ヒューズ選びのQ&A
8アンペアの電装品に使うヒューズは、7.5Aか、10Aか、15Aか?╱ヒューズのアンペア数の決め方(後編)
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ヒューズのアンペア数の決め方・実践編。8A(アンペア)の電装品のヒューズは、一般的には10Aでいいが、それが本当にベストのアンペア数とは限らない。そこで実際に自分が使う電装品にとって、ちょうどいいアンペア数のヒューズを選ぶ方法を紹介。サーキットテスターなしでできるやり方もある。
一般的には10アンペアが妥当だが、1つ下の7.5アンペアも気になる
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●レポーター:イルミちゃん
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ヒューズのアンペア数の決め方は、電装品の消費電流に対して、ひとつ上か、ふたつ上くらいまでのアンペア数を選ぶのが基本ではあります。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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例えば、電装品が12V 100W(8.33A)だとしたら、10Aか15Aのヒューズを入れる、という意味ですね。
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そうですね。ただし、電装品との差は小さいほうが望ましいので、普通に考えると10Aということになるのですが……
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ふむ。
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しかし電装品は8Aですから、明らかに容量不足でしょう? 通常使用でもヒューズが切れてしまう。
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そこは、実際に消費している電流が分からないので、なんとも言えません。
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む?
と言いますと? -
メーカーが公表しているスペック上の消費電力が100Wだとしても、メーカーが大きめに言っている可能性もありますので。
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そういうことか。
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100Wと書いてあっても、実際は80Wぐらいしか消費していない、ということは十分にあり得る話です。
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だとすると……80W÷12V=6.66アンペアまで落ちるから、7.5Aのヒューズで足りる♪
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足りるなら、10Aヒューズより、リアルな電流値との差が小さい7.5Aヒューズのほうが望ましいことになります。
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イチかバチか、やってみる?
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そういう手もありますが、その電装品に流れる電流を実測で調べる方法が一番よいです。
もうひとつ悩ましい選択肢。10Aの下の7.5Aがあります
写真はエーモンの 低背ヒューズのアンペア数ラインナップ。
リアル電流値が分かれば、最適なヒューズのアンペア数が選択できる
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電装品に流れる電流の測り方を、実際に教わっていきましょう。
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コムエンタープライズの電装ユニットを例にすれば、赤のメイン電源線にヒューズを入れてあります。
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ヒューズを抜いた状態で、ヒューズホルダーの両端の端子に、テスターを当てます。
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ようするに、ヒューズの代わりに、テスターが割り込むようなイメージですね。
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なるほど。
これでリアル電流が測れるんだ。 -
ここで、注意点があります。「その機器が一番電気を消費するであろうタイミング」に測りましょう。
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たいして働いていないときに測っでも、ダメですね。
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そうなんです。一番大きい電流が流れるときの数値を知りたいのです。
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それが分かれば、その数値の、ギリギリ上のアンペア数のヒューズを選べばいい。
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それでもし、公称値に近い8Aの電流が流れているなら、7.5Aでは切れやすくなるので、10Aにしておきましょう、ということにもなります。
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数値化すれば、何が正解なのかハッキリ分かる。
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当然、実測を下回るヒューズではダメなんですけど、無駄なく上のヒューズが選べますね。
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心配な人にとっては、一番安心できるヒューズのアンペア数の決め方と言えそうです。
このヒューズを抜く
試しに、消費電流を下回る7.5Aを入れてみる手も…
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ただ、実際の電流値を測るとなると、サーキットテスターが必要ですね。検電テスターではなくて。
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まあ、テスターを持っていない、ということであれば、試しに7.5Aのヒューズを入れてみて……
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そんなことして、実測で8A流れていたら、ヒューズが切れてしまうじゃないですか!
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7.5Aヒューズが、通常動作の範囲でもたまに飛ぶようであれば、やっぱり10Aにしておく。そんな判断ができるのかなとは思います。
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……そうか。もし7.5Aでも飛ばないなら「10Aより7.5Aで正解だった」と言えるんだ。
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ハイ。
ちょうどよかった、ということになる。 -
そういう決め方もアリなんですねェ。
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ヒューズは無駄になってしまうかもしれませんけどね。
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まあでも、ヒューズが飛ばずに電装品が壊れることに比べたら……
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そうなんです。そもそもヒューズは、電装品を守るために、先に飛ぶように選ぶものですから、ヒューズが飛ぶのは悪いことではありません。
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隊長の言う通りにしたら、ヒューズが飛んだぁ。どうしてくれるんだぁぁ!……と、突っかかる場面ではない。
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ヒューズが飛んでくれて、良かったですね。
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ぐぬぅ。
でもなんか感じ悪い……。 -
しかし本当に、ヒューズが飛ばなくて電装品側が壊れる、という事故はおうおうにしてあることなので。
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考えさせられる話でした。
なかなか。
✔ 基礎知識は「車の電流の正しい測り方(テスターの使い方)」参照。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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