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車高調の「冬」対策。車高を上げるだけではNG
車高調の足まわりに交換している人の冬対策。すぐに思い当たるのは、エンカル(融雪剤)の影響。成分の塩が付着して、錆びるのでは? という心配だ。そして冬場に車高を上げて乗る場合の注意点もあるので、一読をオススメ。
冬は融雪剤の影響で車高調が錆びやすくなる!?
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今日のテーマは、車高調を付けた車の冬対策。
●レポーター:イルミちゃん
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すっかり寒くなったなァ。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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「冬に車高調を付けたまま乗っていると、融雪剤の影響で錆びる」なんていう意見もありますが……。
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うーん。しかし、よほど積雪があるエリアを別にすれば、冬が来るから足回りを車高調からノーマルに戻す、という人はあまりいないと思うんですけど。
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スパイス(千葉県)のお客さんは、みなさん車高調を付けたまま冬を越すんですよね。
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一度車高調を付けたら、基本的には付けたままです。この辺は、スタッドレスタイヤの装着率は半々ぐらいですが、足回りをわざわざ交換する人はいないに等しいです。
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やっぱりそうですよね
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それに、冬が来るたびに車高調からノーマルに足回りを戻していたら、(DIYの人は別ですが)工賃的にも現実的じゃないと思われます。
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スパイスの場合の足まわり交換工賃を、参考までに載せておくと……
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車種によりますが、軽自動車で2万円(税別)〜ですね。
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つまり、冬が来たから足回りをノーマルに戻す、なんてやっていたら、春にも同じ費用がかかってしまう。
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ですよね。だから車高調のままで、必要に応じて車高を上げる、というのが現実的だと思います。
車高調の固着や錆びを防止するため、事前にメンテナンスをしておく
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「冬の間に車高調がダメになる」などと心配されるのは、ようするに固着や錆びのことだと思うんですよね。
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確かに冬は、融雪剤として使われるエンカル(塩化カルシウム)などの影響を受けるので、固着や錆びを防ぐために事前にメンテナンスをしておきましょう。
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具体的にはなにを?
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一度はロックシートを動かしておきたいんですが、その前に、シートを動かしたときに砂を噛まないようにネジ部の掃除が先ですね。
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ロックシートをスライドさせ、もともとの位置付近にも、潤滑剤を吹き付けて掃除しておきます。位置を戻してから仕上げに潤滑剤を吹いて、浸透させておきましょう。
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錆止め効果もある潤滑剤を吹いておけば、ネジ部の錆びなども防止できますよね。
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ただ、これをやる際に要注意! 後でしっかりロックシートを締め直しておかないと、マズイですよ。
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ロックシートのユルミによるコトコト音は、超定番という話でしたね〜。
ワイヤーブラシ等でゴシゴシ
ロックシートを一回ゆるめて……
車高を上げる=アライメントは狂う
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次に、「冬に車高を上げる車」向けの注意点があります。
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雪が積もるエリアの人は、当然上げますよね。
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しかし車高を上げるからには、アライメントが狂います。
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あー、そういえばそうでした。
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けっこうトー角がズレるので、その点は無視できません。
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ええっと、車高を上げたらトーインになるの? トーアウトになるの?
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トー角がどう変化するかは、車の構造によります。例えばタイロッドがタイヤの後ろ側に付いている車だと、車高を上げることでトーアウトになります。
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どっちのパターンにしろ、車高を下げたときの変化と逆なんですね。
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そうですね。で、現状のアライメントは、当然ながら落とした状態で合わせてあるはず。
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当然そうですね。
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そこから車高を上げたら、トーアウトにしろトーインにしろ、トー角が狂っている。そんな状態なので、タイヤの減りは極端に早くなります。
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しかもスタッドレスタイヤでって……消しゴム状態?
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そうなんです。そしてもっと深刻な問題は、トー角が狂った状態で雪道とか氷上を走るのは危険だということです。
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ムムム。
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トーが狂った状態で氷の上に乗ると、一気に持って行かれたりするので危ないんですよ。
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スタッドレスだから大丈夫、と思っていたら……。
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タイヤの性能は、タイヤがしっかり設置していてはじめて出せる。スタッドレスタイヤに交換して、車高を上げてアライメントが狂ったままなのは、実は危険な状態です。
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それって、車高の上げ幅に比例する話ですよね?
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ですね。普段は車高が低めで、スキーやスノボに行くために冬はいっぱいまで上げるとか、一番アライメントが狂うパターンです。
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雪とか氷とか、冬の道路事情を考えたら、要注意ですね。
低さ重視の車高調は、思うほど上げられないケースもある
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ところで、冬の間に、車高調で車高を上げた状態で乗り続けることにはデメリットはないのでしょうか?
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今どきの車高調は全長調整式で、上げるときも全長調整で上げますから、特に問題はありません。
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ストロークが変化するわけではないから基本的には乗り心地も変わらない。
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そうですね。ただし、最近は、車高がよく落ちるタイプの車高調が主流になっているため、「上げてもあまり上がらない」という問題に直面することはあります。
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下げ方向ばかり、重視されていますので。
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ショックがヘタっていると、マックスまで上げても、リアの車高が最低地上高9センチを確保できない、なんていうケースもある位ですから。
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ノーマル車高に戻せないどころの話ではない。
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雪国で車高を上げる人は、そもそもそういう車高調はツライでしょうね。そのときは、足まわりを交換しないと現実的でないかも。
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冬に車高を上げる場合は、車高調選びの段階で「上げ幅」にも注意しておく必要がありそうです。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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