ホイールのJ数選びでやりがちな失敗と、その回避策
ホイールのJ数の決め方。雑誌やネットなどから情報を探して、自分と同じ車種の車が履いているJ数なら、入るはず! と思って失敗する例が多々ある。また「入る」基準も人それぞれな面がある。J数選びについて、今いちど考えてみよう。
「入る」と聞いたホイールのJ数が、「履いたら当たる」はよくある話
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ホイールのJ数(太さ)を決めるための、注意点について教わります。
●レポーター:イルミちゃん
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基本的にはまあ、あまり無理しないことが大切です。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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冒頭から、ずいぶん消極姿勢ですね。
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J数選びは無理しないのが、J-LINE流ですので。
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でも、当たらないギリギリの範囲で、できるだけ太いホイールを履かせたい! というのがユーザー心理だと思われますが?
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分かりますヨ。「リムができるだけ欲しい」とか「リアに10Jを入れたいんだ」とか、そういう話ですよね。
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そうそう。
そういう話ですよ。 -
しかしホイールは高いから、失敗が恐いのです。J数太めを選んで当たってしまった……という時「もうワンサイズ細いのを買い直せばいい」とはいかないじゃないですか。
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……何十万円もするのに、それは無理ですね。
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そもそもホイールメーカー推奨サイズから逸脱しているので、「当たったから返品」というのも無理ですよ。
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プロショップのホイールマッチングとは、そういうシビアな世界ですよね。
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ウチによくこういう電話がかかってきます。「入ると聞いたから履かせたけれど、当たってしまって……どうしたらいいでしょうか?」って。
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……それは、買ったお店に聞いてもらうしかないような。
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まあね。で、きいてみると、そもそも当たる可能性の高いサイズであることが少なくない。
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うーん。ギョウカイ的に皆さん、勝負し過ぎなのではないでしょうか?
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基本的には、太いホイールをギリギリで履くなら、リスクを取る必要があるということなので、お店側も困るところでしょうけどね。
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例えば、10Jは当たるかも知れませんよ、的なリスクですね。
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実際に当たってしまった場合、「フェンダーを切ったり削ったりするからいいよ」という感覚のオーナーなら、冒険するのも全然アリだとは思いますが……
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イベントに出るような車両だと、そういった話はよく聞きます。
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しかし、一般的な感覚として、例えば買ったばかりの新車で、いきなり車両側を切ったり削ったりしないと履けないというのは、抵抗がある人が多いでしょう。
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それはまあ、そうですよね。
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こういう感覚のズレから来るトラブルは、車業界ではしょっちゅう起こっている話なんです。
限界のJ数は、そもそもどこで決まるのか?
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プロショップのホイールマッチングは、ギリギリのJ数をねじ込む! みたいなイメージもありますが。
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ギリギリまで攻め込むやり方は、基本的にはJ-LINEではやらないんです。
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J-LINEは足回りで有名なプロショップなのに、J数では攻め込まない?
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車高も低くするなら、J数は無理しない。あとはツメを折りたくないから無理しない。それが理由です。
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フムフム。
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まず、車高の低さ重視なら、ホイールのJ数をがんばりすぎるとそこがネックになりやすい。
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下げられなくなる、と?
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ですね。足回りのセッティング時に、「ホイールがワンサイズ細ければ良かったのに!」というのは、実際のところよく起こる。ありがちな話です。
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ソレ、具体的にはどういう状況ですか?
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車高を落としていくと、「内側が当たる」といった問題ですね。
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ホイールの内側が、ショックにぶつかってしまうんですね。
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ショックだったり、タイヤハウスの奥のフレームだったり、そのへんは車種によっていろいろですけどね。
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でも、もし内側に当たったら、スペーサーで外側に逃がせばいいのでは?
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それができるのは、外側にも余裕がある場合だけですよね。例えばハミタイでもいいなら、何Jでも履けますよ、という話ですが……
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それもそうだ。
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そもそも、その車で履ける最大のJ数は、どううまくいったとしても、この幅(↓)です。
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タイヤハウスの幅を超えるJ数は、外に出さない限り履けないのです。
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これは分かりやすい話です。
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J-LINEの場合、ツメもできるだけ切りたくないので、さらにツメの分も差し引いて考えます。
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ここで、外に出し気味のホイールの履き方を、「履ける」と表現してしまうと、冒頭のようなトラブルの元なんですね。
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そうなんです。そのJ数を履いている車は存在しているけど、「正確に言えばタイヤハウスの幅には収まっていない」わけですからね。
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氏家研究員のその考えのもとで、「入るJ数を教えて」と言われたら……
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それはつまり、上のようなタイヤハウスの幅以下になる。車高によっては、もっと抑えないといけなくなります。
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そっか。単純に、定規で奥行きを測るだけではダメのようです。
内側の干渉ポイント例
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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