ヒューズ選びのQ&A
リレーのコイルにつながる配線には、何アンペアのヒューズが必要?
リレーのコイルにヒューズは必要なのか。付けるとしたら何アンペアのヒューズを選べばいいのか。一般的には「電装品の保護」の役割りのヒューズだが、それとは別視点のリレーとヒューズの話。
そもそもリレーのコイルにヒューズは必要か?
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ちょっとマニアックな話題なんですが、リレーを使うときのヒューズに関する質問に回答したいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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これはようするに、電装品の電源に使う線のことではなくて、リレーのコイルに流れる線についての質問です。
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エーモンの5極リレー(3237)を例にすると、「黄」や「白」には電装品しだいで大きな電流が流れますが「リレーのスイッチを動かすためのコイル」には、たいした電流は流れませんよね?
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そうですね。
接点は大きな電流が流れますが、コイルの電流は、ごくわずかです。●アドバイザー:CEP 服部研究員
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でもそうはいっても、改めて聞かれると「何アンペアくらい流れるのか」考えたこともないから分からないっていうか……。
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質問の中の例・エーモン製リレー(3237)なら、コイルの消費電流は約150ミリアンペア(12V時)と、消費電流が公開されていますよ。
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あ、本当だ。
使用可能電力とは別に、そんなスペックもあるのか。 -
リレーの接点(スイッチ)を動かすために、約150ミリアンペア消費する、ということですね。
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つまりエーモンの5極リレーの青線に流れる電流は、約150ミリアンペア。
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この場合は最大容量ではなくて、定格なので、実際のところそれに近い電流が流れていると考えていいですね。
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フムフム。では、そこに入れるヒューズのアンペア数は……?
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もしもヒューズを入れるのであれば、定格の倍の300ミリアンペア程度のヒューズがよろしいかと思います。
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ナルホド。
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ただし、300ミリアンペアのヒューズは一般的にはあまり販売はされておりませんが。
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ムムム……。
しかし、無いわけではない? -
はい。管ヒューズならば300ミリアンペアのヒューズもありますよ。参考までに紹介しておきます。
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配線の途中に入れるとすれば、別途「管ヒューズ用のヒューズホルダー」などが必要になりますけどね。
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ヒューズホルダーならエーモンからもいろいろ出ていますよ。
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というわけで、厳密に考えて細かくやろうとするなら、こういうやり方になってくると思いますが……。
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なるほど、なるほど。
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ただ、まあ、ここまでするのは一般的ではないです。
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コイルの手前にヒューズを入れるのは一般的ではない、と?
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そうですね。コイルに流れる電流は僅かですし、リレーの先につながる電装品の電源ではないので、実際はコイルにまでヒューズを入れられる方は少ないと思います。
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……言われてみればこのヒューズは、「電装品の保護」には無関係ですね。「過電流が流れて電装品が壊れる」意味での保護ヒューズはいらない、ということか。
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そうですね。ただし、コイルにつながる線にヒューズを入れることにまったく意味がない、ということではありませんよ。
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ほう?
■ 質問
リレーの作動用の線の電源側には、何アンペアのヒューズを入れればいいのでしょうか?
例:エーモンの5極リレー(3237)の青線に入れるヒューズ
質問者╱NORIさん
エーモンの「リレー(3237)」参照。
✔ マルツオンラインで販売しているガラス管ヒューズ 125V0.3A(Φ6.4×30mm)
ショート対策の意味でヒューズを入れるなら1アンペアでもOK
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リレーのコイルの手前にヒューズを入れるのは、過電流防止ではなくて「ショート対策」という目的では、意味があります。
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え~っと、例えばイルミ電源線からリレーのトリガー用に分岐させてきた線を、作業中にショートさせるかも知れないし。
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そういう意味ではヒューズを入れておく意味はあります。ただし、それならそれで、コイルの定格電流に合わせる必要性は薄いのかなとは思います。
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あ、なるほど。
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もっと一般的に入手しやすい、1アンペアくらいのヒューズでも、ショート対策にはなりますので。
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ショート対策なら、何アンペアでもいいってこと?
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ショートさせた場合に車両側のヒューズより先に飛んでくれれば、ショート対策にはなるわけですよね。
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フムフム。
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つまり、入れるヒューズの容量が、車両側のヒューズの容量を上回ってしまうと意味がありませんが、車だと小さいヒューズでも5アンペアくらいのケースが多いですよね。車両によるとは言え。
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そういえば、1アンペアとか見かけませんね。
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ですね。1アンペアは車ではほとんど使われていないので、先に飛んでくれる、という目的は果たせます。
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そういうことか~。
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リレーのコイルの消費電流に合わせて細かくヒューズを選んでもいいんですけど、現実的にはショート対策に限定した1アンペア等でもいいのかな、とは思います。
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入れるとしても、ね。
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もし、リレーのコイルの消費電流が公開されていなくてそれを知りたい、というのならば、コイルの線の途中にサーキットテスターをつないで電流値を実測するのもいいと思います。
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なおこの方法で調べる場合は、サーキットテスターを直列に割り込ませないとダメです。
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エーモンリレーを例にすれば、青線の途中を切っていれる的な?
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そうですね。あるいは車両側の線(イルミ電源)と、青線の間に、サーキットテスターを割り込ませる、ということですね。
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なるほど。
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そうするとリレーがカチっと動くので、その状態での電流値を測定すればいいわけです。
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一番厳密なやり方としては、そういうことになるのか。
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普通はそこまではしないと思いますが、DIYラボ読者はマジメなタイプの方が多そうですので、ねんのため触れておきました。
✔ 詳しくは「車の電流の正しい測り方(テスターの使い方)」参照。
リレーの使い方についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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