LED加工のQ&A
2色発光パワーLEDを使って、シーケンシャル+ウインカーポジションにするには…?(後編)
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シーケンシャル+ウインカーポジションを、2色発光パワーLEDで作りたい。さらにコストを下げる目的で、定電流ドライバーの代わりに抵抗を使う場合の抵抗計算を解説。パワーLEDを抵抗で光らせるには、容量的に無理が出るケースも考えられるが、その解決策もある。
抵抗でパワーLEDを制御すれば、定電流ドライバーよりコストは下がる
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「2色発光パワーLEDを使って、シーケンシャル+ウインカーポジションにするには…?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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前回、ツインカラーパワーLEDを定電流ドライバーで制御しようとすると、LED1個あたりに2個ずつドライバーが必要になるので、どうしても部品代が高くなるという説明をしました。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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そこを何とか節約したい。
どうしましょう? -
コストを抑えることを考えると、抵抗を使うほうが現実的です。
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抵抗でいいんですね。
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ただし、パワーLEDを2個3個と直列につなぐわけではなく、直列1個で光らせる場合には、抵抗は大きいものが必要になります。
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フムフム。
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たとえば今回使おうとしているCREE XB-DツインカラーパワーLEDでは、白色のvf(順方向電圧)は2.9Vです。
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車両電圧が14.4Vとして、パワーLEDが2.9Vだとすると、余剰電圧は11.5Vも余ることになります。
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そして今回は、100ミリアンペアの定電流ドライバーの代わりに抵抗を使おうとしているので、100ミリアンペア(0.1アンペア)の電流を流す想定で計算すると……
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抵抗値は115Ωと出ました。
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近似値でそれを上回る抵抗値を探すと、120Ωです。
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ふむ。
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そして次は、抵抗の容量の計算です。
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パワーLEDの場合は電流値も大きいので、抵抗の消費電力も1ワットを超えてきます。
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そして抵抗の容量を選ぶときは、倍くらいのマージンを持たせるんですよね。
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倍のマージンをきっちり取るとすれば2Wでもギリギリまたはオーバー気味になるので、できれば3W抵抗を使いましょう、ということになってきます。
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つまり、3W 120オームの抵抗を使う。
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ただ、このあたりの抵抗計算はLED数にもよって調整が必要ですね。
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というと?
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LEDの総数が多くなるほど明るくなります。それを考えると、この計算では明るすぎると思います。
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なるほど。抵抗計算②で出てきた、LEDに流す電流値をコントロール(減らす等)しましょうってことね。
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そうです。流す電流は、LED総数や放熱の状況で変えていかないといけません。
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それにしても、抵抗でもできるんですね~。
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電流制限さえすればドライバーではなく抵抗でもパワーLEDを光らせることはできますよ。
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抵抗に置き換えると、どのくらいコストが下がるのかな?
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エルパラでの販売価格でいうとPT-1010が200円なのに対して、3W抵抗は40円ですからぜんぜん違いますね(※執筆時)
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そんなに違うならドライバーを使うより抵抗のほうがいいじゃないか。ヴェゼルノリさんのおかげで、いい気づきがあった。
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ただし、デメリットとしては抵抗のほうが発熱が大きいので放熱処理はシビアです。
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そこね。
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それから、抵抗でパワーLEDを制御しようとするとどうしても容量が大きくなります。
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今回は3W抵抗で収まりましたが……
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ウインカー用のアンバー色は電流値も大きくなるので、これでは無理ですね。
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むむ……。 そういえばアンバー色だと、使う抵抗も違ってくるんだった。
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アンバーのほうがvf(順方向電圧)が低いですからね。次はこっちの抵抗計算もしてみましょう。
エルパラで販売しているCREE XB-D 白/アンバー ツインカラーLED 白とアンバーでは電圧が異なるので、それぞれに対する抵抗計算が必要。
このあたりの計算の基礎知識は、「抵抗の容量(ワット数)の選び方。抵抗計算のおさらいを兼ねて」参照。
3Wメタル抵抗はエルパラでも販売されている。
パワーLEDを抵抗で光らせようとすると容量的に無理が出るケースは…
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前回はアンバー点灯用のドライバーは、200ミリアンペアのPT-1020を使いましたが……
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それを抵抗に置き換えるとしたら、どういう計算になるんでしょう?
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XB-Dのアンバーのvfは2.25Vですので……最初の計算がこうなります。
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抵抗の電圧が分かったら、続いて抵抗値を計算します。
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3W抵抗だとすると、近似値の68Ωをチョイスすることになりそうですが……
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しかし、3W抵抗だと容量がぜんぜん足りなくなることが、次の計算で分かります。
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2.72Wもの消費電力になるので、倍のマージンをみると5W、6Wクラスの抵抗が必要になってきます。
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あー。そんな抵抗、エルパラで売っているのでしょうか?
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セメント抵抗なら5Wもあるんですけど、かなり大きくなってしまいます。抵抗値も56オームまでですね。
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抵抗計算の結果に合った抵抗がないってこと…?
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この場合は、3W 120Ωの抵抗を並列につないで、6W 60オームの合成抵抗を作り出して使えます。
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その手があった!
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今回のケースを、6W 60オームの合成抵抗で計算します。
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マージンも倍以上取れているし、問題ないですね。
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ハイ。
なんとか抵抗で対応可能です。 -
でもアンバー側は、抵抗を2個ずつ付けないといけないのか。
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コスト面ではそれでもまだ、ドライバーよりはだいぶ安いですね。エルパラだとPT-1020は1個で200円ですが、3W抵抗を2本買っても80円ですので。
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白点灯とアンバー点灯をセットで考えると、ドライバーだとLED1個あたりに400円。それが抵抗だと120円。差額は280円。
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片側で8連のシーケンシャルウインカーポジションだとすると、金額差も大きくなってくると思います。
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ええっと、片側8個分で2240円。両側16個分で4480円のコストダウンが図れます。
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そうですね。ただし2.4Wの電力を抵抗で消費させると、かなり熱を持つので、放熱処理などがしっかりできることが大前提です。
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確かに。アルミ板などに放熱用シリコンで固定したり……とか、放熱対策を考えましょう。
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もちろんドライバーも熱くはなりますが、抵抗ほどは放熱がシビアでないのがドライバーを使うメリットです。
※エルパラのセメント抵抗 5W参照。
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