初心者向けホイールアライメント講習②

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アライメント調整とは？ 効果はあるの？

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アライメント調整で気になるのは「効果」。アライメント調整とは、テスターで測定後、ホイールアライメントを適正な状態にすることだが、すべてを調整できるわけではないというのは、あまり知られていない事実。そこをわかりやすく解説する。

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  「初心者のためのホイールアライメント講習スタート」の続きです。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  前回アライメントテスターで測定したので、このデータを元に、ホイールアライメントを適正な状態に調整します。

  ●アドバイザー：スパイス 佐藤研究員

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  測定して分かったことは、キャスター角もキャンバー角もトー角も、全て左右均等ではありませんでした。



画面の見方は、「初心者のためのホイールアライメント講習スタート」参照。

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  ……そうなんですが、この数字を全部左右均等に戻せる、というものではないのですよ。

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  どういうことですか？

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  例えばまずフロントのキャスター角ですが、基本的には調整できません。

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  え？

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  キャスターを決めているのはカンタンに言うとサスペンションの角度ですから、構造的に決まっているものです。

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  ……はあ。

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  調整式のロアアームを組んで動かしたりすることはありますが、アーム類をいじっていないフツウの車では調整できません。

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  ……その話、ちょっとおかしくないですか？

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  ……え？
  と言うと？

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  調整できないと分かっていて、どうして「測定」するの！ サギかッ!!

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  違いますよぉ。調整できなくても四輪全てのホイールアライメントを測定して、その状態を知ることは必要です。

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  それはなぜ？

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  例えば今回のキャスター角の結果は、こうなっていましたよね（↓）


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  左右で数字が違うけれど、なんともビミョウな……。

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  このレベルは、まったく問題ない範囲です。なおこの車は新車なので、これは純正の状態ですよ。

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  そうなんだ。

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  純正でも、完全一致はしません。これは許容範囲ということです。

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  なるほどね。
  それなら安心。

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  ただ、もしも極端に左右差があったりしたら……

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  ハッキリ左右差があったら？

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  足まわりが歪んでいるとか、アームがズレているなどの疑いがあります。事故車である可能性もありますね。

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  でも調整ができないんじゃ……

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  調整では直せませんが、大幅に狂っているようなケースなら、足回りの修理や交換という話ですね。

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  ヤブヘビってやつだコレ。

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  違うよね、ソレ。……あるいは、車高調のピロアッパーマウントを左右逆向きに間違えて付けてしまったとか、そういうこともあり得ます。

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  それは悲しい話ですね。

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  詳しいことは「車高調 取り付け方法╱フロント編（ストラット式）」で解説しましたが、車高調には左右指定があります。


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  左右逆に車高調を付けてしまった場合、キャンバー角を調整するためのミゾがナナメ向きになるので……

これは正しい例


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  キャンバー角を調整することで、キャスター角まで動いてしまいます。

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  ……それでキャスター角が狂ってしまう。

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  ハイ。要するにキャスター角の左右の大幅な狂いは、なにか問題があるときの発覚につながります。

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  なるほどね。

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  測定に意味がない、効果がない、わけではありません！（ましてやサギではありません!!）

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  はいはい。分かりました。とはいえ、多少の誤差は気にしなくていいんですね。

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  そうです。
  今回はなにも異常なしってことですね。

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  次はフロントのキャンバー角です。測定結果はこうでした（↓）


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  右は2度のキャンバー角が付いているのに、左は1.3度しか付いていない。

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  そんなときに、調整式のピロアッパーマウントだったら、微調整して左右のキャンバー角を揃えることはできます。



具体的なやり方は「車高調のアッパーマウントでキャンバー角を調整する方法」参照。

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  しかし、今回のモデル車のスティングレーは、アッパーマウントは固定式なんですよ。


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  ということは、どういうこと？

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  調整できないってことです。

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  またそのパターンかッ!!

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  ですね。

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  でもだとすると、ヘンな話では？ 純正のキャンバー角なら、なぜこんなに左右の誤差があるの？

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  このスティングレーが付けている車高調は、ショック下側（ブラケット側）のボルト穴が長穴になっていて、車高調の付け方でキャンバー角が変わるタイプなんですよ。



ボルトの付け方ひとつで2度程度は差が出たりする。詳しくは「車高調 取り付け方法╱フロント編（ストラット式）」参照。

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  しかし、この方式の場合は、キャンバー角の微調整はできません。

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  そうなの？

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  一番押し込んだところで固定するか、一番手前に引いたところで固定するかのどちらかです。その途中だと、ボルト位置がズレるリスクがあるので。

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  つまりモデル車は、左右とも一番キャンバー角が付くようにセットしたんですね。

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  そうです。倒すだけ倒した結果、こういう数字になっているので……

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  では、この誤差はやっぱり補正のしようがない……。

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  コダワリで、もしどうしても左右均等に近づけるなら、偏心カムのキャンバーボルトなどを使う手はありますが、そこまでする人は少ないですね。

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  問題なのは、フロントのトー角です。


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  トー角が大事？

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  アライメント調整の効果でいうと、トー角が最重要項目と言ってもいいですね。

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  ドレスアップカー的には、キャンバー角のほうが有名ですが……なんか、トー角って地味なイメージあるし。

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  しかしトー角が狂っていると、タイヤをナナメに引きずって走るようなものなので、極端に早いスピードでタイヤが偏摩耗しますよ。

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  タイヤの値段を考えると恐ろしい……。

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  ひとつ極端な例を紹介しておきましょう。これは、極端なトーインを放置した例なんですけれど……


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  横方向にタイヤを引きずるように走っていて、ミゾがめくれあがるように削れています。


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  うわ。本当だ。内減りもヒドイけど、それだけじゃない。……これはもう使えない？

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  使えませんね。ちなみにこのタイヤ、新品状態から千葉県〜福島間を1回往復（300キロ×2程度）しただけで、こうなったんですよ。

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  ええッ〜。
  ウソでしょッ!!

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  本当です。足回りを組み上げ、鬼キャンにして、トー角は全くいじらずに、そのまま走った結果がコレなんです。

  ※激しいトーイン状態だったと思われる。

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  なぜ、アライメント調整をしなかったんですか？

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  だって！ イベント直前に車が出来上がって、急いでいたから！

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  ……え？

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  アライメント調整するヒマもなかったんです。とほほ。

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  ……って、佐藤研究員本人の話かッ!!

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  ええ。そうなんです。
  (　･`ω･´)ｷﾘｯ

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  さんざんアライメント調整を語ったあげく、ありえない体験談。（しかし逆に参考にはなる？）

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  車のボディには、タイヤのゴムの削りカスが付着。コレもハンパなかったですね。

こんな状況になる


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  これって、ホコリじゃなくてタイヤのカスなのか〜。

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  洗車してもすぐ車が汚れるな〜という場合は、アライメントの狂いも疑ってみましょう。

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  なるほど……ね。
  ヘンな説得力あるな