ハイビームをLED化・HID化しても車検に通るの?
ハイビームに社外品のLEDバルブ(またはHIDバルブ)を付けた場合、車検には通るのか? という疑問をIPFで取材。車検時のヘッドライトの測定方法が、ハイビーム測定からロービーム測定に切り替わったとは言え、ハイビームにはハイビームの規定がある。
ハイビームの明るさの規定とは
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世間はロービーム測定(※)で大騒ぎしていますが、このスキにハイビームにLED(またはHID)を入れて、車検は大丈夫でしょうか?
※「ヘッドライトのLED化は配光性能が問われる時代へ」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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いや、べつに、隙うんぬんではなく……
ハイビームは、もともと通るものがほとんどなはずです。●アドバイザー:IPF 市川研究員
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あれ?
なんだかロービームより、ハードルは低そうですね。 -
白色範囲に収まっていれば。
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色については、ロービームの話といっしょですね。「車検に通るヘッドライトの条件╱ケルビン数の目安」でレポートしました。
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車検がロービーム測定に切り替わり、ロービーム側はカットライン(配光)も問われますが、ハイビームはカットラインも関係ないので、それも心配ないです。
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そっかー。ハイビームはそもそも、カットラインがないんですね。
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ハイビームにも光軸に関しての規定はありますが、HIDであれば光軸が純正から大きくズレることはないし、LEDだとしても相当配光が狂ったものでなければ、ハイビーム測定は通ると思います。
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では、もしロービーム測定と言いつつハイビームで測定されたとしても、あまり心配はないってことですね?
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そうですね。ハイビームの場合は、明るさの測定範囲が広いんですよ。ロービーム測定はピンポイントでシビアですけど、ハイビームは違うんです。
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おさらいですが、ロービームの場合は、エルボー点の左23センチ、下11センチの測定点で6400カンデラ以上となってましたよね(※前照灯中心の高さが1メートル以下の場合)
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ハイビームの場合は、明るさの規定は1灯につき15000カンデラ以上(※4灯式の場合は1万2000カンデラ以上)になっています。ただ測定範囲が広く取られていて、その範囲の中のどこでもいいから1万5000カンデラあればOK、というノリなんですね。
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なるほど。
ロービーム測定に比べると、ザックリなわけだ。 -
そうなんですよ。
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でも、測光エリアが広くても、明るさが足りなくて落ちるという可能性はあるんでしょう?
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それはそうですが、法規上で「ロービームで6400カンデラ以上、ハイビームで1万5000カンデラ以上」と言っているのは、ハロゲンも含めての明るさの規定です。
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そりゃそうですね。
純正ハロゲン車はまだまだいますし。 -
しかしHIDは光量でいうとハロゲンの3倍程度あります。10メーター先で1万5000カンデラ以上というこの数値は、HIDではぜんぜん余裕なのです。
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考えてみればそうですね。HIDや最新型のLEDバルブなら、ハロゲンに明るさで劣ることはないですもんね。
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そういうことです。
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よっぽど暗いLEDバルブの場合だと?
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それは……NGの可能性はありますけどね。
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つまり結論としてはHIDや今どきのLEDヘッドライトバルブなら、まず心配はなさそうということですね。
ハイビームの光はこんな感じ。カットラインは関係ない
最新LEDバルブならハロゲンより明るさは出ている
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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