バックカメラ後付け入門ガイド(第11回)
バックカメラに常時電源やACC電源を取ると、何が問題なのか?
バックカメラの電源をバックランプから取ると、「バックカメラが瞬時に起動しない限り、ナビ画面に映像が映るまでにタイムラグが生じてしまうのではないか?」という見方がある。常時電源やACC電源ならこのタイムラグは生じないわけだが、果たして何が正解か!?
バックランプの電源では、バックカメラの起動が遅れるのではないか? という懸念について
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バックカメラの電源取り出し方法について、補足です。
●レポーター:イルミちゃん
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バックカメラの電源取り出し方法は、以前に解説した通り、バックランプ線から取るのがオススメです。
※「バックカメラ取り付け方法╱配線の引き込みと、電源取り出し」参照。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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しかし、ですね、ワタナベ研究員。
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ハイ。
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バックランプから電源を取った場合は、シフトをリバースに入れてからバックランプに電源が入って起動……という流れになりますよね。
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そうですね。
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そうなると、バックカメラが瞬時に起動しない限り、ナビ画面にバックカメラ映像が映るまでにタイムラグが生じてしまうのではないか? という見方もあります。
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なるほど。
確かに厳密に言うと、こうなりますね(↓) -
その間は、画面が黒いってこと?
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そうですね。
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それなら、リバースに入れる前から電源を入れておく……つまり「常時電源」あるいは「ACC電源」「IG電源」のほうが、正解ということにはならないでしょうか?
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使うバックカメラとナビの仕様によりますが、確かに「常時電源のほうが、待ちが発生しなくて切り替えが早い」というのはあり得ます。……ただし!
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む?
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そのためにバックカメラの電源を入れっぱなしするのは、デメリットがあります。
✔ タイムラグが生じる?
●「バックカメラの起動にかかる時間」が、「ナビゲーションの画面切り替え時間」よりも遅い場合。●この場合は、ナビの画面は切り替わっているのに、バックカメラの映像がまだ来ていない、という状況が生まれるので、レスポンスが低下することになる。
バックカメラに常時電源を取るデメリット
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バックカメラに常時電源やACC電源を取ったとしても、ナビに映像を映すタイミングは、シフトをリバースに入れたときですよね。
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……ということは、カメラ自体の電源はどこから取っていようと、映りっぱなしになるような心配はない。
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それはそうですね。バックに入れないと、ナビの画面が切り替わることはないです。
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だとしたら、バックカメラの電源は何でもいいことになりませんか?
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確かに、常時電源やACC電源を取っても、ユーザー側から見たバックカメラの動作としては問題ないですね。
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しかも「カメラの起動待ち」はあり得ないから、レスポンスも速い。
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メリットはそうなりますが、デメリットを言うと、バックカメラの電源が入りっぱなしになる、という点です。
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そっか。ナビには映らないけど、電源は入りっぱなし。
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ハイ。常時電源を取った場合は、エンジンを切っても電気が流れています。ヘタをすると、バッテリーが上がってしまいます。
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でも、バックカメラの消費電力は小さいですよね。とすると、毎日運転する人なら大丈夫なのでは?
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そうだとしても、バックカメラはずっと起動していることになります。そうなると少なからず熱も出ているわけですよ。
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フムフム。
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その熱が、バックカメラ本体の機器の劣化を早めることになります。
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カメラの寿命が、縮んでしまう〜。
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これはようするに、経年劣化を測定する耐久試験をず〜っとやっているようなもの。通常3〜5年持つ製品が、1年で切れた……とかそんな事態になりかねません。
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そのリクツで言うと、ACC電源やIG電源でも同じ?
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そうですね。その場合は、バッテリー上がりの心配はないですが、走行中は電源が入りっぱなし。でも車の走行時間において、バックする時間って、ごく僅かでしょう。
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まあ、99%以上、前に向かって進んでますね。
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1%にも満たないバック時のためのバックカメラの電源を、入れっぱなしにしておくのは得策とは言えません。
ナビの画面切り替えにはそもそもタイムラグがある
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それと、バックランプから電源を取った場合のタイムラグの件なんですけどね。
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フムフム。
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ナビゲーションの画面切り替えの場合は、どっちにしてももともとタイムラグがあります。
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ほほう。
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だから、よほど切り替えが速いナビでもない限り、バックランプから取ったせいで遅れる、という心配はいらないと思います。
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どうせ切り替えには少し時間がかかるから……。
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これは余談ですが、あえて遅くしている面もあるんですよ。実は。
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え。
どういうことですか? -
シフトチェンジの順列を見ると分かりますが、P(パーキング)からD(ドライブ)に入れる間に、R(リバース)を通過することになります。
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P→R→N→Dレンジへと移動しますね。
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その際、Rを通過するときの一瞬の電力の入力に対して、バックカメラの映像が一瞬パパっと表示されたら、ナビの不具合かのように見えてしまいますよね。
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あー。
確かに。 -
だから一瞬では画面切り替えをしない、というのは仕様上のことでもあるんです。
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いろいろ考えて設計されているんだ。
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つまり、リバースに入れた瞬間からバックカメラを起動しても、それで生じるタイムラグは、ナビの切り替え動作時間がほとんど吸収するわけですよ。
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なるほど、なるほど。
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結果的に、常時電源から取るメリットは薄い。対してデメリットは、さっき述べたように明白です。
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結論。
常時電源やACC電源にウマミなし! -
ただし外車など、一部の車ではバックランプから電源を取ろうと思っても、パルス信号が流れていて取れない場合もあります。
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あらま。
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そんな場合はCAN-BUS(キャンバス)アダプターが必要になったりなど、話がややこしくなるため、ACC電源で取っているケースもたくさんあるとは思います。
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国産車では大丈夫?
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国産車は、ほとんどの車がバックランプの線から12V電源が取れます。LEDバックランプでも、基板のところまでは12Vのバックランプ線が来ていることが多いです。
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なるほど納得です。以上、バックカメラ電源はバックランプから取るべき理由でした。
バックランプから12Vを取るのが合理的
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000
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