足まわりのQ&A
軽自動車のホイールサイズ選び。6.5Jを履くための条件
軽自動車のホイールサイズ選びをサポートする企画の続き。そのままでは履けない太いサイズのホイールを履くためには、何をすればいいのか。見た目はあくまでも純正風にこだわりつつ、6.5Jが履ける条件を検証してみる。
見た目純正風で太いホイールサイズを履きたいなら、キャンバー角は3度
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「軽自動車のホイールサイズ選び。キャンバー角ゼロの限界は6Jか、6.5Jか!?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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MH23・MH34ワゴンRを例にすると、内側のスイングアーム干渉を避けられるオフセット(インセット)を選んだとしても、6.5Jはフェンダーからハミ出てしまいます。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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内側がギリギリの状態で、外側がハミ出てしまうんだから……これはもう、どうしたって履けません。
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ここから先は、「キャンバー角が必要になる」ということです。
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J-LINEリアアクスルキットの出番ってわけですね。
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J-LINEのアクスルには、3度・5度・8度の選択肢がありますが……
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そもそもこの企画の元になっている質問者:石川さんは、「キャンバー角は付けても1~2度」までだったんですよねぇ。……1度はないの?
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現状ではないんです。MH23ワゴンRの場合は、仮に「1度のキャンバー角」の選択肢があったところで、6.5Jなどの太いホイールサイズは無理でしょうね。
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6.5J、無理なんだ。
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フェンダーに収めたら、確実に内側がアームに当たりますので。
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ウーム。
だからこそ1度設定がない、とも言える。 -
「キャンバーをつけずに、太いホイールを履きたい」……これ、やりたいのは分かるんですよ。キャンバー角を付けると、タイヤが内減りするし、派手さも出てくるから。
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石川さんは、まさにそんなタイプです。
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でも、太いホイールサイズや引っ張りタイヤにこだわるなら、キャンバー角が必要になるってことなんです。
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事実上、そこはセットなんですねぇ。
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そういうタイプの人には、3度のキャンバー角がオススメです。
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ふむ。
オススメの理由は? -
3度って、見た目には純正風ですから。キャンバー角を求めるタイプの人には、「物足りない」と言われる角度なんですが……
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確かに。
見た目、純正風ですね。 -
5度や8度になるとタイヤの内減りもそれなりにしますが、3度のキャンバー角なら多少内減りする程度です。
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というわけで「控えめな3度のキャンバー角で、太いホイールを履く」をコンセプトに、検証してみましょう。
J-LINEのリアアクスルキット
キャンバー角 3度
MH34ワゴンRのリアに、3度のキャンバー角を付けた例。
✔ ただしキャンバー角が控えめでも、トー角が狂っていればタイヤは偏摩耗する。
✔ J-LINEのリアアクスルキットは、車高に合わせてトー角を選択できるので、偏摩耗は最小限。
3度のキャンバー角で6.5Jを入れるならオフセットは……?
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ではさっそく! 前回のキャンバー角ゼロでは収まらなかった、6.5J+45を……
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それは……入らないんですよ。
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へ?
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先に言っておくと、MH23ワゴンRやMH34ワゴンRは、キャンバー角3度だと、6.5J+35でもスイングアームに接触してしまう。6.5J+45なら、なおのことです。
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なにィ!?
アクスルを交換すれば、6.5Jはすんなり入るのかと…… -
MH23・MH34ワゴンRに関しては、6.5J+35を入れるためには5度のキャンバー角が必要になります。ここはちょっと、特殊例ですが。
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3度では、スイングアームの干渉から逃げきれないのか……
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つまり、履こうとしている候補で上がっていた6.5J+45をキャンバー角3度で入れようとすると、ワイドトレッドスペーサーを入れるしかないんです。
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そうなんだ。
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……ということは、本当はもっとオフセット(インセット)の低い、リムの深いホイールを履くことが可能ってことなんですが。
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ん?
そうなるのか。 -
例えばここでは、6.5J+23のホイールサイズを履かせてみました。
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そうすると、まず内側のスイングアームは問題なくかわせます。
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ホホウ。
そしてツライチ具合は…… -
おぉ。
いい感じのツラが出ました! -
車高をあまり低くしないのであれば、いいところではないでしょうか。
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J-LINEデモカーなどでは、ここまでツラを出すことはしませんよね?
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そうですね。ここまで出すと、フェンダーをカブせるような低車高では確実に干渉してしまいます。
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石川さんが望む車高、「タイヤにフェンダーがカブらない位」だとするとどうだろう……?
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それなら3度のキャンバー角で、6.5J+23という組み合わせは、スタイル的にアリと言えるのではないでしょうか。
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軽自動車で、ここまでリムを深くできるのがポイントですねー。
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6.5J+45に20ミリのワイドトレッドスペーサーを付けた状態(6.5J+25)も、ツラ具合としてはこれに近いってことです。
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なるほど。
……でも、その場合はリムは稼げないけど。 -
ただ、どちらにせよ、低車高とか、走行中に大きく沈み込むと干渉するレベル。ここまでツラを出すなら、干渉する手前で止めるようなセッティングが必要ですね。
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それってつまり、硬いバネを入れるってこと?
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それでもいいんですが、都合のいいバネを探すのも大変なので、バンプラバーで止める手などもあります。
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そういえば「バンプラバーの正しい切り方」は、前に教わりましたね。
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バンプラバーはつぶれるので、ギリギリで止めるのではなく、1センチ手前で止めるぐらいのイメージで。
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ふむふむ。
そういう手もあったか。 -
そこまでトータルで煮詰めるなら、MH23ワゴンRでも6.5J+23を履くことはできると思います。
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つくづく、足回りは深い……。
6.5J+35╱キャンバー角3度
✔ 下は僅かに空きがあるが、上側が先に接触してしまう、という状態。つまり履けない。
この点は、J-LINEリアアクスルキットの仕様上の問題。
低車高に有利なツラウチセッティングにするために、純正アクスルよりも長さを詰めてあり、5度のキャンバー角だと、6.5+35が理想的な位置にくる。
ただ、軽自動車用のアクスルは「3度でも5度でもツラ具合が同じになるように」オフセット調節されているため、3度のほうがホイール下側が奥に入り、結果的に同じ6.5J+35がスイングアームに干渉してしまう。
※(MH23・MH34ワゴンRの場合)
6.5J+23╱キャンバー角3度
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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