LED化のメリットと注意点(バックランプ編)
バックランプ(T16/T20/S25)をLED化する前に知っておくべきこと
まだバックランプをLED化していない人に、ぜひ読んでほしい記事。バックランプはドレスアップというより、後退時に後方を照らす実用用途。地味な存在だが、純正球が『エコ』で暗くなっている今、ココをLED化した時の『全然違う!』感は大きい。なお注意点もあるので、事前に押さえておこう。
バックランプをLED化するメリットは?
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今日は、バックランプLEDがテーマです。
●レポーター:イルミちゃん
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バックランプをLED化するメリットは、なんといっても明るさですね。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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ドレスアップ的な意味合いは、あまりない?
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バックランプは、後退時に後方を照らす実用用途ですからね。ポジションランプやウインカーみたいな、他車に知らせる信号灯とは違います。
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「照らす」ということが目的ですね。
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そうですね。しかし、最近の車は、消費電力の低いT16の電球を使っているので、「純正のバックランプが暗い」と感じている人は多いようです。
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以前の車に多かったT20やS25なら、400ルーメンありましたが、最近のT16バックランプは、260ルーメンまで下がっているんです。
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ウーム……。
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バックモニター付き車の場合は、イメージセンサー(CMOSやCCDなど)が働いて感度を上げることで、暗い場所でも明るく見せてはいますが……、
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だから、暗くてもいい?
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でも元が暗いと、ノイズが出てしまう。鮮明な映像ではなくなってしまうのです。
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ということは、バックモニター付き車でも、バックランプをLED化するメリットはあるってことですね。
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そうです。LED化して純正より明るくすれば、感度を引き上げる割合が減る。より見やすくなりますよ。
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そしてバックモニターが付いていない車は、言うまでもなく、後ろが明るいほうが安全性もアップしますよね〜。
バックランプ電球の基本については、「バルブの種類|バックランプ編」参照。
純正バックランプ
HID化よりもLED化が合理的
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昔はバックランプにHIDを入れる人もけっこういました。加工して、他バルブタイプのHIDを突っ込んだり。
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明るさ、という面では今でもLEDよりHIDなのでは?
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しかし、HID化は熱量が大きいのが問題。バックランプって点灯時間も限られているし、もともとはそんなに熱を持つものではない。
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まあ、そうでしょうね。
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だから、純正ランプの熱設計もそれほど熱には強くない。そこにHIDを入れるとなると、灯体が溶けるといった問題が出てきます。
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あー、今どきのH16フォグランプみたいな話になるんですね。
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実際明るくはなるんですが、HID化はデメリットも大きいのです。
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しかし今の時代なら、LEDという手がある! ということなんですね〜。
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発熱が少なくて明るい、という意味ではバックランプもLED化が一番理にかなっていますよ。
バックランプ灯体は熱に強いものではない
LED化すると、どのくらい明るくなるのか?
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では、バックランプをLED化するとどの位、明るくなるのか!?
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まず前回記事のおさらいですが、純正電球の明るさをルーメン値で見ると、下のようになっています。
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これに対して、IPF製のLEDバックランプを例にすると、どのバルブタイプでも500ルーメンを実現しています。
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最も小型のT16でも、500ルーメンを実現しているのがポイント。T16は小さいので、純正球サイズで500ルーメンっていうのはなかなか難しいのです。
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それって、純正のT16電球の2倍近い明るさ……ってことですもんね。
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しかし、消費電力でいうと僅か5Wです。純正はもともと16Wとか21Wの電球が入っているので、LED化はエコにもなります。
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明るいのに、消費電力は下がっている。
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だからHIDのように、灯体へのダメージは心配しなくてもいい。しかしながらLEDバルブの場合、バルブ自体の熱問題はそれとは少し別ですね。
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どういうことですか?
█ 純正バックランプの明るさ
T16 | 260ルーメン | 16W |
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T20 | 400ルーメン | 21W |
S25 | 400ルーメン | 21W |
IPFのLEDバックランプバルブ
T16、T20、S25の3種類。全タイプで500ルーメンを実現した、IPFのLEDバックランプ。
現在は、後継モデルの800ルーメン版が登場
※詳細は、各バルブタイプのAmazon販売ページを参照。
IPF LEDバックランプ T16 800ルーメン(503BL)
IPF LEDバックランプ T20 800ルーメン(501BL)
IPF製でLED化したバックランプ
※ハニカム状の模様は、モデル車のレンズカットによるもの。
明るいLEDバルブの熱問題は残る
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T16のような小型のバルブで、500ルーメンもの明るさを出そうとすると、放熱しきれない。長時間点灯させたときに、熱で壊れてしまう可能性があります。
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あの〜、さっきIPF製は500ルーメンって、アピールしたばかりでは!?
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バックランプっていうのは、常時点灯させるものではないですよね。
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バックする時だけしか、光りませんからね。
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だから、短時間という前提で明るくしてあるのです。
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でも……もしも、長時間バックランプを点灯し続けたらどうなりますか? 駐車が苦手でモタモタしていたらバルブが飛びました、とか笑えないんですけど?
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それは大丈夫。規定の温度に達するとバルブ内部の制御回路が働き、明るさを落としてLEDや電子部品を守ります。
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ホホウ。
安全回路が入っている!? -
ハイ。ず〜っとバックランプを点灯させていたら、一時的に暗くはなりますけど、壊れることはないわけですね。
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よく出来ているなァ。
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その代わり、IPFの場合は、バックランプ専用設計です。他のランプには使えません。
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バックランプを他のランプに使うなんてことある?
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例えばの話、T16バルブ自体は、一部車種でラゲッジランプとして使われていたりする。T20やS25も、ウインカー球としては定番です。
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でもウインカーは、白ではダメでしょう?
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オレンジレンズで、中が電球のウインカーもあります。その場合、T20やS25のLEDバルブは、ウインカー球として流用できるケースもある。でもIPFの場合は「不可」ということです。
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あくまでもバックランプ専用設計とは、そういう意味なんですね。
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それに、オレンジレンズ+電球というウインカーの場合、もともとの電球の色温度は3200ケルビン付近です。
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フムフム。
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それに対して、6000ケルビンのLEDバックランプなどを入れて、オレンジのレンズにかぶせても、薄いオレンジになってしまう。
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ウインカーが薄くなる……。
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となると、いわゆるウインカーで規定されている「橙黄色の範囲」から外れてしまう可能性が高いので、白LEDバルブの流用はどのみち注意が必要です。
壊れる前に、自動減光する
バックランプのバルブタイプは、他ランプでも登場する。
バックランプにも相応しい配光がある
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IPFのLEDバックランプバルブは、横方向と後ろ方向に光を飛ばすように設計しています。純正電球と比較してみましょう。
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つまり純正とは、配光そのものが違うんだ!
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バックランプに関してはそうですね。
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配光マニアのIPFのことだから、純正配光をなぞってくるのかと思いましたが…。
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例えばナンバー灯などの場合は、LEDバルブも純正電球に近い条件にしたほうがいいのですが、バックランプは別。
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と言うと?
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フォグランプなどとは違い、バックランプの灯体自体は、あまり照らすことを重視した設計にはなっていません。
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ほほう。
用途を考えると、後ろを明るく照らしたいのに。 -
単に純正電球サイズでLED化するだけだと、あまり明るくできないのです。
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なるほど……。
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そこで、特殊レンズ(※非球面凸型トップレンズ)を搭載して、リフレクターに当てる光とは別に、後方照射用の光を足しています。
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なおかつ、サイドミラーから見たときの後方がよく見えるように、光の横幅もノーマルよりアップさせています。
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いろいろな意味で、バックランプに特化したLEDバルブなんですね〜。
純正の電球バックランプ
T16タイプの電球。
IPFのLEDバックランプ
T16タイプの303BL。
純正球より大きいバルブは接触注意
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LEDバックランプは、明るさが重要なのは確か。しかし、サイズとの兼ね合いもあります。
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フムフム。
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明るさを出すために、純正球よりサイズが大きいバルブもあります。そういうモノを選ぶときは、自分の車の灯体に入るかどうか、事前に確認しておく必要がありますね。
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自分の車と同じT16タイプだから絶対に入る、とは限らないんだ。
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純正より長いバルブだと、レンズ面にコン! と当たって入らないことがあります。
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ウッ。
それは悲しい。 -
少し長くなっても許容する車種もあれば、「ほぼ純正電球サイズしか入らない余裕のないバックランプ」というのもあります。この点は注意が必要です。
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では、IPFのサイズも聞いておかないと。
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IPFのLEDバックランプバルブは、あくまでも純正球サイズに収めています。
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つまり、電球から交換した時に、接触する心配がない。
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IPFの場合は、純正球サイズの中で、限界まで明るくする、という方向性ですね。
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そのへんは、メーカーによって考え方がいろいろなんですね〜。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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