ナンバー灯のLED化は、ムラが強いと保安基準を満たせない
色は白であること。夜間20メートル後方からナンバーが見えること。……だけではないナンバー灯の保安基準。明るさにムラがありすぎても、法規上NGなので車検に落ちる可能性がある。同じT10だからといってポジションLEDの流用は危険。
あまり知られていないナンバー灯の保安基準
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ナンバー灯をLED化しても、車検には通りますか?
●レポーター:イルミちゃん
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ナンバー灯のLED化は、ポジションバルブに比べるとシビアな面が多いので車検には注意です。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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シビアって、ポジションと何が違うんですか?
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法規上の決まりが、細かくいろいろあるのです。
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では、車検のルールからおさらいすると……
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まず色についてですが、白色範囲に収まっていること。
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白でないといけないのは、ポジションランプと同じですね。
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それと「夜間後方20メートルのところから、ナンバーの数字と文字が全部見えること」という条件があります。
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なるほど。でも、それだけならまあ当然というか、そんなに厳しくはない気もしますが?
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ところがナンバー灯の場合は、明るさを満たしていればそれでOKではありません。明るいところと暗いところの差が、大きすぎてもダメなんです。
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ん?
どういうことですか? -
ようは明るさにムラがありすぎると、NGなんです。
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え、そんなルールまであるんですか?? 細かっ!
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普段の継続車検でそこまで厳密にチェックする例は少ないかも知れませんが、保安基準では「均斉度」についても定められています。
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キンサイド?
なんのこっちゃ。 -
均斉度とは、照らされている面に対しての照度や輝度の差のことです。
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へぇ〜、明るいところと暗いところの差を示す数値なんてのがあるんですね。
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そうなんです。で、ナンバー灯の場合、その均斉度を測るための測定ポイントが8箇所もあるんです。
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8箇所!
そんなに多くの場所で明るさをチェックするとは! -
初回のナンバー取得時の検査では、実際そこまでチェックされます。
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なんで8箇所も調べるんだろう? あら探し?
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そうすることで、全体的に明るさにムラがないかを調べているのです。
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う〜む、なるほど。確かにナンバーは厳しめですね。
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まず最低限の条件で、「8箇所それぞれの測光ポイントが8ルクス以上ないとダメ」。なおかつ「均斉度が20以下」というのが条件です。
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均斉度20以下と言われてもピンと来ないんですが、どうやって測るんですかね?
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トータル8箇所の測定ポイントのうちの「一番明るい2箇所の平均の明るさ」÷「一番暗い2箇所の平均の明るさ」で計算します。そうすると均斉度が出る。この数値が20以下という決まりです。
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フムフム。
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一番暗いポイントが8ルクスで条件を満たしても、明るいところが極端に明るくて、170ルクスあったらダメということです。
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そこまで極端な明暗差ってあり得ますかね〜? ナンバープレートの範囲は、そんなに大きくないでしょう?
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ところが、LEDバルブだとあり得る話なのですよ。
ナンバー灯LEDは拡散性が重要
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ナンバー灯の問題点は、もともと差し込んである純正電球の向きがいろいろあることです。
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いろいろとは?
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真下に向いているものもあれば、横向きだったり、後ろ向きだったり。
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こんなヘンな向きだと、ナンバーが暗くなりそう〜。
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いいえ。電球はほぼ360度全面に光が出るので、電球が横向きだったとしても、下にあるナンバープレートを照らせるんですよ。
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そっか。電球は360度に光が飛ぶから、ヘンな向きで付いててもいいのかー。
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ところがLEDの光は指向性が強い。つまり、直線的な光なので……
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バルブがヘンな方向を向いていたら、ナンバーを照らせない?
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そうなんです。それが原因で車検NGになる可能性が高いのが、ナンバー灯LEDなのです。
ナンバーの方を向いていないことも多い
電球の照射範囲は、ほぼ360度
ルーメンでは決まらないナンバー灯の明るさ比較
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ここからは実際に、ナンバー灯LED化のテストをしてみましょう。まずは純正の電球です。
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この車は、さきほど見たように電球がリア方向に向いて差し込まれています。次にこれをLED化してみます。
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ちなみにナンバー灯の電球は、ポジションバルブと同じくT10タイプのバルブが使われるのが定番ではあります。
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フムフム……ということは、ポジションランプと同じLEDバルブを装着することができるんだ。
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装着はできますが、ポジション用のLEDバルブをナンバー灯に流用するのはやめたほうがいいです。
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明るさのムラの問題が出るから?
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ですね。たとえ電球が下向きだったとしてもやめたほうがいい。試してみると、こんな状況になりました(↓)。
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白くはなったけど、純正より見づらいし、影ができていますねぇ……。
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ポジションとしては、そこそこ明るいバルブを使っても、こういうことになりがちなんです。
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なるほどね〜。
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ナンバー灯用に作られた専用のLEDバルブが存在するのは、そういう意味なんです。
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ナンバー灯用のLEDは何が違うんですか?
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いろいろな向きで差し込まれるのを想定しています。それでもナンバーを照らせるように、広範囲に光を照射する作り込みなのです。
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同じT10タイプでも、ポジションLEDバルブとは違うんだ。
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IPF製を例にすれば、いかに電球に近い照射範囲のLEDバルブを作れるかというテーマを本気で追ってきました。
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LEDなのに、球体のようにムラなく光を飛ばしている! コレは確かにスゴイかも。
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乳白色のボディで拡散性を高めてありますよ。
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なるほど〜。
光を拡散させるんだ。 -
これならナンバープレートを均一に照らせます。
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確かに平均的に照らせていますね! 純正電球よりフラットな明るさです。
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そうなんです。さらに! 上位モデルには、ピラミッド型のハイエンドバルブもあります。
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ピラミッド型?
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基板を3面組み合わせて、立体的な構造にしてある。その上で、レンズ部でさらに拡散させています。
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この作り込みの結果、バルブの後ろ方向にまで光が飛ぶようになって、電球同等の照射範囲が得られるようになりました。
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明るい上に照射範囲も広いから、ナンバー灯がキレイに面発光してます。
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ナンバー灯に使った際の均斉度の低さは、当社最高レベルです。
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均斉度自慢は分かりにくいけど、これはスゴイ! ポジションLEDとはまた違う、技術の追求があるんですね〜。
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ちなみに、502Wの明るさは60ルーメン。IPFには150ルーメンを誇る、最強のポジションLEDバルブもありますが……それをナンバー灯として付けると、こんな感じになってしまう(↓)
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明るいところは確かに明るいけど、やはりムラが出るというか、クッキリ影が出てしまいました。
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一番明るいところは強烈に明るくなりますが、それだけに均斉度的にアウトになる可能性があります。
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均斉度かぁ……。世間的にはあまり聞き慣れない言葉だけど、重要なんですね。
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法規上の問題だけでなく、ムラなく照らせるほうが純正LEDナンバー灯のようにキレイに見える、というドレスアップ効果もありますので。
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確かにムラがあると、美しくはないです。
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今回の実験はナンバー灯が2灯付いた普通車だからまだいいのですが、軽自動車はナンバー灯が1灯の車種が多いので、よりムラが出やすいです。
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2灯と1灯の違いは大きそう。軽自動車オーナーの人は特に、拡散性を重視してLEDを選びましょう!
純正の電球
明るめのポジションLEDを流用してみた
LEDだが、限りなく電球の照射範囲!
拡散ポリマーをボディーに配合し、バルブ全体が光るIPFのXN-04
純正電球と同じような配光に!
LEDを立体的に配置した、IPFの502W。
明るさと拡散性を両立させた結果…
ムラがなく明るいナンバー灯に
150ルーメンのポジションを流用してみた
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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