるが、違いもある。なお単なる手順だけではなく、測る仕組み(テスターを直列に当てる)もサラッと解説。電気が苦手な人にもわかりやすいはず。
車の電流を測るときはテスターの「A」で測る
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テスターの使い方、今日は「車の電流の測り方」です。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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そもそも「ナゼ電流を測るの?」という人は、「サーキットテスターとは? 検電テスターとどう違うのか?」で、おさらいできます。
●レポーター:イルミちゃん
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電流を測るときは、テスターの「A」のゾーン(↓)を使います。
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電流は「アンペア」だからAですね〜。
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そしてこのAのゾーンにも、測定レンジがいくつか用意されています。
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前ページの、電圧(V)のときと同様ですね。
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使い方も同じです。測ろうとする相手の電流が分からないときは、大きいほうから使います。
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つまり、今回のテスターの例だと「10」に合わせて測る。
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そうですね。すると最大10アンペアまで測れますが、小さい電流のときは反応しないかも知れない。
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そのときは、一段下げて200m(ミリアンペア)にして測ってみればいい。
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そういうことですね。車で電圧を測るときは「12Vなのかどうか」を調べることが多いですが、電流の場合は、「何アンペア流れているか知りたい」用途なので……
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電流の見当が付かないことも、多そうですね。
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ハイ。そこで、大きいレンジから順番に試す、という基本に忠実なテスターの使い方となります。
電流を測るときは、テスターを直列に当てる……とは?
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サーキットテスターの設定方法は、電圧も電流も同じようなものなのですが、違いもあります。
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違いとは?
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電圧を測るときは、並列にテスターを当てて測定できましたが……
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……ん?
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電流を測るときには、直列にテスターを当てる必要があります。
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……ちょ、ちょっと待った!
なんの話ですか??? -
電圧を測るときは、テスターのいっぽうをアース接続した状態で、もういっぽうを当てれば分かりました。
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これはようするに、並列に当てているということなんですよ。
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……はあ。
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……まあ、いいでしょう。
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見捨てられたッ!?
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……あ、いや、それよりも「直列にテスターを当てる」を説明したほうが早いかなと。
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どっちにしてもよくわかりませんが……。
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例えば、何か電装品を付けたとしましょう。
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ハイ。
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そのときに、ボディアース接続しますよね。
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このボディアースを、いったん外します。
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そうすると、電気が流れなくなりますが……それで、電流が測れるの?
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外したところに、テスターを割り込ませるんです。具体的にはテスターのいっぽうはボディアース、もういっぽうは電装品のマイナス線(クワ型端子など)にあてる。
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ほほう。
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つまり、テスターを経由して、電気が流れるような形を作るんです。
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あー。そうやって、テスターを通過する電気を測るんだ。
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そういうことです。それが、「直列にテスターを当てる」ということです。割り込ませるイメージですね。
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なるほど。
少し分かったような気がします。 -
対して、電圧を測るときのように「並列にテスターを当てる」のは、配線は何も外す必要がない測り方ですね。
電圧のときはこう当てる
ヒューズを抜いた所にテスターを割り込ませて電流測定できる
テスターで電流を測るときの方法をもうひとつ紹介しておきます
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さきほどは、クワ型端子を外していましたが……
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あ、そういえば戻しておかなくては!
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……という手間の問題もありますよね。
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でも、いったん外して、間にテスターを割り込ませないと測れないんでしょう?
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そうですね。配線の途中で測ろうとすれば、切断する必要がありますからね。
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テスターで測るために、配線を切るのは嫌だなぁ。
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それなら、もともと配線が切れている箇所で測定すればいいんですよ。
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なに言ってるんですか!?
配線が切れていたら、電装品が動かないじゃん。 -
配線が切れている所、それがすなわちヒューズです。
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ヒューズホルダーに入っているヒューズを、抜けばいいのです。
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ほほう
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その上で、ヒューズホルダーの両側の端子にテスターを当てる。こうすれば、配線の途中にテスターが割り込むことになります。
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こうやって電流を測るのか〜。
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電装品の電源ラインにはだいたいヒューズが入ってますから、そこで電流値は測れます。
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この測り方が、一番スマートな気がします。
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なお、電装品の「消費電流」だけでなく、電装品がオフになっているときに「待機電流」も測れますよ。
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そういえば、どっちも「電流」ですね。
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そうなんです。エンジンオフの状態で同じことをやれば、待機電流が分かります。
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なるほど、なるほど。
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だから、バッテリーが心配な人も、サーキットテスターがあると便利です。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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