パワーLEDは普通のLEDとどう違う? パワーLED自作のきほん
LED自作の世界では、敷居が高いイメージのパワーLED。でもだからこそ「使ってみたい!」気にもなる。まずは普通のLEDとの違いを知ることが、パワーLED攻略の第一歩。
出力1W以上=パワーLEDと呼ぶのが一般的
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前から疑問だったんですけど、パワーLEDと普通のLEDってどう違うんですか?
●レポーター:イルミちゃん
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単純に出力が大きいものを指して、パワーLEDと呼んでいますね。「消費電力で1W以上」のものをパワーLEDと呼ぶのが一般的だと思います。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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パワーLEDだとCREE(クリー)が人気ですよね? よく名前を聞くのはCREEな気がする。
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パワーLED自体はCREE以外にもいろいろあるのですが、チップ型しかなくて、機械でハンダ付けする(リフロー)のが前提なんです。
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人間の手でハンダ付けできないんですね〜。
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そうなんです。CREEももともとはチップ型ですが、最初から基板付きの状態で販売されているものも多く、自作でも扱いやすい。それで人気があるのです。
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そっかー。基板なしのパワーLED単品だったら、見た目は普通のチップLEDなんですね。
LED自作に使うなら「基板付き」を選ぶ
これなら配線コードを普通にハンダ付けできる。
パワーLED自作のポイントは「放熱」にあり
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パワーLEDって、なんかLED自作の世界だと敷居が高いイメージがありますが…。
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パワーLEDは明るさはスゴイですが発熱量も凄まじいので、けっきょく「放熱」ができないと使えない。それで扱いづらいイメージがあるんだと思います。
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放熱ってどうやればいいんですか?
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一般的なやり方だと放熱器(ヒートシンク)を使います。放熱器にパワーLEDをくっつけて、熱が逃げるようにするんです。
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なんだかパソコンのCPUみたいなカンジですね。
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まさしくそういう感じですね。パワーLEDの出力が大きくなるほど、大型の放熱器が必要になります。
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やはり比例するんですね。
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CREEのパワーLEDの中でも最強クラスの「XP-L」になると、先ほどお見せしたような小型の放熱器ではとても放熱が間に合いません。
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もっとデッカイのを使うんだ。
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ハイ。
大きさだけでなく、電動ファン付きのものを使います。 -
これ、完全にパソコンのCPUクーラーですね。
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そうですね。実際パワーLEDの放熱器も、ほぼ同じものを使っているんですよ。
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こんなデッカイ放熱器が必要になるのでは、パワーLEDでルームランプを作るのは難しそう。入りそうにないし。
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それは非現実的ですね。かといって放熱器ナシなら、すぐに溶けたり焦げたりするほどの熱量です。
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放熱器がないと無理なのか〜。
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たとえば球屋さんがやっているようにアルミ板に直接実装するとか、他に放熱できる技術があれば、無骨な放熱器がなくても使えるかも知れませんが。
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フーム。
いずれにしても放熱対策がカギなんですねー。
放熱器が必要になる
放熱器はエルパラでも単品で販売している。
後部のアルミに熱を逃がす
電動ファン付きの放熱器が登場
放熱器に電動ファンが付いて冷却性能アップ。
ファンで強制的に熱を逃がす
放熱器の代わりにアルミに実装して熱を逃がす実装例
流れるウインカーにパワーLEDを使った球屋の加工例。詳しくは「球屋のヘッドライト加工・アルミ使いやパワーLEDの実装に要注目!」を参照。
✔ アルミ板への貼り付け方法などは、「パワーLEDの放熱対策でアルミ板を使いたい。固定はどうする!?」参照。
CREEパワーLEDの売れ筋モデル
いずれも基板付きモデルがエルパラで販売されているCREEのパワーLED。
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さきほどCREEの基板付きなら自作で扱いやすいという話がありましたが、CREEといってもいろいろなパワーLEDの種類がありますよね?
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そうですね。でもオススメとか売れ筋に絞れば、上写真の4つぐらいです。
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この4モデルの違いは?
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明るさを求めるならば、CREEで一番新しいモデルの「XP-L」が最強です。
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さっきの電動ファン付きの放熱器を使ってたやつがXP-Lでしたね。
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XP-Lはスペック上は最大3アンペアもの電流が流せます。そして3アンペア流したときの明るさが1034ルーメン。
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1000ルーメンオーバー!
2個あればヘッドライトが自作できそうな。 -
しかし、そんなに電流を流して果たして放熱できるのか…という話になる。現実的には3アンペアを流して、放熱しきるのは難しいです。
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なるほど。
LEDのスペックだけ凄くてもダメですね。 -
XP-Lが登場する以前に最強クラスだったのが「XM-L」。今は後継の「XM-L2」というのが出ています。
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今はXM-L2は、明るさでいうと2番手?
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そうですね。「XM-L」や「XM-L2」も流せる電流が多くて、出力が大きいクラスです。
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ということは、やっぱり大型の放熱器が必要ってことですね。
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そういうことになります。で、普通に使うのであればそこまでの明るさは必要ないと思うので、「XP-G」とか「XB-D」のほうが現実的にオススメになってきます。
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そういえばXP-Gって、なんか名前を聞く機会が多い気がする。
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「XM-L」のさらに前に流行った、ちょっと古いモデルが「XP-G」です。でもそのぶんだけ値段はこなれてきています。
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なるほど。
最後の「XB-D」は? -
一番数が売れているのは「XB-D」ですね。とにかく安い。1個数百円で買えるパワーLEDなので。
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それと発熱量という観点からも、一般的なのは1〜3Wクラスを使うことです。このクラスなら小型の放熱器で熱を逃がせば済む。あるいは放熱器がなくても、アルミなどで放熱できる状況であれば使用はできますので。
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今回の例でいうと「XP-G」とか「XB-D」がオススメということですね。
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そうです。「XM-L」「XM-L2」「XP-L」クラスになると自作で使うにはちょっと無理があるんじゃないかな〜と思いますね。あくまでも放熱できる上級者向けです。
一番売れているのはXB-D
パワーLEDは抵抗ではなくドライバーを使うのが一般的
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パワーがあることを除けば、光らせ方は普通のLEDと同じですか?
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違いとしては、パワーLEDは電流制限に抵抗ではなく「ドライバー」と呼ばれる部品を使うのが一般的です。
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ドライバーってなんのための部品ですか?
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パワーLEDに電流を流すための部品で、「定電流」を流すのがポイント。電流が常に一定量に安定します。
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抵抗とは違う?
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そうですね。抵抗による電流制限でパワーLEDを光らせること自体はできますが、抵抗を使った場合は電圧の変化によって電流量が変化します。
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車の電圧は12Vと言いつつ、けっこう変化するみたいですね。
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しかもパワーLEDクラスになると、その電圧差で起こる電流の差が、普通LEDよりはるかに大きくなってくる。
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なるほど。
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300ミリアンペアとか、ヘタすれば1アンペア(1000ミリアンペア)の大電流を流すのがパワーLEDなわけでして…。
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XP-Lだと最大3アンペアなんて話もありましたしね。
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1アンペアだとしても、12Vの車で使えば、1アンペア×12V=12W(消費電力)ということになります。
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電流×電圧=消費電力、という計算ですね。
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しかし実際の光になるパワーは数ワット程度なので、残りは全部「熱」に変わることになります。
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ムムム。
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となると、もの凄くデッカイ抵抗が必要になるんですね。
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抵抗も、普通のじゃダメなんだ。
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そうなんです。そうなってくるとLEDウインカーのハイフラ防止抵抗みたいなもので、発熱がハンパじゃない。
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LEDの発熱も凄いのに、抵抗の発熱まで不安になります。
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ですから、通常はドライバーを使います。
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ドライバーなら発熱量は少ない?
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ドライバー自体はそれほど熱を持たないです。これは条件次第な面があって、出力の大きいドライバーを使ってパワーLEDを3個直列で組んだりすれば、ドライバーもかなり熱を持ちますが。
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フムフム。
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でも1個のドライバーに1個のパワーLEDを付けるぶんには、ほんのり温かくなる程度で済みます。
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なるほど。
そういう事情でドライバーを使うのか〜。 -
抵抗だと、大型のメタル抵抗やセメント抵抗(キャンセラ—等で使うのと同じ)などを使います。すると1個あたり数百円するので、安いドライバーが買えてしまう。そういう意味でもドライバーを使うのがオススメです。
パワーLED用ドライバーは種類がどんどん増加中
写真は350ミリアンペアの定電流を流すタイプ。1WのパワーLEDを直列2個まで点灯できる。
パワーLEDでも2個、3個と直列に組むのはアリ?
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パワーLEDは普通のLEDのように、白なら3個直列で組んだりしていいんですか?
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できますよ。白色なら電圧は1個あたり3V台。車の場合は電源が12Vですから、3個直列まではOKです。そこにドライバーを1個組み合わせれば問題なく光ります。
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そのあたりの計算は、普通のLEDと同じなんですね。
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ただし、「2個直列」「3個直列」に対応しているドライバーを選ぶ必要があります。
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エルパラのHPには、ドライバーごとに「1W PowerLED を直列3個点灯可能」とか書いてありますね。これを見ながら選べばいい?
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そうですね。ちなみにパワーLEDを3個直列で並べる場合、安くて人気があるのがオプトサプライの「PowerLED Driver OSMR16-W1231」ですね。
パワーLEDを3個直列光らせることが可能
1WパワーLEDを3個直列点灯可能な、「PowerLED Driver OSMR16-W1231」。値段も安く、ドライバーの売れ筋モデル。
ドライバーの種類が増えて、パワーLEDもかなり遊べるようになってきました☆
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