初心者向けホイールアライメント講習③

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トー角とは？ トーイン・トーアウト・0度、街乗りならどれ？

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アライメント調整で、最も重要なのはトー角。……と言われても、今一つピンと来ない人が多い「トー角」をわかりやすく解説。トーイン、トーアウトとは？ ドレスアップ車や街乗り車にとって、オススメのトー角は何度なのか？

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  初心者向けのアライメント講習。「アライメント調整とは？ 効果はあるの？」の続きです。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  ホイールアライメント調整の中でも最重要項目と言っていいトー角についてです。

  ●アドバイザー：スパイス 佐藤研究員

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  ドレスアップの世界では、トー角よりもキャンバー角のほうが関心が高いのですが……

キャンバー角はいわゆる「ハ」の字のこと



「キャンバー角3度╱5度╱8度の比較」も参照。上の写真は8度。

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  キャンバー角とは、例えば0度だとすれば、タイヤ＆ホイールが真っ直ぐ突っ立っている、ということです。

キャンバー角がほぼゼロ


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  これはまあ、目で見て分かりやすい。

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  対してトー角とは、ホイールが真っ直ぐ前方向を向いているかどうか、という角度なんです。



✔ ひとくちメモ

※ただし、バンパーやフェンダーの形状もすぼまっていたりするので、一般人が肉眼で見ても分かりにくい。

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  トー角が0なら、真っ直ぐ前を向いている。

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  そうです。真っ直ぐではなくて、内股ならトーイン、ガニ股ならトーアウトです。

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  そういえばトーイン、トーアウトというのも、よく聞く言葉ですねぇ。

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  そうですね。セッティングする時に、トーインにするとか、トーアウトにするとか、そういう言い方をしたりしますね。

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  トーインやトーアウトだと、ダメなのでは？

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  ダメというより、それぞれメリット＆デメリットがあるんです。

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  トーインとトーアウトの違いを、カンタンに言うとすると……

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  トーインだと直進安定性が良くなり、トーアウトだと曲がりやすくなる（ただし、これは状況による）。サーキットを走るような人は、意図的にトーアウトにセッティングしたりもします。

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  ほう。
  わざとガニ股にすることもあるのか。

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  ただ、そういうのは一般車がやることではないです。

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  ドレスアップカーを含めて、街乗り用途に限定した車に適したトー角は？

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  基本的には「0度」で、真っ直ぐ前を向けるのが、タイヤにとっても抵抗がなくて減りにくい。


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  フムフム。

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  あるいは、気持ちトーイン気味にするのがオススメです。ほんの少し。

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  ちょっと内股。
  それはなぜ？

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  少しだけトーインにしておくと、高速道路の運転もしやすくなりますので。

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  なるほど、なるほど。

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  まあ、そのへんはショップによっても意見が分かれるところだし、「中途半端な数字は嫌だから、0度にしたい」とお客さんに言われることもあります。もちろんそれでもOKです。

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  ちなみに今回のモデル車は、車高調を付けたままで測定したところ、トー角の数値はこうなっていました。



※数字は角度ではなく「ミリ」表示。

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  これは「2.2」ミリのほうがトーイン、「−0.8」ミリのほうが少しトーアウト気味ですね。

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  ようするにメチャクチャ、ということですね。

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  車高調やダウンサスを付けて車高を落としただけだと、このようにトー角が狂った状態になっています。

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  車高を落として、トー角が狂ったまま乗っているとどうなるかは、前回の佐藤研究員の体験談の通りです。いろいろな意味でひどい話でした。

  ※「アライメント調整とは？ 効果はあるの？」参照。

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  ……。

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  で、どうやって直すんですかコレ？

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  フロント・トー角の調整は、フロントのタイロッドで調節します。

コレがタイロッド


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  タイロッドとは、ようするにハンドルの操舵をフロントホイールに伝えている棒のことです。

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  この棒をどうしたらいい？

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  長さを調整できるようになっているので、レンチをかけて回すだけなんですけど……



撮影のためホイールを外しているが、実際は（当然ながら）タイヤ＆ホイールを付けた状態で行う。

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  へぇ〜。タイロッドを回すだけならDIYでもできそうな……クルクルって。

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  クルクルどころか、一回転もさせたらすんごいズレます。

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  ……え？

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  トー角の調整は、コンマ・ミリ単位のシビアな調整です。テキトウに回したら、それこそトー角がメチャクチャになりますよ。

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  な、なるほど。

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  いわゆるアライメントテスターを使っている場合は、画面の表示を見ながら、少しずつ回すんです。

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  そうやって、左右のトー角を揃えるんですね。


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  今回は、直進安定性も考えて、少しだけ（0.2ミリ）トーインにしました。

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  2ミリじゃなくて、0.2ミリ……。

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  そうですね。
  ほぼ真っ直ぐです。

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  アライメントテスターはスゴイなぁ〜。

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  例えば、目で見て分かるほどはっきりトーイン（内股）になっていた状態を、見た目に真っ直ぐに戻す……ということなら、DIYでもできるでしょうが……

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  それでは、意味ない？

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  いや、狂いが減りますから意味がないわけではないけれど、厳密に合わせるのは難しいでしょうね。

✔ ひとくちメモ

テスターを使わないアナログ方式のトー調整（サイドスリップ調整）という手もあるが、それにしても道具は必要になるし、手軽にできるものではない。やり方そのものは、「トー角の調整（サイドスリップ調整）はDIYでできるのか？」参照。

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  さーて！ この調子で、リアのトー角も直してもらいましょう〜。


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  しかしこの車は、足回りがトーションビーム式なので、リアのトー角は調整できないんですよ。

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  なんと！ また？
  (゜Д゜)

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  セダン系などが採用するマルチリンク式やダブルウィッシュボーン式の足回りだと、トーコントロールロッドでトー角の調整ができたりするんですが……

トーションビーム式は調整不可



1本のアクスルビームで左右輪をつなぐトーションビーム式。いわゆる「アクスル交換」というカスタムを生み出した足回り。

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  最近は、フロントがストラット式・リアがトーションビーム式のパターンの車が多いですが、この場合は、トー調整はフロントのみです。

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  アライメント調整って……「ズレていると分かりました。直せませんが」というのが多くないですか？ 測定サギに引っかかった気分っていうか。

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  ……アハハ。
  （そこまで言うか）

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  だって。

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  まあ、今回の車でいうと、フロントのトー角しか調整できないわけですから、気持ちは分かりますが……

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  だったらせめて、測定をフロントだけにして、測定料金を半額にしてくれればいいのに。

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  四輪アライメントという位なんで、測定は四輪トータルで見るものなんです。

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  調整できないと分かっているのに、リアを測定する意味なんてあるの？

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  ありますよ。

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  どういうことですか？

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  例えばリアのトー角が右寄り、あるいは左寄りになっているとしますよね。

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  でも、直せないんでしょ。

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  そういう場合は、リアのトー角を加味しつつ、フロントのトー角を決めて、トータルでは車が真っ直ぐ進むように調整する……ということもあるんです。

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  おお、なるほど。

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  だから、フロントしか調整できなくても、四輪で測定する意味はあるのです。