ドレスアップの気になる話題
LEDとHIDの明るさ比較! 実際に検証してみた結果
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LEDヘッドライトバルブに注目が集まる中、「LEDとHIDは、どっちが明るいのか!?」を気にしている人が多いようです。
●レポーター:イルミちゃん
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確かに「どっちが明るいの?」という質問は、IPFにもよく寄せられています。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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その質問には、どう答えているんですか?
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「ルーメン値でいうとHIDのほうが高く、HIDのほうが明るいです」と答えています。
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ルーメン値でいうとどの位、差があるのでしょう?
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IPFのHIDコンバージョンキットで6400ルーメン。対してH4のLEDヘッドライトバルブが4200ルーメン(共にハイビーム時の明るさ)です。
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それは両側分の表記ですね?
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はい。片側だとHIDが3200ルーメン、LEDが2100ルーメンです。(※ロービーム時の明るさは共にそれより下がる)
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単純な数値比較だと、HIDのほうが1.5倍位明るいことになりますね。
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とはいえ実際の路面の見やすさでは、ルーメン通りの差が出るわけではありませんが。
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そのへんがユーザーとしては、しっくり来ない(苦笑)。……と、言うわけで実際に検証! いきなり結果からいきます。
撮影条件はまったく同じ。これがリアルな真実!
純正ハロゲンバルブ(エンジン停止時)
純正ハロゲンバルブ(エンジン始動時)
※ハロゲンバルブは特性としてエンジンオン時オフ時の電圧差でかなり明るさが変化する。公平を期するため両方とも掲載した。ハロゲン以外は全てエンジンオフ時での照射だ。
IPF H4 LEDヘッドライトバルブ 6500K
IPF HIDコンバージョンキット 6000K
HIDは明るいが配光が崩れやすい!?
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というわけで、確かに「一番明るいのはHID」だったんですが……これ、意外とLEDが検討しているようにも見えますね。
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明るさの順で言うとハロゲン⇒LED⇒HIDとなるわけですが、LEDは真ん中というより、HID寄りのところにはいますよね。
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それと、気になったのがカットライン。私の目にはLEDのほうが断然キレイに見えるんですが?
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確かに。HIDバルブは純正に比べて光量が約3倍もアップしているため、いくら光源位置を煮詰めているとはいっても、ハロゲンでは出てこない上方散乱光なども出てしまうんです。
LEDヘッドライト
HIDヘッドライト
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上方散乱光というのは、カットラインより上の余計な光のことですね。
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そうなんですが、カットラインより上の光は全て無いほうがいい、というわけではありません。「ゾーンスリー」と呼ばれるエリアは、標識などを照らすために一定量出さないといけない決まりがあります。
カットラインの上に注目
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とはいえ、HIDでは光が出すぎなのは確かです。そのためカットラインもモヤモヤっとして、にじんでしまう。
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ちなみに配光性能の高さに定評のあるIPF製でもそうなんですから、「配光性能の低いバルブ」だとカットラインはもっと崩れるわけで……、
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マルチリフレクターライトの場合は、「HIDを入れるとカットラインが崩れてロービーム測定で落ちる」という問題が頻発したのは、それが原因なわけですね。
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以前「HIDヘッドライトがロービーム車検で落ちる理由」で報じた問題がまさにこれだと。
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そうなんです。
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そこいくとLEDヘッドライトのカットラインって、見事なまでにキレイですね〜。
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光を当てる部分と当てない部分の明暗差が明確なので、パキっとしたカットラインが出ていますよね。
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これは…LEDの光量が、HIDほど強すぎないのが逆にメリットになっている?
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ですね。現状のLEDぐらいのルーメン値のほうが、設計する側からすると配光をコントロールしやすいんですよ。
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一番明るいスポットだけ見るとHIDが明るいですけど、LEDのほうが配光はワイドですよね〜。
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配光性能は最新のLEDヘッドライトバルブのほうが進化していますね。左右方向が広いので実際に運転すると明るく感じやすく、走りやすい。
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なるほどぉ。単に強い光が出ているほうが走りやすい、とは言えなくなってきてますね。
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次に、色の違いにも注目してみましょう。
純白を求めるならLEDの光に軍配が上がる
ケルビン数は、LEDが6500K、HIDが6000Kでの比較ですよ。※IPFのHIDは6000Kの次は6850K
LED 6500K
HID 6000K
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ケルビン数でいうとLEDのほうが高めなので、より青白い光になるかと思ったら…実際に目で見ると違いますね?
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このへんはLEDとHIDの波長の違いからくる差です。LEDのほうが実際の色温度より低く見えて、純白光になっていますよね。
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HIDは赤紫色が混ざった感じ。対してLEDは白さが際立っています。
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LEDは赤い波長成分が少ないので、スッキリとした純白に近い色が出るんです。
明るさを維持する能力もLEDが上
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というわけで照射比較をしてきたわけですが、最後に「新品同士の比較」では分からない違いについても触れておきます。
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というと?
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まず寿命。HIDが2000時間なのに対して、LEDは5000時間と大幅に長くなっています。 (※IPF製品の例)
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そんなに違うんだ!
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それとHIDよりLEDのほうが「光束維持率」が高い。
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こうそくいじりつ? なんですかソレ?
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ハロゲンでもHIDでもLEDでも長く使っているうちに明るさが落ちてくるんですが、その落ち込みはLEDは比較的少ない。
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ということはHIDとLEDの明るさの差は、使っているうちに少し縮まる?
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そういうことになります。
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結論は…現状の明るさではHIDに譲っても、トータルバランスではLEDのほうが優れていると言えそうですね。単に明るさだけでは選べないと実感した実験結果でした!
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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