電源取り出しに関する疑問
配線を分岐させて電源を取り出し、そこにヒューズを入れる場合の注意点
配線から電源取り出しする場合は「ヒューズホルダーを後付けして管ヒューズをかませておくのが望ましい」とはいうものの、そこに入れるヒューズのアンペア(容量)がテキトウだと、わざわざヒューズを追加している意味がないかもしれない……というお話。
配線から電源取り出ししたらヒューズをかませるのは基本ではあるが…
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「ひとつのヒューズ電源からETCとドラレコ用の電源を取る配線方法」に続きまして、今日は私の疑問をぶつけてみたいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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どんな疑問でしょうか?
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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前回の話で、同じ回路上に同じ容量のヒューズが2つ直列に並ぶのは意味がないという話が出てきましたが……
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そうですね。
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ここでふと気になったのが、配線から電源取り出しする場合のヒューズについてです。
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ほほう?
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例えばヒューズからヒューズ電源を使って電源を取り出したら、管ヒューズが付いていますが……
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配線を分岐させて電源取り出しする場合は、管ヒューズがありません。
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ふむ。
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そのため配線からの分岐で電源を取ったらヒューズを入れる、っていうのは前に教わったことがあります。
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しかしこの場合は、仮にナビの電源線を分岐させているとしたら、大元には純正ヒューズがあるわけだから、二重に(直列に)ヒューズが入ることになりますよねぇ?
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確かにそうですね。この場面では、ヒューズの容量は気になるところです。
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容量?
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例えばナビ裏の配線から電源を取るとして、その純正配線の大元のヒューズが15アンペアだったとしましょう。
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フムフム。
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それなのに、その電源線を分岐させたところに15アンペアのヒューズを入れるのは、ちょっと気持ち悪いです。
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後付け電装品からみると、間に15アンペアヒューズが2つ直列で入っていることになりますね。
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そうなんです。15アンペアが2個直列になっているとして、その取り出し線をショートさせたとします。
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その場合は、純正と後付けのどっちのヒューズが飛ぶのか?
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容量が同じだとすると大元のヒューズから飛ぶ可能性もあります。
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ウッ。
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仮に純正より大きい容量のヒューズを後付けで入れていたとしたら……純正ヒューズが先に飛ぶことになります。
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だとすると、後付けでヒューズを入れている意味がありませんね?
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そうなんです。いっぽう後付けヒューズの容量が1アンペアとか5アンペアだったら先にそちらが飛んでくれるので、純正ヒューズが飛ばないようにするという意味はあります。
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つまり配線の途中にヒューズを追加する場合は容量(アンペア)を考えないと、入れた意味がないかもしれない。
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電装品を保護する意味でも、後付けする電装品の消費電流に対して、ひとつ上かふたつ上くらいのアンペア数のヒューズを選びましょう。
上のヒューズ電源を例にすると、取り出し線に付いている「5アンペアヒューズ」がショート対策、電気の取りすぎ対策になっている。
※基礎知識は「車から電源を取ったらヒューズをかませるのが鉄則」を参照。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL
079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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