配線の分岐をハンダで行う方法
道具の力で難易度がグッと下がった、ハンダによる配線分岐を解説。「初心者には難しそう」と、ハンダを敬遠していた人にもオススメ。なにしろハンダで配線を分岐することには、数々のメリット(最も確実な結線・結線部がコンパクト・コスト最安)があるのだから。
配線分岐をハンダで行うメリットとデメリットをおさらい
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車内の配線を分岐させる場面は、電装品取り付けではよくあります。
●アドバイザー:デンクル 岡本研究員
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純正配線から電源取り出しする時などは、基本的に「配線の分岐」が必要ですね。
●レポーター:イルミちゃん
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ここでは、ハンダ(半田)付けで、配線を分岐させる方法を解説していきます。
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さて、ハンダで配線を分岐させるときに重宝するのが、前回紹介した、「手動はんだ送りはんだこて」なんですよ。
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この手動ハンダ送り式なら、片手でハンダ付けできるので、空いたほうの手で配線を持つことができます。
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普通のハンダゴテだと、コテを持つ手と、ハンダを持つ手で両手が塞がりますから……
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その場合は、以前に紹介した、ハンダを曲げて立てておいて、それを上から溶かしながらハンダ付けするテクニックなど、工夫が必要ですね。
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しかし、純正配線から分岐させて電源を取り出す場面とかだと、分岐点の位置が高い場所かも知れませんよね。
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そうですね。だから今回の用途では、手動送り式のハンダゴテが威力を発揮するんです。
✔ 一般的な配線分岐といえば、カンタンなのは「エレクトロタップを使う方法」だが、エレクトロタップは配線の太さと適合していないと接触不良の原因になるし、「かさばる」のがデメリット。
✔ そのためプロは「ハンダ」または「スプライス端子を使う方法」を用いる人も多い。その代わり、エレクトロタップほど手軽にはできないし、ハンダゴテやワイヤーストリッパーが必要になる。「ハンダによる分岐は、そもそもハンダが扱えないとできない」のが初心者にとっては最大のデメリットだったのだが……
✔ 詳しくは、「手動はんだ送りはんだこてとは? 普通のハンダゴテとの違い」参照。
✔ 「ハンダ付けで配線同士をつなぐ方法」参照。1対1で、配線をハンダ接続する方法を紹介している。
ハンダで配線を分岐する方法
配線コードの被覆を剥く
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まずは、ワイヤーストリッパーを使って、分岐元となる配線(純正配線など)の被覆を剥きます。
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純正配線などは、配線途中の被覆を剥く必要があるので、自動で剥くタイプのワイヤーストリッパーが便利です。
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そして分岐線側(電装品の線など)の被覆も剥きます。こちらの線は先端を剥きます。
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まずはこういう状態を作ればいいんですね。
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ここで、芯線(導線)を巻き付けてつなぎます。
ガシ!
ツーー
✔ ここで使っているのは、岡本プロ愛用・ストレートのワイヤーストリッパー
✔ ワイヤーストリッパーの基本は、「ワイヤーストリッパーの使い方と選び方。おすすめは?」で紹介している。
ガシ!
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両者の被覆を剥いた状態
芯線(導線)同士をつなぐ
ハンダ付けする
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次に、芯線(導線)の合流ポイントをハンダ付けします。
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そしてここで使っているのが、新型の「手動ハンダ送り式」のハンダゴテです。
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普通のハンダゴテと同様に、まずはコテ先を芯線に当てて熱を加えて……
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一拍遅れて、手動ハンダ送りのトリガーを引くと……
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ハンダが送り出される量は調節できますが、1回ハンダ付けして足りなければ、2回3回と流し込んでもOKです。
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最後に芯線とハンダがムキ出しになっている部分にビニールテープを巻き付けて、絶縁します。
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ハンダ付けで配線を分岐させるメリットは、確実に接触させることができることと、結線部分がコンパクトに仕上がる点ですね。
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これまではハンダを敬遠していた人でも、手動ハンダ送り式なら簡単そうだな~、と感じて頂けたのではないでしょうか?
ハンダが送り出されて接触→溶けて流し込まれる
こんな感じになればOK
合流ポイントを絶縁する
このへんから巻き付けはじめ…
前後をカバーしておく
配線コードの選び方や、配線分岐に使うエレクトロタップの正しい選び方についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しているので、ぜひ見てね。どちらも「知らないと車にリスクが生じる重要な話」です。
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
「カプラーオンで簡単に取り付けできる」をテーマにした電装品を開発するDENKUL(デンクル)代表。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●DENKUL(デンクル) http://denkul.jp/
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