LED加工のプロに教わる「リレーの使い方」実践編
リレーの使い方の実践編。リレーがあれば、電装系の制御がかなり自由自在になるのだが、具体的にどんな風に使うのか。LED加工のプロが、リレーをどう使っているのかを聞いてみた。
LED加工やヘッドライト加工のプロは、どんなリレーの使い方をしているのか?
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車の電装系をいじる人にとって、あったほうがいいのが「リレーの知識」。
●レポーター:イルミちゃん
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リレーは重要なんですけど、リレーと聞くと引いてしまう人が多いですよね〜。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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LED加工やヘッドライト加工を専門とする球屋でも、リレーはよく使うんですよね?
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そうですね。リレーがあれば、制御に関してやりたいことは、だいたい何でもできますから。
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それではここで、プロのLED加工職人が、どんなリレーをどういう風に使っているのか……を紹介していきたいと思います。
予備解説
この記事は、リレーの使い方としては応用編。基本的なリレーの使い方は、「リレーの使い方入門╱回路のしくみ」が、おさらいに最適だ。
DIYユーザーにお馴染みのエーモンリレーを使って、初心者向けに解説している。
プロジェクター移植(増設)などでもリレーが活躍
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LED加工やヘッドライト加工の、どういう場面でリレーを使っているのでしょう?
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そこはけっこう、時代の流れと共に変化がありますね。
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……と言うと?
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光源がHIDだった時代と違って、最近の光源は、ほぼLEDのみですよね。
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確かに。
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だから、あまり大容量のアンペアに対応するリレーは必要なくなってきています。
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そういえばリレーにも、アンペア数(容量)というものがありますね。
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そうなんです。しかし、30アンペアや40アンペアなどの大容量に対応するリレーは、僕らの仕事ではほぼ使わなくなりました。
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ちなみにHIDの時代のリレーの使い方は、どういう使い方だったんでしょう?
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ヘッドライト加工で例を挙げると、プロジェクターを移植して、ロービームを4灯化するときなどは、絶対にリレーが必要ですね。
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上のは60ハリアー後期の純正ですが、プロジェクターが並ぶのが今風のヘッドライトです。
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だから、ロービームプロジェクターを増やす……という移植もよく行いましたね。
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球屋の得意メニューのひとつ。
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しかし、後付けで増設(追加)したプロジェクターに電気を流すためにはリレーが必要なんですよ。
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ホホウ。
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もともと付いている純正プロジェクター(ロービーム)の電源を、単純に分岐させて、新しいほうにも流す、という配線方法ではダメなのです。
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それはなぜ?
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出力制限があるからです。出力に限界があるから、単純に線を分岐させるやり方ではうまく動作しません。
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……ふむ。コンピューターで、そういう制御もしているんだ。
ロービーム4灯化に必要となるリレーの使い方
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というわけで、増設したプロジェクター用の電源は、別の場所から常時電源を取っておきます。
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フムフム。
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そして「純正ロービームがオンになった段階で、増設ロービームに常時電源を流す」回路をリレーで組む。
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そういう場面で使う、リレーの種類というのは……
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いわゆる4極リレー(※a接点リレー)ですね。
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配線付きの4極リレーは、コイルに電気を流すための2本と、間にスイッチの入っている2本の、合計4本の線が出ています。
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プロジェクター増設のケースでいうと、こんな(↓)回路をリレーで組みます。
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純正ロービームから分岐させた線は、電源としてではなく、あくまでもリレーを動かすための信号線として使っているのみです。
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実際に増設プロジェクターを光らせるわけではないから、僅かな電気しか必要ないんですね。
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ハイ。それを信号(合図)として、メインの常時電源を増設プロジェクターに流します。
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こうすると、ロービームの出力限界があったとしても、ロービームを増設できるんですね。
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ナルホド、ナルホド。
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ただし、この場合は、光源がHIDなら、大容量のリレーが必要となります。
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大容量タイプの4極リレー(a接点リレー)が必要ってことですね。
4極リレーの構造
配線の色はリレーによって異なる。上はエーモンの4極リレーの例。
配線の色使いは、リレーにより異なる。
4極リレーの出番は減ったが、5極リレーは今でも大活躍している
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ようするに、電力不足を補いたい、という目的で使うのが4極リレーです。
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フムフム。
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「なにかがオンになったタイミングに連動させて、別のなにかに電源を流す」回路を作りたいときが、4極リレーの出番。
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対象物は変わっても、回路の組み方は、さっきのプロジェクター移植の配線例と同じパターンですね。
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そうですね。球屋での4極リレーの使い方は、全部そのパターンです。
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しかし、最近はあまり使わなくなった?
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電源を補う用途で4極リレーを使っていたので、光源がLEDになったことで、それが必要になる場面はすっかり減りましたね。
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LEDが低消費電力だから……か。
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ハイ。単純に電源を分岐させたりすれば、それで済むケースがほとんどです。
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じゃあ、今さらリレーの使い方を覚えても、ヘッドライトメイクでは意味がないってこと?
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いやいや、4極リレーは使わなくなりましたが、いっぽうで、今でもよく使っているのが5極リレー(※c接点リレー)です。
リレーの使い方についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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