>>> バネ交換ガイド(第4回)
バネ(スプリング)のIDってなに?╱バネ交換の基礎知識
バネ(スプリング)IDとはなにか。バネ交換をしたいとなったら、今付けている車高調のバネのID情報も必要になる。バネレートや自由長だけで、バネが自由に選べるわけではない。
今付けている車高調のバネのスペックを知っている?
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「バネの自由長を短くしつつバネレートを上げたら車高はどうなる?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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前回は自由長やバネレートの変更で、車高がどう変化するのか実験しました。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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なんとなく、選ぶべきバネが見えてきましたよ~。
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本当にそうでしょうか?
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あれ?
なんかヘンなこと言いました? -
今日は、もっと初歩的なことを解説しておきます。
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フムフム。
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例えば「今と同じバネレートで、20ミリ短いバネにしよう」と決めたとしますよね。
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それなら、20ミリ前後のダウンが期待できそうでしたね。
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しかし、そのためには、いま車高調に付いているバネが、何キロで何ミリなのか分かっていないといけません。
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……ん?
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前回の実験では、「バネレート5K・自由長170ミリのバネ」をスタート地点にして説明しましたが、実際に車高調に付いているバネは、メーカーやモデルによりけりです。
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ウッ。
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ということは、今付けている車高調のバネのスペックが分からないと、交換するバネのバネレートや自由長なんて選びようがないですよね。
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そりゃそーだ。
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意外とこの点を調べないままで、「どういうバネを入れたらいいでしょうか?」って相談してくる人が多いのですが、答えようがない質問です。
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……ですね。
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バネ交換を考えるときは、まず今付いているバネの仕様を調べます。分からなければ、まずはそこを車高調メーカーに聞いて教えてもらいましょう。
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ええっと、自由長とバネレートさえ分かっていればいいのでしょうか?
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いや、もうひとつ重要なのがバネのIDですね。
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なにソレ?
バネのIDとは?
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IDは、バネの内径のことです。
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外径じゃなくて、内径が重要なんですね?
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車高調のバネは、ロアシートに座っています。ロアシートは内側が出っ張っていて、そこにバネがハマるような構造のものがほとんどです。
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そのため、ID(内径)が合っていないと、のっからないんですね。
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ナルホド。
それで内径が問われるのか。 -
バネの座る場所の形状によっては、外径が問われることもありますが、車高調は基本的には内径です。
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IDが揃ってないと、バネ交換できないんだ。
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今付いているIDと同じか、ほんの数ミリ大きいなら入ることも多いです。でもIDが今より小さかったら、当然入らないですね。
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IDも車高調によってバラバラ、ということでしょうか?
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そうですね。車高調のバネのIDは65ミリとか70ミリとか、いろいろあります。
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フムフム。
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フロントは細いので60Φ、あるいは62Φとか65Φあたりが多いですが、問題はリアのバネのIDです。
リアバネは車種(構造)によってIDがバラバラ
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なぜリアが問題なの?
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フロントは、ストラット式がほとんどです。この場合は、ショックとバネを一体で開発できるから、車高調メーカー独自のバネの太さにできます。
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ところがリアは、ショックとバネが別体の構造だと、バネがのっかるスペースは純正のサスペンションアームだったりロアアームだったりするんですね。
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ということは車高調も、リアバネは車の作りに合わせてバネの太さを決めることになります。
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そうか。
車種ごとにIDがバラバラ……とか? -
そういうことですね。リアアジャスターは70Φあたりのロアシートを使っているのが定番ではありますが、全部の車種がそうではない。
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もっと太いのとかも?
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車種によってはID80、ID85、ID90というような、特殊サイズも出てきます。
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でも、そのIDを合わせて選べばいいんでしょう?
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しかし、そういうのは、バネメーカーの既製品ではなかなかなかったりもするんですよ。
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そういうことね。
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車高調の交換用のバネというのは、あくまでもレース用のものが主体だから、「ストラット式のバネを交換する」用途のものが多い。
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フムフム。
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だから、トーションビームのリアバネの交換とかって意外と難しいんですよ。上と下のIDが違うケースもあるし、車種によっていろいろなんです。
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まずは「交換可能なバネがあるのかないのか」調べるのが先ってことですね~。
フロント(ストラット式)の車高調
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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