電装DIYの知識
工具をほぼ使わない、配線接続&分岐コネクター「ポジタップ」とは?
配線の接続・分岐に使うコネクターの、隠れた名品「ポジタップ」を紹介しよう。配線の被覆剥き以外は工具不要。結線部は細巻き形状でシンプル。配線の太さの適合範囲もワイドレンジ。一度使うと、「ナゼ今まで知らなかったのか!」と思うかも。
ほぼ手作業だけで配線の接続ができる不思議なコネクター「ポジタップ」
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配線を接続するための端子やコネクターの話題。DIYラボでもたくさん紹介しておりますが、今日はちょっと変わりダネです。
●レポーター:イルミちゃん
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工具をほぼ使わないで配線の接続や分岐ができる、ポジタップを紹介したいと思います。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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“ほぼ使わない”というのは、少しは使うということでしょうか?
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そうですね。厳密に言うと、一番最初に配線の被覆を剥かないといけないので……
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この状態にするため、ワイヤーストリッパー(被覆剥き)のような工具が必要ですよね。でも工具を使うのは、ココだけなんです。
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被覆を剥いてあれば、あとは工具いらず?
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いらないです。この先は手作業だけで、配線を接続できますよ。
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ホホウ。
どうやるのでしょうか?
✔ ワイヤーストリッパーを使った被覆の剥き方は、「ワイヤーストリッパーの使い方と選び方。おすすめは?」参照。
ポジタップ(ロックタイプ)を使った配線の接続方法
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ここでポジタップのロックタイプ、というのを使って配線を接続してみます。
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これ(↓)がソレですね。
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ポジタップにも種類があるんですが、単に2本の配線をつなぎたいときには、このロックタイプを使います。
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フムフム。
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で、まずは配線の被覆を剥く。
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何ミリくらい剥けばいいんですか?
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剥く量は、5ミリ〜10ミリ位の間で……だいたいで大丈夫です。
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そんなアバウトでいいんですね。
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そしてポジタップ(ロックタイプ)の片方のキャップを手で回して外し、配線に通します。
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次に、寸胴の本体に差し込みます。
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ただ押し込めばいい。
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そうです。真ん中に金属の棒があるので、その横の隙間に銅線(芯線)を差し込みます。
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配線が出てこないように押さえつつ、キャップを締め込んでいきます。
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手でクルクル回すだけですね。
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キャップを締め終えたら、片方の配線の接続は終了です。
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あとは反対側にも同じように配線を差し込めば……
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これはカンタン!
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被覆を剥いた銅線が、中の金属の針と触れながら押し潰れるような感じで接触する仕組みです。
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ナルホド。
だからキャップを閉めるだけでいいんだ。 -
なお、最初に被覆を剥く量が短かすぎると抜けてしまうし、逆にあまりに長すぎると、中で押しつぶしても締め切れなくなるという問題がありますが、作業上で注意すべきはそれぐらいです。
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確かに、ほぼ工具不要でカンタンに配線が接続できる、よく出来た仕組みですね。
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配線の太さの適合範囲は、AWG18〜24(0.75〜0.2スケア)となっています。
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けっこうワイドレンジですね。細線でもいけるんだ。
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そうなんです。
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0.2スケアでも0.75スケアでもいけるというのは、かなり便利ですねぇ。
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さらに、純正配線の分岐(電源取り出し場面など)を行うタイプもありますよ。
ポジタップ(ロックタイプ)
キャップの片方を通す
配線の接続が完了!
ポジタップ(タップタイプ)を使った配線の分岐方法
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最初に紹介したポジタップは、正確に言うとポジタップ(ロックタイプ)と言いまして、配線の接続用なんですね。
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ロックタイプが接続用……フムフム。
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それとは別にポジタップ(タップタイプ)というのもありまして、こちらが分岐用なんです。
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タップタイプについては、太線用が別に分かれています。
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分岐用のポジタップも、被覆剥き以外は、工具不要なんでしょうか?
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違うのは、このあと。
純正配線などに割り込む場面です。 -
フムフム。
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分岐側のキャップ(黒またはグレー)を外して、分岐元となる配線にかませます。
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ここは、配線の被覆は剥かなくてよい?
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そうです。ただ配線を挟み込んで、キャップを戻すだけでいいんです。
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そうすると、寸胴の本体にキャップが締め込まれる過程で、内部の針が、分岐元の線に刺さるんです。
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針が自動的に刺さることで、内部の針を介して、分岐線とつながります。
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な〜るほど。
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針を刺す、という仕組み上、適合する配線コードの太さを間違えなければ、接触不良はまず起こりません。
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接触不良が起こるとしたら、どんなケースですか?
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配線が細すぎて真ん中に針が刺さっていない、というような場合だと接触不良が起こりますね。
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ふむ。0.5〜0.3スケアならグレーキャップ、0.75スケアなら黒キャップ……というルールが重要ですね。
ポジタップ(タップタイプ・グレー) AWG20〜22(0.5〜0.3スケア)の配線用。
ポジタップ(タップタイプ・黒) AWG18(0.75スケア)の配線用。
ハイ。分岐線を差し込むところまでは、ロックタイプと同じです
片方の配線を入れるところまでは同じ
配線が挟まっているので、キャップは完全に閉まらない状態でOK。
0.5〜0.3スケア(AWG20〜22)用
0.75スケア(AWG18)用
なお、ポジタップはAmazonなどでも売っている、汎用的な結線アイテムですよ〜
配線分岐にエレクトロタップを使うときは「選び方」に注意! これを間違うと「接触不良」が起こる。DIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000
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