車検に通るバックランプの条件
バックランプと車検の話。まず色は白と決まっているが、何ケルビンかは決まっていない。また数や取り付け位置に関しては、定められたルールがある。そして最も気になるのが、明るさについての法規。昔とは変わった点があるので、今いちど確認しておこう。
バックランプは白がルールだが、ケルビン数の上限は?
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今日のテーマは、バックランプと車検です。
●レポーター:イルミちゃん
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パックランプの色は、白色であることがルールです。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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それは、ケルビン数でいうと何ケルビンになるのでしょうか?
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白色範囲というのは、ケルビン数で決まっているわけではないんですよね……。
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あー、そういえばそんな話がヘッドライトの時にもありましたねぇ。
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とはいえ、純正の電球も白色範囲に含まれていますので、色としては電球色までは含まれます。
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フムフム。
電球色は白色範囲なんですね。 -
純正電球の色温度は、だいたい3000ケルビン位ですので、ケルビン数としてはそのあたりが下限と言えます。
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なるほど。
ところで、上限は? -
ヘッドライトの白色範囲のところでも述べましたが、7000ケルビンを超えない程度がひとつの目安。
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7000ケルビンの白は、青白っぽいから、青と判断される可能性もある!?
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そうなんですね。同じケルビンでもメーカーによって色味は異なるので、一概には言えませんが、7000ケルビンクラスになると青と判断されるケースもあり得ます。
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それって、テスターで測っているわけじゃないんですよね?
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ヘッドライトの色と同様、「白と言えるかどうか」を判断しているのは検査員の目視です。
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つまり青白は、検査員判断によって白になるか、青になるかの境界線上にいる。
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だから無難なのは6500ケルビン前後まで、ですね。IPF製のLEDバックランプは6000ケルビンで統一しています。
6000ケルビンの白ならまず問題はない
IPFのLEDバックランプについては、「バックランプ(T16/T20/S25)をLED化する前に知っておくべきこと」参照。
バックランプには数のルールがある。後付けは注意!
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バックランプには、数のルールもあります。
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数とは?
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バックランプは、1灯または2灯でなければいけません。つまり3灯のバックランプはNGです。
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そんなこと言われても……そんなの純正次第なのでは?
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純正バックランプのバルブ交換であれば何も気にしなくていいのですが、社外のバックランプを増設する人もいるでしょう。
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あー。
そういうことか! -
四駆系の車とか、けっこう増設しますよね。
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では、2個までOKなんだから、もともと純正が1灯なのを2灯に変更するのはいいの?
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2灯自体はOKなんですが、バックランプが2個の場合は、左右対称でなければいけません。
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……と言うことは、純正バックランプを生かしながら、もう1個増設して左右対称???
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……それって、けっこう難しい話ですよね。
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う〜ん。
せっかく2個までOKなのに、増やせないの? -
その場合は、純正をつぶす必要がありますね。その上で、改めて左右対称に社外バックランプを2個付ける、ということです。
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なるほど、そんな手があるのか。
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ただし、この場合、純正バックランプのバルブを抜くだけではダメです。ランプの形状が見えていると、車検はNGになります。
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ムムム。
どうすれば…? -
灯体をスモークで完全につぶす等の、処理が必要ということです。
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けっこう手間がかかりそう。
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そうですね。だから一般的には、純正の灯体をそのまま使って、それをLED化する位のカスタムにとどめておくのが無難とは言えます。
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なるほどね〜。
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ちなみに、純正2灯を1灯に変更するとしても、同じことです。例えば、片側をLEDで明るくした。「十分明るくなったから、反対側はナシでいいや」ではマズイのです。
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あれ?
1灯でもいいんじゃないの? -
バックランプ自体が2灯あったら、両方とも点灯させないと整備不良になりますよ。
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そういうことか。灯体が付いているのに点灯しない状態はNGなんですね。
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そういうことですね。
純正だと2灯バックランプが多い
バルブを抜くだけでは、灯体として見なされる。
バックランプの取り付け位置のルール
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なお、バックランプ自体を後付けする場合は、取り付け位置に関する規定もありますよ。
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2個の場合は、左右対称という話でしたね。
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それだけでなくて、高さに決まりがあります。
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フムフム。
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上フチの高さが1200ミリ以下、下フチが250ミリ以上……この範囲に収まっていないといけません。
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では、フォグランプと同じで、ローダウンした結果、下限を割り込んで車検に通らないとかあり得る!?
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バックランプが低い位置……リアバンパーなどに付けていると、あり得ますよね。
バックランプの明るさに関する法規上の決まりは?
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さて、気になるのがバックランプの明るさについて。
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昔は明るさの上限がカンデラで定められていましたが、法改正で変わりまして、今は明るさの上限の数値はなくなりました。
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どんな爆光バックランプでもいいんだぁ♪
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それは……違います。
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え!?
カンデラの上限がないのに? -
「他の交通の妨げにならないこと」、という条件に変わりました。
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なんか、抽象的な表現だなぁ……。
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カンデラ測定するのも無理があるので、検査員の判断に委ねられたとも言えますね。
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他の交通を妨げるバックランプって……具体的にはどんなバックランプ?
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判断するのは検査員ですが、注意が必要なのは、四駆系などで多い、爆光のバックランプを後付けしているケースでしょうか。
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社外品の、バックランプ自体を後付けした場合ですね。
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社外品の中には、もの凄く明るいオフロード用ランプとかもありますからね。そういうのは明るさでいうと、数千カンデラ出ているようなモノまであります。
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ヘッドライト並に明るいバックランプだ。
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ですね。そういうのを付けていると、指摘される可能性はあります。……というのも、実際のところ、はたから見ると眩しいので。
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……なるほど(;^_^A
単なるLEDバルブ交換とは、次元が違う。 -
そういうことですね。
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まあ、後方が明るくなると見やすくて安全ではあるんですが。
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ただ、あまりに明るいバックランプを付けると、バックモニターの映像がかえって白飛びしてしまったりもするので……
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明るければいい、というものではないのか。
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純正の灯体(バックランプ)の電球を、LEDバルブに交換する位のカスタムだと、そこまでの明るさにはなりませんので、基本的には問題ないケースが多いと思われます。
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でもたまに、HIDバルブを突っ込む人もいますよね、アレは?
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同じバルブ交換でも、HIDバックランプとかは引っかかるケースも出てくるかも知れません。
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……まあ、最近はHIDバックランプってあまり聞きませんけど。
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HIDをバックランプに入れると、灯体が溶けてしまうリスクが高いですからね。その意味でも、バックランプはLED化が合理的です。
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車検のルールから言っても、純正バックランプの灯体を生かして、バルブ交換でLED化するのが、無難なカスタマイズと言えそうです。
カンデラ数値の上限はなくなった
T16、T20、S25の全モデルで500ルーメンのIPF製LEDバックランプ。車検対応だ。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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