インチアップの疑問
インチアップした軽自動車の、引っ張りタイヤの空気圧に関する疑問(後編)
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インチアップした軽自動車の空気圧の疑問を、プロショップ・Jラインに聞く。インチアップ用の扁平タイヤと付き合うための「リスクの取り方のバランス」の話は興味深い。
インチアップ用の扁平タイヤは、空気圧が低いとセパレーションが心配だが…
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●レポーター:イルミちゃん
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Jラインが、軽自動車の扁平タイヤ(引っ張りタイヤ)の空気圧の目安を、2.5キロにしている理由については前回触れましたが……
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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2.5キロでは負荷能力が足りないのではないかという、DIYラボ読者であるチャーリーさんのツッコミに対しては?
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その負荷能力不足の件なんですが、チャーリーさんは具体的にはなにを心配しているのでしょう?
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それは……負荷能力が不足すれば、タイヤの強度も不足して、セパレーション(内部剥離)なども起こりやすくなるっていう理屈でしょう?
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そこなんですが、16インチの扁平タイヤで実際に2.5キロの空気圧を目安にしてきて「空気圧が2.5キロだったからセパレーションが起きた」と感じたことはないですね。
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……でも軽自動車のドレスアップカーでセパレーションが起こったことがない、という意味ではないですよね?
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もちろん、普通車ほどではないですが、軽自動車の扁平タイヤだってセパレーションを起こすことはあります。
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……ふむ。
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ただ、チャーリーさんが言うように、負荷能力的に足りる2.8キロの空気圧を入れた場合と比べて、そこからコンマ3キロ少ない空気圧だから、セパレーションが起こる確率がぐんと上がる……という話ではないと思うんですよ。
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そこまでセパレーションが頻発した経験はないってことね。
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セパレーションが起きやすい・起きにくい問題は、タイヤ銘柄による差のほうがよほど大きいです。経験で言うと。
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ほう……?
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「あのタイヤはすぐセパる」みたいな事象なら、軽自動車のインチアップの主流が、15インチだった時代からもありますので。
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このタイヤはハズレ……みたいな?
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そうですね。国産メーカーのしっかりしたタイヤでは少ないでしょうけど、輸入タイヤの品質はいろいろだし、バラツキもあるから。
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……そういうことか。
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つまり、同じ空気圧で使っていても、セパレーションを起こしやすいタイヤと、起こりにくいタイヤの差というのはあります。
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なるほど、なるほど。
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そういう経験もあって、2.5キロの空気圧でセパレーションが起こったら、タイヤがハズレだったというふうに考えてしまいますね。僕らの場合は。
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なるほど。
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そもそも軽自動車の車重で、2.5キロの空気圧を保っていて壊れるようなタイヤだとしたら、そんなタイヤは履かないほうがいいです。たぶん2.8キロでも起こると思う。
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もっと極端に、空気が減っているのを放置していたのなら話は別ですけどね。
軽自動車のインチアップでも2.5キロを下回る空気圧だと心配が…
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いっぽうで2.5キロを下回る空気圧になってくると、キャンバー角が付いた車の場合、段差でダーンっていったときに、ホイールの内側のリムをやっつけやすい。
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キャンバー角のせいで、内側のリムのほうが段差に先に接触してしまう。
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これは主には、普通車の20インチ履きなどで注意する話なんですが……しかし軽自動車でも、16インチの40扁平ぐらいになるとそれなりにタイヤも薄いので、空気圧が低いと段差は怖いです。
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ただ、チャーリーさんは16インチの45扁平だから、その話については少し余力がありますね。
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そうですね。16インチの45扁平なら、その心配まではいらないです。
最終的には、リスクの取り方のバランスの問題になる
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Jラインが「インチアップした軽自動車の扁平タイヤの空気圧を2.5キロにしている理由」について、いろいろと述べてもらいましたが……
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最初に言った通り、データ的な根拠はなにもないですけどね。
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足回り職人の経験則……ですね。チャーリーさんが納得するかどうかは分からないが……
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ただ、ドレスアップやカスタムっていうのは、数字をあまり気にしすぎると難しいですよ。
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ふむ。
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改造する時点でノーリスクは無理。インチアップしてキャンバー角を付けてとなると、当然デメリットは出てくる。
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まあ、それはそうですね。
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あるひとつの要素だけ純正同様にしたい……とかってなると、かえってリスクバランスの悪い車になってしまう可能性が高いと思うんですよ。
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あ~、それがまさに前回触れた「乗り心地」や「グリップ力」などの問題ですね。
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そうなんです。負荷能力だけ足りる状況になって、雨の日に滑りやすくなったら本末転倒ではないかと。
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そういう面は確かにある。
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だから、リスクの取り方のバランスを考える。ちょっとずついろいろなところでリスクを取って、ひとつのリスクが大きくなりすぎないようにバランスを取るというか……。
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なるほどね。ドレスアップカー・カスタムカーの真理かも!
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あとは最終的には好みの問題もあるので、自分で走りながら、ちょっと下げてみたり、また上げてみたり、試してみることをオススメします。
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チャーリーさんも現状の空気圧では、乗り心地が悪いと感じているようなので……
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乗り心地が悪いなら、少し下げたほうがいいと思います。
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それでタイヤが壊れても、氏家研究員が保証してくれるわけではありませんがね。
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2.5キロまで下げても、乗り心地や走りの面で、それほど変化は感じないなーっていうぐらいだったら、2.8キロまで戻したらいいと思うんですよ。
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あー、そういうことか。
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試してみての結論なら、2.8キロのほうが精神衛生上もいいだろうし。
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確かに。
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バネ交換して試すとかってなったらお金もかかってしまうけど、空気圧を試すのはお金はかからないんで。
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そうやって、自分なりのリスクバランスを見つける……ってことね。ドレスアップやカスタムの世界は、やっぱり深い!
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL
022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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