タブレット車載ガイド(第3回)
タブレットやポータブルナビを車に取り付ける時にからむ保安基準「前方視界基準」とは?
タブレットやナビ(ポータブルナビ)を車に取り付ける際に注意するべき、新しい保安基準が「前方視界基準」。2018年11月からの施行だが、まだ知らない人も多い。iPadやタブレット・ポータブルナビやスマホナビ等を車に付けている人は必見。
保安基準の「前方視界基準」とはどんなルールか?
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「iPad・タブレットを車載(車に固定)したい! ホルダーの選び方は?」の続編です。
●レポーター:イルミちゃん
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iPadやタブレットを車に取り付ける上で、押さえておくべきは、まず保安基準で定められたルールですね。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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え? そんなルールがあるの?
タブレットルール? -
タブレット専用ルールではありません。スマホでも、ポータブルナビを設置する時でもからんでくる、「前方視界基準」というのが新たにできたんですよ。
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ムムム。
いつの間に。 -
すでに、2018年11月から施行されているルールなんですけどね。
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まだ新しめのルールなんですね。
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内容はようするに、「運転者から見える前方視界を確保しなさい」ということなんです。
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フムフム。
まあ、当たり前の話ですが。 -
前方視界を妨げる付け方をすると、違法だし車検にも通らない、ということですね。
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具体的には、いったいどういう基準なんでしょうか?
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「前方視界基準」とは、図にするとこういうルールです(↓)
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ふむふむ。車の直前2mのところにいる〈6歳児風の円柱〉が見えるように、ってことですね。
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もうひとつ、「直前直左視界」の基準もあります。
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え~っと、こういう説明だけだと、具体的に何が問題になるのかよく分かりませんが……
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この保安基準がからんでくるのは、主に「車のダッシュボード上になにかを設置する」ときです。
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あー。まさに、スマホやタブレットやポータブルナビってことですね。
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ハイ。
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それではタブレットの取り付けを例に、検証してみましょう。
「前方視界」のルール
自動車の直前2mにある、高さ1m×直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を、鏡等を用いず直接確認できること。 (左ハンドル車は左右逆に解釈)
「直前直左視界」のルール
自動車の前面および左側面に接する、高さ1m×直径0.3mの円柱を、直接または鏡・画像等により視認できること。(左ハンドル車は左右逆に解釈)
※詳細は国土交通省HPの、道路運送車両の保安基準の、第21条(運転者席)および第44条(後写鏡等)を参照。
車検にも通らない、タブレットやポータブルナビのNG取り付け例とは?
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運転者の目線から見たとき、後付けしたタブレットがダッシュボード奥の水平ラインより上に出てしまいますよね。
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あ! てことは、例の6歳児風の円柱にカブってくる……。
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そうなると、保安基準を満たせない、車検も通らない取り付けとなります。
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そういうことか。
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ようするに事実上は、運転者の視点で、ダッシュボード奥(前端)の水平ラインから上に出っ張る付け方は、NGになる可能性が高い(※)です。
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ダッシュボードの上に設置したらダメ、というルールではないけど……。
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そうですね。あくまでも運転者の目線を基準にしているので、奥行きのあるダッシュボードなら、手前のほうに設置する分には問題にならないわけですよ。
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なるほどね。
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あとは、タブレットやモニターの画面サイズによっても変わってきますしね。
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タブレットを縦向きに付けたらダメな場合も、横向きならクリアできるかも知れない?
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そういう回避パターンもあるでしょうね。
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あのー、ここで質問!
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ハイ、どうぞ。
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目線って、人それぞれ高さが違いますよね? 目の高さは、座高によっても変わりますし。
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そうですね。
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ダッシュボード水平ラインから出っ張ってしまう場合は、背筋をピーンと伸ばして、高い目線から見れば合法になるのでは?
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そんなのダメに決まってるじゃないですか。
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……やっぱりダメか。
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だからこそ、「運転者の視点はこの位置を基準にする」というポイント(※基準アイポイント)も、保安基準で定められているんです。
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自分の目線や、座高を基準にするわけではないようです。
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その視点で見たときに、ダッシュボードの水平ラインを超えて前方視界にカブってくる取り付け方だと、基本的にNGということになります。
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タブレットを仮付けしてみて、前方視界に下からカブってこないか、注意しましょう。
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この前方視界の基準は、今回のテーマであるタブレットやスマホに限った話ではなく、オンダッシュナビ、ポータブルナビの設置時にもからんできます。
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ポータブルナビこそ、思いっきりダッシュボードの上に付けますからねぇ。
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そうなんです。ダッシュボードの奥のほうに付けるほど、前方視界基準に抵触しやすくなるので、手前に取り付けるといった工夫が必要になります。
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ダッシュボードの奥行きがない車ほどシビアですね。
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ハイ。大型タブレットなどだと、エアコン吹き出し口への固定であったとしても、ダッシュボード形状によっては、保安基準不適合となるケースもあり得ます。
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この保安基準は、同じ前方側でも、上のほうに取り付けるドライブレコーダー等には関係ない話?
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そうですね。
関係ありません。 -
まあ、ドライブレコーダーも「フロントガラスへの設置ルール」という保安基準はからんでくるけど……
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今回施行された「前方視界基準」は、フロントガラスの話とはまた別、ということですね。
例えば、こういう風にタブレットが取り付けてあるとします
✔ ※ダッシュボード形状・ボンネット形状などによっても多少変わってくる。
縦がダメなら……
横にしてみる
基準アイポイントは、シーティングリファレンスポイント(人体模型をISOのルールに沿って着座させた位置)をベースにして決められている。
※ここで詳しく書いてもあまり意味がないので省略するが、詳しく知りたい人は、国土交通省HPの、道路運送車両の保安基準の、第21条・別添29を参照。
✔ ダッシュボード上に付けてはいないが、iPad Proのような大型タブレットを「ダッシュボードに奥行きがない車」に取り付けると、横向きでもシビアになるケースはある。
この点を踏まえ、ベストなタブレット取り付け位置を模索していきます
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000
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