40系アルファード・ヴェルファイアにもたくさん使われているアルミ配線に注意
新型車では「アルミ配線」の採用が増えている。ここでは40系アルファード・ヴェルファイアを例に、アルミ配線の見分け方と、出くわしたときの注意点をおさらい。
薄ムラサキベースの配線色は、アルミ配線
-
以前にも紹介したことがあるアルミ線(アルミ配線)についてのおさらいです。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
-
アルミ配線っていうのは、導線にアルミを使っている配線でしたね。
●レポーター:イルミちゃん
-
確か、ハンダがくっつかないとかいう……
-
そうなんですよ。最近、電装品開発のために40系アルファード・ヴェルファイアをバラしていて、改めて増えてきたなと思いました。
-
ほほう。
-
そもそも40系アルファード・ヴェルファイアは、いろいろな電装品が付いている車です。
-
あー。現在最強クラスでしょうね。
-
というわけで、とにかく配線が多い。例えばこれはAピラー根元の写真ですが、60ピンみたいなサイズの大きなコネクターが、2つガッツリ付いています。
-
ピラーを通る配線だけでも、この配線数……。
-
そんな中、おそらく少しでも軽量化したい面もあるのでしょうが、アルミ線も増えていますね。
-
改めておさらいですが、アルミ配線の見分け方としては……
-
今のところ色でルール分けされている感じですね。薄ムラサキ/赤……みたいな、薄ムラサキベースの配線色になっています。
-
うーん、これだけだと、どれがアルミ配線なのか分かりづらいけど……
-
例えばこの4本の配線はすべてアルミです。
-
一見すると白ベースにも見えてしまうけど、よく見ると薄ムラサキベース……。
-
そうなんです。普通のムラサキ色の配線のことではないので、まずは見分け方に注意しましょう。
-
問題はこのアルミ配線から、電源などを取らないといけなくなったときですね。
✔ アルミ線の基礎知識は「車の配線でアルミ線が増えていることは、電装DIYにも影響がある問題」参照。
車のアルミ配線が増えるとなにが問題なのか?
-
アルミ配線に遭遇して困るのはハンダを使う人ですよね?
-
主にはそうなりますね。ハンダがくっつかないので、アルミ配線を分岐させたいときは、スプライス端子などで代用します。
-
コムエンタープライズでの作業例でいうと、スプライス端子ではさんで、そこにハンダを流し込んだりしています。
-
ハンダも併用するんだ。
-
まあでも、基本的にはスプライス端子だけでも問題はありません。
-
一般のDIYユーザーだと、配線分岐に使うのはエレクトロタップが多かったりします。その場合は?
-
以前にエレクトロタップメーカーに確認したときにはアルミ配線でも問題なく使える、という回答をもらってはいますが……
-
ふむ。
-
しかし銅線に比べたら、やはりアルミ線のほうがモロいので「カンタンに切れてしまいそうで恐い」という面はあるんですよね。
-
実際のところ「アルミ配線にエレクトロタップは使わないほうがいい」という意見も散見されるのは、そういう理由か…。
-
コネクターメーカーが「アルミ配線専用の分岐コネクター」を出してくれたらいいんですけどね。
-
確かに。アルミ配線コネクターとか、専用品を作ってくれればいいのに。
-
それまでは、普通の配線よりは切れやすいと思って、慎重に配線分岐することをオススメします。
-
アルミの細線とか出てきたら、イヤな感じがしますね。
-
ただ、アルミ線はあまり細い線には使われていないんですよ、今のところ。
-
そうなんだ?
-
どちらかというと、太めの電源線などに採用例が多い印象ですね。
-
アルミ配線が太め傾向なのは、なんでだろう?
-
軽量化するメリットも大きくなるし、切れやすいデメリットも考え合わせると、細線より太線に優先的に採用するということにはなるのかなと。
-
なるほど。アルミのメリットが大きく、デメリットが生じにくいんだ。
-
ですので「太めの電源線を分岐させて電源取り出ししよう」といった場面では、アルミ線に遭遇する可能性はじょじょに高まっています。
-
それに連動して接触不良とか断線トラブルとかも起こっていそうですが……どうなんでしょう?
-
う~ん。しかし実際にはトラブルの話はほとんど聞きませんね。
-
そうなの!?
でも、なんでだ? -
配線分岐でハンダを使うような人だといろいろ事情に詳しそうですから、各自でアルミ線対策をされているんでしょうね。
-
なるほど。スプライス端子などを使っているのかな。
-
なので今のところトラブルはあまり聞こえてきてはいませんが、確実にアルミ配線は増えてきています。
-
フムフム。
-
これだけ増えてきているのを見ると、やはり自動車メーカー的にはメリットは大きいんでしょうね。
-
車の電装をいじる人は、薄ムラサキベースの配線に、改めて注意をはらいましょう。
エレクトロタップの接触不良問題については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL
079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
関連記事
- 車の配線でアルミ線が増えて、電装DIYにも影響がある問題(対策編)
- 配線の分岐をハンダで行う方法
- ハンダで配線同士を接続する方法
- エレクトロタップ(配線コネクター)の正しい使い方
- 配線の分岐方法。プロ流はスプライス端子
- 配線を分岐する方法はいろいろあるけれど、どれが良い?
- エレクトロタップによる断線に注意!
- エレクトロタップを外したあとの処置
- エレクトロタップの外し方(正しい取り外し方法)
- 防水エレクトロタップの正しい付け方・使い方
- エレクトロタップによる「タコ足分岐配線」は何が問題か?
- 配線の分岐コネクター最新事情。2本線を1個で分岐できる!
- ハンダ付けの代用になる「ハンダスリーブ」で配線をつなぐ方法
- 純正配線の分岐で電源を取って、純正ヒューズを飛ばすパターンに注意