電源取り出しに関する疑問
エンジンルーム側でのIG電源取り出しは、意外と悩ましい問題
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エンジンルーム側でデイライト用にIG電源などがほしい場面で、どこからそのIG電源を取るか。ヘッドライト裏のIG電源線はコンピューター関連の電源だったりするので避けたいが、だからといってエンジンルーム側ヒューズから取るというのもデメリットがある。ここは意外と悩ましい問題かも?
エンジンルーム側ヒューズボックスのIG電源取り出しはどうなのか?
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「ヘッドライトコンピューター裏の配線からIG電源を取り出しして大丈夫?」のつづき。
●レポーター:イルミちゃん
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前回は、70カムリのヘッドライト裏の配線からIG電源を取り出しすることの懸念を伝えましたが……
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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では、今回のようにエンジンルーム側でIG電源を探したいときはどうすればいいのか?
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そこですよね。
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エンジンルーム側でIG電源が必要なんだから、エンジンルーム側のヒューズボックスからIG電源を取れると都合がいいんですけど?
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うーん、まあ、その手はあるにはあるんですが……そこにも懸念はありますね。
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え? なんで??? ヒューズからの電源取り出しは定番でしょう?
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車内側のヒューズボックスとは違い、エンジンルーム側のヒューズボックスは「車外」の扱いですよね。
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ふむ。
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だからエンジンルームのヒューズボックスには、必ずフタがしてあります。
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当然ですが、水や砂ボコリなどが入らないようになっています。
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ふむ…。エンジンルームは車外ですからね。水がかかってしまう可能性もある。
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しかし、そこからヒューズ電源などで電源取り出しした場合は、穴を開けるなどして配線を外に通さないといけなくなります。
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あ……。
その穴から水が入るとマズイ。 -
そうなんです。水が入ったらえらいことになります(ショートする)ので、普通にはオススメできない電源取り出し方法です。
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そうだった…。
車内とは事情が違う。 -
もちろん、そこからしかIG電源が取れない状況であれば、防水処理などをきっちりやって取る、という話になるでしょうが……
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ちなみに70カムリのエンジンルーム側ヒューズボックスには、IG電源はあるんですかね?
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調べてみたところ、以下の3のヒューズはIG電源でした。
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まず「INJ」ヒューズはエンジンのコントロールコンピューターにつながっていますので、あまり触ってほしくはないヒューズです。
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でも、残りの2つも「ECU-IG」なんですけど…?
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そうなんですよ。けっきょく70カムリのエンジンルーム側では、オススメしやすいIG電源ヒューズがなくて。
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ちなみに今回の質問者・ぴょまえサンは「最初は車内側でIG電源を確保することを考えていた」ようです。ならばけっきょく、そこに話を戻すのがいいのかな。
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ただ、その場合は作業が大変です。車内から車外に配線を通すためには、グロメットに穴も開けないといけません。
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バッ直するときと同じ話ね。コースとしては逆だけど。
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へんな穴の開け方をすれば水が車内に入る原因にもなりますし、総合的に考えるとそれもオススメはしにくい方法かなと。
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……それはそうだけど、そうなると、IG電源が見つかりませんね。
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話を整理すると、今回の70カムリの事情で考えると、3つの選択肢がありますが……
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この三択の中から選ぶとしたら、私の意見としてはけっきょく、ヘッドライト裏の配線から取るしかないのかなとは思います。
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ECUのヒューズにつながっていますけど、そこは?
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容量とショートには注意しつつ、そこから取るしかないのかなと。
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うーん、でも今回の話を全部聞いたあとでは不安が残りますね。ぴょまえサンも心配して質問してきているぐらいなので……。
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こういう場面で一番イイ方法を言えば、リレーを使って電源取り出しすることですね。
エンジンルーム側のヒューズボックス
70カムリ エンジンルーム側のIG電源ヒューズ |
INJ |
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ECU-IG2 NO.1 | |
ECU-IG2 NO.2 |
>> IG電源の取り出し場所 | |
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ヘッドライト裏の配線 | |
車外のヒューズ | |
車内のヒューズ |
リレーを使って常時電源をIG電源連動で流す
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IG電源取り出しでリレーを使うの?
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ちょうど勉強したばかりじゃないですか。
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上記の記事では、イルミ電源が細線であまり電気が取れないケースでの使い方として説明しましたが、このイルミ電源がIG電源に置き換わるだけです。
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ナルホド。小さな電流で大きな電流を制御するテクニックが、ココで役立つんだ。
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今回のケースでいうとヘッドライトのIG電源線からは「リレーを動かすための信号」としてだけ、IG電源を取得するのです。
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LED用の電源としては別のところから電源を取る。
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その使い方なら、取り出したIG電源の消費量はごくわずかです。リレーのコイルが消費する分だけなので。
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ではLEDデイライト用のメイン電源としてはどこから?
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常時電源でいいので、バッテリーから取ればいいですね。ただし70カムリの場合はバッテリーはリアにあるので、チャージするための端子(プラス側)から常時電源を取ることになります。バッテリーが上がったときにブースタケーブルをつなぐところです。
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それならバッ直と同じですね。
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そういうことですね。この常時電源を、リレーを使ってIG電源に連動させてデイライトに使えばいいのです。
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なるほど~。ひと手間はかかるが安全策!
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そこそこ容量も必要な電源として取り出しするのであれば、この方法を薦めます。
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デメリットは、手間がかかることぐらいでしょうか。とはいえ、ぴょまえサンのように前向きにスキルを上げていく人にとっては大した手間ではないのかなぁと。
ACC電源とIG電源では取り出すにあたってのリスクの違いもあります。そのあたりは、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL
079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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