J-LINEリアアクスルの「普通車用」と「軽自動車用」の違い
軽自動車カスタムの世界では有名なJ-LINEリアアクスル。最近はアルファードやプリウスでもアクスルを交換する人が増えているが、「軽自動車用」と「普通車用」ではいくつか違いがある。軽自動車で愛用している人が普通車に付ける場合は、この違いに注意。
普通車用はボディ加工しないのが前提
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普通車用のリアアクスルは標準ダウン量が30ミリ。車種によって(例えば20アルファードなど)、40ミリダウンも設定しています。
●アドバイザー:Jライン 氏家研究員
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つまり40ミリダウンはオプションですね。でも軽自動車用アクスルでは、オーダーで50ミリダウンなどもありましたよね?
●レポーター:イルミちゃん
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しかしそれは「インナー切り上げ」などの加工をするのが前提になります。そういうノリは、普通車の場合はあまり現実味がない。
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普通車は、加工しにくいということですか?
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ですね。リアのインナー切り上げ加工をしようとすると、エアコンの配管とかがあったり、サードシートがタイヤの真上にあったりするので現実的じゃない。
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ああ、なるほど。
確かにサードシートの問題がありますね。 -
だから大がかりなボディ加工を必要とするようなダウン量は、やっていません。車高調によりますが、今の車高調はだいたいみんなよく下がるので、「追加ダウンは40ミリで十分」という考えです。
車高調+40ミリダウンで十分低い
ホイールの「出面」の考え方が違う
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軽自動車の場合、車種が違ってもボディサイズがほぼ同じ。なので最も低車高に有利なサイズだった、6.5J+35を基準にしていました。
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べつに、6.5J+35でなくても付けられましたよね?
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もちろん。ただ、「6.5J+35がちょうどいいツラウチ具合」になるように基準を置いていました。オーダーでインセット(ホイールの出面)を調整すれば別ですが。
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なるほど。
標準仕様はそういう考え方だったんですね。 -
例えばキャンバー角は3度を選んでも5度を選んでも、「6.5J+35がちょうどいいツラウチ」になるように作っていたんです。
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5度にしたら、奥に引っ込んでしまうわけではないと。
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そうです。ホイールのツラ(ウチ)は同じになるように、こちらで調整していたわけです。
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普通車はそれとは違う?
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普通車用の場合は、車種によってホイールマッチングも様々ですので、「あるホイールサイズを基準にする」という考え方では作っていません。
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では、ホイールの引っ込み具合はどうなんでしょう?
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標準仕様は変化ゼロ。つまり「純正アクスルと同じツラ具合」になります。※オーダーで数値は変更可能。
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今と同じツラ具合ってことか。それなら分かりやすいですね!
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ただしキャンバー角を付けた場合、「3度付けると15ミリ」「5度付けると25ミリ」「8度付けると35ミリ」、ホイールの頂点が付ける前より内側に入ります。
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キャンバー角を付ければ付けるほど、ツラも内側に入る。むしろ自然ですね。
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厳密には、ホイールのインチ数によって少し変わります。ホイールサイズが大きいほど、頂点が倒れ込みますからね。
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そっか。では「3度付けて15ミリ入る」というのは何インチが基準なんですか?
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20アルファードなら20インチでの計測です。コンパクトカーのヴィッツなら17インチで測定したりと、車種ごとに異なります。
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オーダーオフセットでツラ具合を調整することは、普通車でもできますか?
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できますよ。だいたいの車種でマイナス9ミリまで可能。3ミリ刻みで選べます。車種によっては3ミリまで、というのもありますけどね。
カブるほど低くするならツラウチ大前提
キャンバー角の設定に違いあり
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キャンバー角は標準仕様が3度。オプションで5度、8度が選べます。
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そこは軽自動車と同じ、ということ?
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違いとして、0度は普通車ではやってません。
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そういえば、0度というのがありましたね。
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軽自動車でも0度をやっていたのは、リンク式のワゴンRだけですけどね。
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なぜやめたんですか? 売れないから?
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普通車は、純正の状態で1度程度はキャンバー角が付いているからですよ。
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0度にしたら……純正より立ってしまう。
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そうなんです。
だからやってません。 -
標準仕様が3度なのは、軽自動車と同じなんですね。
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そうですね。売れ筋は5度というのも同じ。
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そうなんだー。
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純正で1度程度付いているわけですから、3度だと付けた感が少ない。それで5度を求める人が多いのです。
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5度の上を行く8度っていうのは、「プレミアエイト」のことですね。わかりやすいネーミング。
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そうです。プレミアエイトの普通車用ということ。しかしコレを選ぶ人は少ないです。
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ガッツリキャンバー角を付けるのは少数派?
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やはりタイヤの内減りなどを懸念する人が多い。特にアルファードとかは重量級なので、極端なキャンバー角はオススメしません。
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重量は、軽自動車と普通車の大きな違いですもんね〜。
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そうなんです。
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なるほど〜。軽自動車同様、いろいろ考えて作られているということがよく分かりました!
5度はちょうどいいバランス
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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