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LEDヘッドライトの「ファンレス VS ファン付き」明るさ比較
LEDヘッドライトバルブの「ファンレス VS ファン付き」。冷却ファンの機構を持たないファンレスバルブは、パワー減が避けられない。つまり暗くなるはずであるが、話はそう単純ではないもよう。実際に照射しての明るさ感、およびカンデラ値を比較した。
普通に考えたらファンレスはパワーを下げる=暗くなるはず?
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前回は、IPFの新型「ファンレスLEDヘッドライトバルブ」について詳しく解説(※)しました。
※「ファンレスLEDヘッドライトを買う前に、知っておくべき話」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、LEDヘッドライトの「ファンレス」と「ファン付き」を、実際に比較してみましょう。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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いろいろ放熱面の新技術を入れても、ファン付きと同じパワーで作れるわけではない、という話でしたね。
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そうですね。LEDチップの部分を比較してもらうと分かるんですが、ファンレスでは、ロービーム・ハイビームそれぞれで、チップの数もひとつ減らしています。
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チップは片側で4チップだったのが、片側3チップになっている。
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ファンがないことで放熱性は下がるので、これによって消費電力を抑えています。
※ただ、1個あたりにかかっている電流量はむしろ増えているので単純に個数なりに下がっているわけではない。
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つまり、普通に考えて、同じ会社の設計したバルブ同士の比較なら、「ファンレスのほうがファン付きより暗い」と考えてまず間違いはなさそうなものですが……
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もちろんトータルでのパワーを絞っているのは事実なので、数字の上で劣る面は出てきます。しかし、それと「路面の明るさ感は別」ということです。
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どういうことか、見てみましょう!
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従来のファン付きのLEDヘッドライトバルブのほうは、路面の明るさだけではなく、実はワイド配光というものにこだわって作っているんですよ。
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なるほど。路面の明るさではなく、左側の壁の明るさとか、右側の脇道の見え方には差がありますね〜。
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そうなんです。ファンレス化するにあたって、そこはさすがに諦めました。普通の配光に戻したカンジです。
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ちなみに!
純正だとこんなカンジ(↓)です。 -
ファンレスの配光は、純正に近いわけか〜。
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そうなんです。ファンレスのほうは、運転するにあたって重要な場所に光を集中させています。
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路面の明るさ感で見ると、ほとんど変わらないってそういうことね。
まずはファン付きLEDヘッドライトバルブの路面照射
続いてファンレスLEDヘッドライトバルブの路面照射
純正ハロゲンバルブの路面照射
車検時の測定ポイントで明るさを比較してみた結果
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次は、車検時にも使われるヘッドライトテスターで測定比較してみます。
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というわけで、車検時の測光ポイントで見ると?
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ファンレスで257ヘクトカンデラ=25700カンデラと出ました〜!
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ちなみに車検は6400カンデラ以上あれば合格するので、その点はどちらもまったく問題ないです。
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次に従来からあるファン付きに交換して、測定してみます。
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同じ条件下で、28400カンデラと出ました。僅かにはファン付きが勝ってはいますが、ほぼ遜色はないレベル。
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ファンレスにして消費電力が下がっている。だからルーメン値が下がるのは避けられないけれど……、
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カンデラ(路面の明るさ)だと、そんなに差は出ないようにしたんです。
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つまり必要な場所の明るさは下がらないように配光でコントロールした、というわけですね。
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そうなんです。配光でコントロールしない(できない)としたら、電流値が減ったなりに、もっと暗くなってしまいます。
✔ ひとくちメモ
LEDヘッドライトバルブのカンデラ測定は、測光ポイント次第でどうにでも変わってしまう(※つまり、数値を大きく見せるだけなら測り方次第で簡単にできる)。 そのため、カットラインを元にテスターが自動で測りに行く、車検時の測光ポイントで比較している。車検時の測定ポイントはココ!
※「照明部中心の高さが1m以下」の車の場合(ほとんどの車は1m以下)
ファンレスLEDヘッドライトのカンデラ測定
ファン付きLEDヘッドライトのカンデラ測定
ルーメン=バルブが出す光の総量
けっきょくファンレスとファン付きはどっちが買いなの?
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ここまでLEDヘッドライトバルブのファン付き、ファンレスを比較してきました。さて、どっちを買うのがいいのか?
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IPFが今回ファンレスを作った最大の理由は、「ファン付きが付かない車種に付けるため」です。
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フムフム。
対応車種が増えたって話でしたよね。 -
逆にいうと、もともと「ファン付きが付けられる車種」であれば、ファン付きのほうがオススメという点に変わりはないです。
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それは、ファン付きのほうがワイド配光だから……か。
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そうなんです。歩道側とか側溝側を明るく照らすと、思いの外、走りやすいという利点がある。このワイド配光は、特に仕事として運転されている方からも好評なんです。
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つまり、IPFとして純正+αの理想の配光が作れているのはファン付きの「341HLB」だってことなんです。
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な〜るほど。
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それと、ドライバーユニットが一体化しているファン付きのほうが、取り付けも簡単です。
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ファンレスのほうはドライバーユニットが別体なので、この箱をどこに固定しようかな? という悩みが発生しますので。
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確かに一体型なら、単なるバルブ交換作業だけでヘッドライトのLED化が可能ですね。
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まあ、そんなに大きな差ではないですが。
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次回は、ドライバーユニットの固定方法も含めて、ファンレスLEDヘッドライトの取り付け方法を解説します。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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