車を便利にする電装DIY
シガーソケット増設時は「容量オーバー」に注意
シガーソケット増設の注意点「容量オーバー」の話。ソケット口を増やしたい人は、使いたい電装品が多い。どうせ増設するなら、1つでも多くつなぎたいので、3連ソケットが人気だが、3連ソケット化しても、必ずしも3つの電装品が使えるわけではない!?
増設したシガーソケット(電源ソケット)の容量に注意
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アウトドアや車中泊に備えて「シガーソケットを増設するにあたっての注意点」を整理しておきます。
●レポーター:イルミちゃん
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増設したシガーソケット(電源ソケット)の注意点は、「容量オーバー」ですね。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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ふむ。……まあ、容量制限があるのは純正シガーソケットだって同じことなんですが……
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純正シガーソケットの場合は、車種にもよりますが、10アンペアあたりのヒューズが入っていることが多いです。
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フムフム。
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そして増設用のシガーソケットの場合、それぞれ製品ごとに「使用可能電力」の制限があります。
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そこは製品によるのか。
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エーモンの電源ソケットのラインナップは前に紹介したことがありますが……
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それぞれの電源ソケットの、使用可能電力(ワット)を整理するとこうなります。
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定番モデルの「貼り付けタイプ」や「プラグロックタイプ」の場合で、80Wなんですね。
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「ヒューズ電源タイプ」の場合は60W以下となりますが、これはヒューズ電源の中に入っているヒューズが、5アンペアのためです。
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あー。シガーソケット本体の作りは同じでも、ヒューズが5アンペアなら、最大5アンペアってことになりますね。
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そうなんです。5アンペアは、使用可能電力でいうと60Wということになります。
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なるほど。使うシガーソケットによって容量が違う。この点は注意ですね。
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特に「電源ソケット・OFFタイマー機能付き」は、使用可能電力が12Wと低めなので、大容量の電装品を使用することはできません。
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ふむ。エンジン停止時にも電気を供給するモデルなので、控えめなスペックになっているんですね。
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そして使用可能電力の大きいシガーソケットだとしても、「使い方によっては容量オーバーになるケース」もありますよ。
✔ 10アンペアは最大電流なので、これを「使用可能電力(ワット)」に換算すると、12V車の場合は、120Wということになる。
█ エーモンの電源ソケットの容量
電 源 ソ ケ ッ ト |
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---|---|
80W以下 | 貼り付けタイプ(1540) |
80W以下 | プラグロックタイプ(1541) |
60W以下 | ヒューズ電源タイプ(1542) |
12W以下 | OFFタイマー機能付き(1543) |
アンペア数に換算すると…
80W÷12V=6.66アンペア以下
電源ソケット・ヒューズ電源タイプ(1542)は、ヒューズ電源が付属している。
3連ソケットを使えば3つの電装品がつながるが、「根元の容量」が増えるわけではない
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よくある話として、エーモンのシガーソケット(電源ソケット)を増設したところに、市販の3連ソケットなどを併用する人も多いのですが……
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この使い方がダメなわけではありませんが、電装品を3つ同時に使う場合、それらの消費電力の合計が、電源ソケットの使用可能電力を超えないようにする必要があります。
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……なるほど。
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そもそも、3連ソケットの使用可能電力にももちろん注意が必要なんですが、それを守っても、分岐元になっているシガーソケットの使用可能電力をオーバーする可能性があるってことですね。
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純正のシガーソケットに差しているときより、根元の容量は下がっているし。
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そうなんです。例えば、アウトドアなどで、電源は予備バッテリーを用意していたとして……そこにシガーソケット+3連ソケットをつなげたとしましょう。
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あ、こんなことできるんだ。これはアウトドアで便利ですね! 車載の電装品が使い放題になる。
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そうなんですけど、使い放題ではなくて、さきほどの使用可能電力のモンダイになるわけですよ。
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ふむ。
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この状態で市販の3連ソケットも併用して、LEDランタンをつなげて、ポータブル冷蔵庫をつなげて、暑いからUSB扇風機も付けようか……なんてことをやると……
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どうなるの?
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シガーソケットを増設するときは、ヒューズを入れるのが鉄則ですが、そのヒューズが飛びます。
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なるほどね。
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同じ複数の電装品でも、ドライブレコーダーやレーダー探知機やETCなら、たいした電流は流れません。しかしポータブル冷蔵庫などは大きな電流が流れるので、容量には注意が必要です。
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ようするに、アウトドア用途の車載用品となると、容量に注意が必要ですね。
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なお、この容量問題は、シガーソケット本体だけの話ではありません。
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と言うと?
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増設するにあたっての電源取り出し箇所や、配線コードのスペック(太さ)なども関わってきます。
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そういえばそうだ。総合的に容量を意識しましょう、という話ですね。
✔ このやり方は「シガーソケット(電源ソケット)をバッテリーに直結する方法」で解説。
※ ひとくちメモ
ヒューズを入れていないと、車両側のヒューズが飛んだり、配線が異常発熱したり、純正機器を壊したりといった、より大きな問題になる。「シガーソケット増設時には、必ずヒューズを入れる」ということ自体が、一番重要な注意点とも言える。
✔ ポータブル冷蔵庫の消費電力はもちろん機種によって異なるが、一般的な車載ポータブル冷蔵庫で40~50W前後といったところ。
✔ 例えばシガーソケットの延長コードに、0.2スケアの細線(※2.5アンペアしか流せない)を使ってしまうと、配線キャパ的には30W以下となる。ポータブル冷蔵庫なら、1個でアウトの可能性があるのだ。
シガーソケットを増設するときはまず、電源ソケットの選び方に注意しましょう。どれでも同じと思っていたら大間違い! そのあたりの注意点はDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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