電装DIYの知識
防水で配線を分岐(防水電源取り出し)するには?
一般的に配線の分岐に使われるエレクトロタップ(配線コネクター)は非防水。車外での使用は実はNGだが、以前は他に手段がなく、スモールの配線分岐などでまま見られたもの。しかし今では防水で分岐できるコネクターがいろいろ登場。防水電源取り出しが可能になった。
エレクトロタップは、防水ではない…!
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車外の配線を防水でつなぐときには、「防水ギボシ端子」や「防水カプラー」があるという話を前回しましたが……
●レポーター:イルミちゃん
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今日は単なる接続ではなく、「防水で配線を分岐する方法」についてお話したいと思います。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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車外の配線ということは……その分岐するポイントも、防水でなければいけない。
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そうなんです。一般的には配線コードの分岐には、エレクトロタップ(※エーモン製品名は「配線コネクター」)を使いますが……、
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普通のエレクトロタップは、防水ではありませんので。
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つまり、スモールランプの配線分岐とかにバンバン使っているのは、厳密に言うとNGな使い方になるんだ。
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実はそうなんです。以前は他に方法がなかった面もありますが、今は防水分岐に使えるコネクターもいろいろあるので、そちらを使うほうが良いですね。
具体的な使い方は「エレクトロタップの正しい使い方」参照。
1本の細線を、防水で2本に分けたいとき
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配線コードの分岐には「1本の配線の先を2本に分ける」場合と、「電源線の途中に割り込ませて分岐線を出す」場合がありますよね。
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フムフム。
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単純に「1本の延長コードの先に、2つのLED配線をつなげたい」というような場合に便利なのは、「防水ワンタッチコネクター(分岐用)」です。
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このアイテムは0.2スケアの細線専用なので、LEDの配線などに最適ですね。
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どうやって分岐するんですか、コレ?
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配線を3本差し込んで、丸い本体をプライヤーで圧着するだけです。
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上の例だと、青線がもともと電源線で、それを2本の赤線に分岐させた、という感じですね〜。
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これは、電源線を真ん中に入れるのがルールですか?
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いえ。どこでもいいです。ようは3本の配線が内部で導通する(つながる)ということなので、どういう配列でも関係ありません。
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3本をつなぐ=1本の電源を2本に分岐する、ということになるんですね。
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ハイ。
単純な仕組みのアイテムです。 -
パチっとつぶすだけ、という手軽さもいいですね〜。
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そうなんですよ。閉じるだけなんですが、内部に防湿用ジェルが入っていて、それがブチュっと密着して隙間を埋めることで、防水となる仕組みです。
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なるほど、なるほど。
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ただ、この「分岐用」を使う場合は、3本の配線コードの先端を差し込む必要があるので、「純正配線から電源を取り出す」というような場面では使えません。
エーモンの防水ワンタッチコネクター(分岐用)
細線から防水で電源取り出しする場合
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さて、次は、「電源線の途中から分岐させたい場合」です。
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つまりは、純正配線からの電源取り出しシーンですね。
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この用途で使える防水コネクターは2種類ありまして、まずは、0.2スケア相当の細線に対して使う場合はコレ。
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さきほど紹介した「分岐用」との違いは、配線の途中に割り込めるような構造になっているところです。
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これも、パチンと閉じるだけでいいのは同じ?
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ハイ。
プライヤーで圧着するだけです。 -
よくある使い方としては……スモールランプの配線から、LEDの電源を取る時などに便利そうですね〜。
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そうですね。ただし、防水ワンタッチコネクターはどれも0.2スケア相当の細線専用なので、もう少し太い線(0.5スケア)などが登場する場面では、使えません。
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ムムム。
太線が出てきたらどうするんですか? -
新型のコネクターがありますよ。
防水ワンタッチコネクター(割り込み分岐用)
横から割り込める形状の防水コネクター
新型の防水エレクトロタップを使う方法
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最後に紹介するのは、いわゆるエレクトロタップ(エーモン製品名は「配線コネクター」)の防水バージョンです。
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今の時代は、エレクトロタップにもちゃんと防水タイプがあるんですね〜。
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先に紹介した「防水ワンタッチコネクター・割り込み分岐用」と似たような用途ではありますが、両者の違いは対応する配線コードの太さ。
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防水エレクトロタップの場合は、0.6〜1スケアの電源線から取り出せます。
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分岐側の配線の太さは、0.1〜0.5スケアとなっているんですね。
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そうですね。それ以上の太さで純正配線から電源を取り出すことってほぼないので、電源側と分岐側で、対応コード幅を変えているのです。
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ほほー。
なるほど! -
というわけで、電源となる純正配線の太さに応じて、2つのアイテムを使い分けるのが正しい使い方ですね。
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配線コードの太さに合ったモノを選ばないと、防水にならない?
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それもそうですし、接触不良になる可能性があります。そのあたりは、普通のエレクトロタップなどと同じですね〜。
新型の防水エレクトロタップ
詳細はAmazonのエーモン 防水配線コネクター(3349)
配線分岐にエレクトロタップを使うときは「選び方」に注意! これを間違うと「接触不良」が起こる。DIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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