足まわりのQ&A
軽自動車のホイールサイズ選び。キャンバー角ゼロの限界は6Jか、6.5Jか!?
軽自動車のホイールサイズ選びをサポートする企画。「定番サイズ5.5J+45を履いたときの内側の隙間やツライチ具合は?」「キャンバー角ゼロでの限界サイズは6Jか6.5Jか」など、読者からの質問を元に検証する。
定番サイズ「5.5J+45」のホイールを履いたときの、内側の隙間に注目
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「軽自動車のホイールサイズ選び。5.5J、6J、6.5Jのどれが正解!?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は、実際にMH23ワゴンRにホイールを付けて検証してみましょう。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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MH23ワゴンRはキャンバー角なしで太いホイールを履くのは難しい、という話でしたが……
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その理由は、リムの内側がスイングアームにぶつかるからです。
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なお、今回の質問者の石川浩二さんのように、「できればキャンバー角を付けたくない」人は少なからずいると思われるので、あえてキャンバー角ゼロでの検証です。
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この状態でまず、世間的にも定番の「5.5J+45」を付けるとどうなるか。
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干渉するスイングアームは、どれかというと……このホイール裏側のアームです(↓)
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うげ。
5.5Jでもけっこう近くまで来るんだ。 -
なお、スイングアームは上下に幅がありますが、キャンバー角を付けたときには「上が先に当たる」ので、下だけ見ていればいいというものではありません。
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……な、なるほど。
ところで上側の隙間って、よく見えないんですけど。※スケールで測定するのは無理でした
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でもまあ、さすがに5.5J+45なら、内側はまだ余裕タップリですね。
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ちなみに今回の企画の質問者、石川さんのホイールサイズ選択肢は以下の3つなんですけど。
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キャンバー角ゼロでも、まだいけるってこと?
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「6J+45」ならいけそうですね。5.5J+45と6J+45を比べるとオフセットは同じですから、単純に0.5J太くなり、その半分の0.25J分だけ、内側と外側に伸びます。
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0.25Jぶんっていうのは、ミリ換算だと、約6.35ミリですね。
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だいたい6~7ミリと考えて、その位は内側に伸びてきても、まだスイングアームには当たりませんね。
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しかし……。
相当接近するとは思われますが。 -
スイングアームとホイールの位置関係は、走行中でもほとんど変わらないんです。
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ということは、どういうこと?
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走行中にアームが動いて当たる心配はほとんどなく、マージンはギリギリでもかわせるってことです。
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ホー。
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だからといって、1ミリまで寄せるのはダメですよ。タイヤの回転にも、多少のブレはありますし。
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じゃあ、何ミリまでならリムを寄せてもいいの?
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5ミリもあればぜんぜん問題ないですね。もう少し攻めたいなら、まあ3ミリだとしても大丈夫だと思います。
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そうなんだ。
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ただ、外側にも6~7ミリ伸びることになるので、低車高だと外側がタイヤに当たりやすくはなりますよ。
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……当然ながら、内側だけかわせばいいってもんではないですね。
✔ MH34も足回り事情は同じ。
✔ ここでは純正アクスルを使用。
✔ なお、ワゴンRは純正だとリアのキャンバー角はゼロだが、一般的なトーションビーム式のリアは、1度程度のキャンバー角が付いている車種が多い。
履こうとしているホイールのサイズ3択
16×5.5J (+43) | 16×6.0J (+45) | 16×6.5J (+45) |
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1J =25.4ミリ | 0.5J =12.7ミリ | 0.25J =6.35ミリ |
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5.5J+45のホイールを履いたときのツライチ具合は…
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5.5J+45を履いた状態で、内側のクリアランスは余裕タップリなのは分かりましたが、そのころ外側はどうなっているかと言うと……
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5.5J+45でも、けっこう外側に寄ってくるんですねー。
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ね。だから、MH23RワゴンやMH34ワゴンRは、ぜんぜん太いのが履けないんですよ。
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……なるほど。
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Jラインの実験車両をベースにした場合では、5.5J+45を履いた状態で、ツライチまで約1センチ程度といったところですが……
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石川さんの計算上は4ミリのはずだけど、このへんはまあ、車両個体差も出てくるか。
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このまま6J+45に履き替えたら、ここからさらに、6~7ミリ出てきます。
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お。
かなりいい感じのツライチになりそうですね♪ -
しかし、低車高にしたら当たります。Jラインが標準で3度のキャンバー角を付けるのは、そういう理由ですから。
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氏家研究員が言っている「低車高」とは、どのくらいの車高ですか?
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タイヤに(あるいはリムに)、フェンダーをカブせていくような車高です。
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でも、石川さんの希望車高は、「タイヤにカブらない程度。指1本入るか入らないか」なんですけど?
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それならばまあ、6J+45はいいところかも知れませんね。ただし、走行中にバウンドしたときに絶対当たらないとは言えませんけど。
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しかし、とりあえず6Jでもなんとかギリギリ収まることは収まるようです。
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ようするに6J+45あたりが、MH23ワゴンRがノーマルアクスルで履ける限界になると思われます。ただし、車高は落としすぎない前提で。
5.5J+45
キャンバー角ゼロで、6.5Jを履くとどうなるのか?
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ちなみにキャンバー角ゼロの状態で、6.5Jを履こうとするとどうなるのか。
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石川さんが挙げていた最後のサイズ、6.5J+45だと……
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今回撮影に使ったホイールには6.5J+45が無かったので、3ミリのスペーサーを付けて6.5J+48を入れてみました。つまりツラ具合としては6.5J+45なんですが……
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まず外側はハミ出ている状態に突入します。リムが完全に、フェンダーの外に出ていますね。
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あれ? でも付けられたってことは、内側はOKだったってこと?
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う~ん、撮影車両ではいちおう接触はしていなかったけど、NGなレベルですね。走行したら確実に当たります。
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6.5Jはどっちにしても内側干渉でNGなんだ。
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いや、問題が内側干渉だけならばオフセットを下げればいいんですが……
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というと?
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例えば、6.5J+35にするとか、6.5J+45に10ミリのワイドトレッドスペーサーを付けるとかすれば、内側のスイングアームはかわせるんですよ。
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そういうことか!
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ただね、6.5J+45でさえリムがハミ出ているわけだから、6.5J+35だとどうなるかと言うと……
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完全にハミ出るんですよ。
……このように。 -
もはやハミタイです。
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つまりオフセット調整では、6.5Jはどうにもならないのです。そもそもタイヤハウス内の幅が足りないので。
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キャンバー角ゼロで6.5Jは無謀、ということで。
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しかし、キャンバー角が少し付くと、履けるホイールサイズが大きく変わってくるわけです。
6.5J+45
✔ スイングアームをフロント方向から撮影。「当たる」と解釈したほうがよい状況。
6.5J+35
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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