電装DIYの知識
リレーの仕組み。「有接点リレー」と「無接点リレー」の違い。どっちを使うべき?
リレーの仕組みは、言葉や文字で説明してもわかりにくいもの。そこでリレー内部の「接点」を見ながら理解。中身を見ると意外なほどシンプルな作りで、リレーの仕組みがバッチリわかる。
カチンと接点を切り替えるアナログ方式の有接点リレー
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車の電装で定番的に使われている「エーモンリレーの種類と選び方」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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エーモンリレーは全部で7種類ありますが、このうち前回紹介した6種類は「有接点リレー」でした。そして1種類だけ「無接点リレー」があります。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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有接点リレーとか無接点リレーとか、最初からイキナリ意味が分かりませんが……。
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有接点リレーとは、昔からあるアナログ方式で、物理的に接点が切り替わるタイプのリレーのことです。
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ムム。まだ何のことなのか、よく分からない……
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それでは、エーモン5極リレーを例に説明します。
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5極リレーをカンタンにおさらいすると、2つの電装品をつないでおいて、どちらに電気を流すかを切り替える自動スイッチです。
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上の図の通り、実際にリレー内部にはコイルとスイッチが入っているんですよ。
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これはエーモン5極リレーの内部です。
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おお〜!!
はじめて見た。 -
これが電磁コイルになっています。
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エーモンリレーの青→黒の線に電気が流れると、この電磁コイルに電気が流れて強力な磁力を発生させます。
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コイルって、思ったより大きいなァ。
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そうですね。その強力な磁力に引っ張られて、スイッチの接点が切り替わります。
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「カッチーン」と接点が切り替わる。自動スイッチです。
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この動きによって、電気を流すラインを切り替えているのが5極リレーですね。
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4極リレーも、仕組みは同じ。2つの接点を切り替えるのが5極リレーで、1つの接点に対して、オンオフを切り替えるのが4極リレーです。
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なるほど、なるほど。
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このように、実際に(物理的に)接点が存在していてカッチーンと切り替えているのが、つまり「有接点リレー」ということです。
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そういえばリレーって、カチっていう音がしますよね。
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それは、接点が切り替わった瞬間の音ですね。
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あれ……? ということは無接点リレーは接点がないの?
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そういうことです。
ないから、無接点と言うのです。
エーモンの5極リレー(3237)
きほん的な使い方は、「5極リレーの使い方 初心者向き解説」参照。
磁力がないとき
電磁コイルに磁力発生
チャタリングが起こるケースでは「無接点リレー」を使う
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無接点リレーとは、ようするにこういう機械的な動きはしないリレーです。
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エーモンリレー中では、ユニット用リレーだけが、唯一「無接点リレー」ということでしたね。
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中身は半導体です。トランジスタという、電子部品を使って制御しているんですよ。
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いかにもブラックボックスっぽい。
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で、エーモンとして無接点リレーを出したのには理由があります。
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どんな理由でしょうか?
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従来のアナログ方式の有接点リレーのデメリットは、チャタリングが起こることでした。
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チャタリングは、以前に教わりましたね。
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そうですね。例えば「バッ直で取った電気を、ルームランプ連動でLEDに流したい」とします。配線図的には、こんな感じ(↓)でいけそうなんですが……
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しかし、実際にこういうリレーの使い方をすると、チャタリングが起こります。
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その理由については、「リレーから〈ジー音〉がする、チャタリングの原因と対応」で詳しく解説済みです。
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ようするに今どきのルームランプには、じわ〜っと消灯(点灯)するパルス制御(※)が入っています。
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人間の目には、次第に暗くなっていくように見えますが、実際には「オンオフ」を高速に繰り返しています。
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点滅なんですね。
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となると、さっき見たリレーの接点切り替えを、超高速でガチャガチャやるような動きになってしまう。その結果、「ジー」という異音が出ます。
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なるほど。
つまりリレーは使用不可のケースだ。 -
ハイ。そしてパルス信号が含まれている線は、純正ルームランプに限りません。
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例えば?
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LEDの明るさをコントロールするための調光ユニットなども、同じ原理で動いています。
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ということは普通のエーモンリレー(有接点リレー)と、調光ユニットを組み合わせて使うと……
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やはりチャタリングが起こってしまいます。
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そんなケースで使うべきリレーが、ユニット用リレーということなんですね。
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そういうことですね。でも無接点リレーのほうが大容量タイプでも安いですから、ようは使い分けの問題です。
エーモンのユニット用リレー(1558)
✔ パルス制御とは
LEDを高速点滅させることで、減光していくように見せている。
リレーの使い方についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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